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- 2017年05月24日 10:13
生き残りを懸けたTBSラジオのネット戦略 目指すは「真のターゲットメディア」 【入江清彦社長インタビュー】
2/3放送メディア初のアフィリエイト広告に乗り出したい
ーradikoやラジオクラウドがある事によって、クライアントへの営業アプローチは変わりましたか?
入江:地上波放送の番組提供とセット売りできれば理想的ではあるんですが、地上波で聞いている人とradikoで聞いている人がどれくらいの割合なのか、データが取れていないのです。
一説には聴取者の1割とか2割とか言われているんですが、昔のように「朝から晩までずっとTBSラジオをつけっぱなし」という聞かれ方ではなくなってきているので、広告の考え方も当然変わってくる。
いわゆるアフィリエイトのようなネット広告タイプに時間軸の放送ビジネスの中から乗り出すのは間違いなくラジオが最初になるんだと思うんですよ。そうなれば、色々な可能性が出てくるのかなと。
テレビよりもまずはラジオが先にマネタイズを始めたい。後手に回ったのではラジオは勝ち目がないので、最初にやるべきなんだと思います。具体的なデータを基に顧客へターゲッティングしていく事を広告主は求めていますが、双方向メディアでないラジオやテレビではできないじゃないですか。
ー放送はネット広告のようにはいきませんね。
入江:でもラジオクラウド、radikoは今後できるようになります。同じ番組を聞いてても、人によって広告を変えていく。
ー聴取者の属性でCMを出し分けることが可能になると。
入江:少なくともラジオCMをターゲッティングができるようにする。「ラジオはターゲッティングメディアだとずっと言ってたけど、実際はできないじゃないか」と言われていたのが、一気に出来るようになるというのが大きい。
ラジオの聴取率調査って、未だに記入式のアンケートなんです。クライアントから見ると「我々はそれを信じてお金を出すんですか?」みたいなところがあって。
特に若い世代の担当者で、ラジオのリスナー体験をされていない人は、ラジオってどういう人が聞いているのかイメージも湧かない。広告主の立場でいえば、広告を出稿しようと思って、宣伝担当者が企画書を書いてもラジオを知らない上司だったら判子を押してくれないですよね。
世の中がそうなりつつあるのに、きちんとしたデータを提示できるような環境にしていかないと、とてもじゃないけど広告メディアとして成立しないだろうと。
聴取者のデータ化が急務
ーラジオ全体の広告費は前年比102%と少し盛り返しましたが、AM局の売上は厳しく、FM局が頑張っています。 TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送がAM局の売上を支えていますが、営業面で何が一番厳しいと考えていますか?入江:TBSラジオはおかげさまで聴取率が15年8ヶ月連続首位ではあるんですが、それでもジワジワ厳しい状況に追い込まれています。(2017年2月調査:0.9%で全ラジオ局中首位)。
ぶっちゃけて言うと、統計学でいえば聴取率のコンマ何%なんて誤差範囲ですから。聞いているのか聞いていないのか本当はどうなんだよと言われてしまえば、中々厳しい数値だと思うんですよ。
まずはリスナーをきちんと確保して増やす努力。商品やサービスの良さを訴えかける力はラジオにある。その力をデータ化しないと媒体の価値向上にはならないんです。
広告価値を示すデータを用意もしないで、「なんでお金出してくれないのか」とグチグチ言ってたって始まらない。
LINEさんのせいでって言っちゃいけないですけど、広告主が枠からユーザー個人へと意識が変わっちゃったじゃないですか。オールドメディアに対しても「枠から人へ」を求めてくる。そういう言葉にラジオも答えなきゃならない。
昔はマスメディアなんて言われてましたけど、今やラジオは「4大メディア」って言えるのかっていうレベルです。リーチの数でラジオは勝負出来ない。
だからターゲッティングをきちんとしながら、ちゃんと広告が刺さっているんだということを、広告主に示していかなければいけないんです。
ラジオクラウドの数字はまだ外に出していないんですが、CTR(広告のクリック率)が高いんですよ。リスナーの数値を取り始めればそういうことが実証できる。
ーいままでラジオの営業は「40代商工自営に強い!」みたいなフワッとした資料を作っていました。これからはリアルな数字をちゃんと持って「こんなに聞かれてます」と広告主に示さなくてはならない。すごく重要な局面になっているってことなんですね。
入江:元々ラジオはパーソナルメディアです。お茶の間をテレビに取られて以来、1人で楽しむモノじゃないですか。いまやそこを完全にパソコンとスマホに奪われてしまった。でも今度はその中に入り込んでいって、ラジオの逆襲じゃないですけれども、存在感を示したいですよね。



