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生き残りを懸けたTBSラジオのネット戦略 目指すは「真のターゲットメディア」 【入江清彦社長インタビュー】

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TBSラジオ 入江清彦社長
「ラジオを聞いたことがない」そんな若者が増えて早幾年。ラジオ業界はインターネットで番組が聞ける取り組みを進めているものの、2017年2月の聴取率調査では全局の聴取率を合計した数値が過去最低を記録。厳しい状況が続いている。

ラジオに未来はあるのか。メディアとしての生き残り戦略、そして今後のネット対応について、15年以上に渡り聴取率ナンバーワンをひた走るTBSラジオの入江清彦社長に話を聞いた。

ーTBSラジオのホームページに掲載されている「社長挨拶」に衝撃を受けました。

入江清彦社長(以下入江):えっ、そうですか?
TBSラジオの前身ラジオ東京が開局したのは1951年のこと。64年もの間にラジオの聴かれ方、利用のされ方はずいぶん変わりました。

開局当時は「家族みんなで聞くラジオ」でした。テレビの登場とともに存在が危ぶまれた時期もありましたが、深夜放送ブームなどもあり「個人で聴くメディア」として復権。ラジオは、店先で、勉強部屋で、車の中で聞かれる、生活に密着したメディアとなりました。そして現在。ラジオ離れ、とりわけ若者がラジオを聴かなくなったといわれていますが、実情は違います。聴かれなくなったという以前に、存在自体が認知されなくなったのです。個人メディアの王座はPC・スマホに取って代わられ「ラジオって何?」が今の若者の声です。

ところが2010年にIPサイマル放送「radiko」を始めてから、そのPCやスマホでラジオの存在を知る若者が徐々に増えてきました。さらに、今年度中には全国多数のAMラジオ局がFMでも放送を始めます。ノイズに強いクリアなサウンドでAM局の番組がお楽しみいただけるようになります。

これを期に、TBSラジオは様々な話題を提供し、「発信」し続けてまいります。そして皆様に親しまれる番組や信頼される報道、そして愛されるイベント事業を通じて「あなたのTBSラジオ」になるよう魅力を訴え続けます。

どうぞご期待下さい。よろしくお願いいたします。ーTBS会社情報:ご挨拶 http://www.tbs.co.jp/radio/company/compliments/index-j.html

ー「若者がラジオ自体を知らない時代になってしまった」と書かれていて。ラジオ業界で15年以上聴取率トップを走り続けているTBSラジオがここまで危機感をもっているのかと。

65歳がラジオの大きな分水嶺

入江:実際そうなんです。首都圏のラジオでは2ヶ月に1回聴取率調査があって、そのデータを見ても、TBSラジオは下がっていますし、ラジオ全局も下がっています。2017年2月のレーティング調査ではセッツインユース(ラジオ全局の聴取率を合計した数値)が史上最低(5.6%)になってしまいました。

ラジオはどうしても高齢者に依存していて、大きな分水嶺があるのは、テレビが登場する前のラジオを知っている人とそうじゃない人。ちょうど団塊の世代、65歳くらいでキレイに分かれます。

テレビが我が家にやって来た日を知っている人は、生まれたときにラジオしか放送メディアがなかったわけです。ラジオの聴取率調査は12歳〜69歳までが対象ですから、あと4〜5年でその世代がいなくなってしまうんです。

言い換えれば、ラジオの媒体価値を認めてくれて、広告費を出してくれる経営層もいなくなってしまうということ。

それはもう大いなる危機感で。世代交代はドンドン始まっていて、これはもう随分前からジワジワ来てたんですよ。

30年くらい前からラジオは「新規リスナー獲得をきちんとやらないとダメですよ」と言われながらも、 ラジオの受信機そのものを知らなかったり、チューニングなんぞやった事がないという人がどんどん増えて来る中で、何をすればいいのか分からないまま無策で今に至ってしまったというのが、今日のラジオの結果を招いている。

じゃあそこでどうするのか。1つはラジオ業界あげて、「radiko」というものを立ち上げました。最初は難聴取対策のためPCでラジオが聞けるという事をやったのですが、今はPCよりもスマホでradikoを聞く人が増えています。

全国のラジオを聞くことができる「エリアフリー機能(有料)」や1週間までさかのぼって聞ける「タイムフリー機能(無料)」などもつけて、「ラジオなんて聞いた事ない」という人を少しでも減らす為のインフラの整備をやって、ようやくここまで辿り着いたと。

今までの「ラジオをどうやって聞いて良いのかわからない」という状況からは脱出できて、ようやくメディア競争の土俵に上がれたと思っています。

メディア競争の中でも、スマホの世界はとんでもない熾烈な競争がある。結局は可処分時間の奪い合いで、スマホの中にはSNSもあり、映像もあり、ゲームもある。ありとあらゆる娯楽がある中で、わざわざラジオを聞いていただくにはどうしたらいいのか。

本当にラジオが皆さんの時間の中に入っていけるのかと。ラジオの真価が問われるというか、「ラジオって聞いてもらえないんだよね、それはラジオの存在すら知らないから」という我々の言い訳はもう通用しない。

だからこそ、本当にラジオが聞かれる存在になり得るのかどうなのかを懸命にやるしかない。ある意味、新しい時代の幕開けの年という認識です。

ラジオクラウドという新たな試み

ーTBSラジオは今までポッドキャストでラジオのデジタル化をリードしてきましたが、昨年大人気のポッドキャストを廃止し、博報堂DYと組んで「ラジオクラウド」という番組配信サイトをradikoとは別に立ち上げられましたね。

入江:はい。

ーラジオクラウドで博報堂DYと組んで「広告モデル」でやっていくというのはラジオ業界全体にとっても、大きな事だと思います。ここに舵を切った背景をお聞かせください。

入江:そもそもポッドキャストは深夜放送をいかに継続的に聞いてもらうか、あるいは聞き逃した番組をいかに継続して聞いてもらうかという目的で立ち上げました。

番組を3回続けてたまたま聞けなかったら、もう聞かなくなってしまうだろうと。だから「聞いておけば良かった」「ちゃんと全部聞きたかったな」と思わせるように面白かった1ヶ所をポッドキャストに残して、いわゆる聞き逃し聴取が呼び水になるような仕掛けをやってみたらどうだと。

ただ、違法アップロードサイトがどんどん出てきましたし、多くのリスナーに聞かれれば聞かれる程、維持するのにサーバー代も掛かります。メディアとしては、皆さんがその時間を楽しみに聞いてもらえるんだったら、そこに広告価値を持たせられないのかと考えたのです。

ポッドキャストはダウンロードですけども、ラジオクラウドはオンデマンド、ストリーミングという形で聞けるようにしました。これなら広告も固定ではなくリスナーに合わせて色々なパターンを聞かせられます。是非そういうチャレンジをやっていきたい。

聞いてくださる方の趣味嗜好や属性がわかった上で効果的な広告が打てるようになれば、ラジオの広告価値の在り方が今までとは全然変わってくる。

個人に深く刺さるコンテンツをどれだけ用意するかというビジネスになるのであれば、それはラジオの1つの生き残り方だろうなと思い、ラジオクラウドを推進しています。まだまだ始まったばかりですが。

ー今までradikoは電通仕切りというのがありました。博報堂DYと組んだ理由は?

入江:よく皆さんに「電通」VS「博報堂」みたいなことを言われるのですが、ぜんぜんそんなことはありません。立ち上げ前には電通さんにも相談しましたから(笑)。

TBSラジオのポッドキャストは月に300万のユーザーが5000万ダウンロードしていました。この維持費を捻出するためには「ストリーミングにして、マネタイズモデルを考えなきゃいけないね」みたいな時期で。

ちょうどマネタイズモデルを作ってくれるパートナーを探しているときに「一緒にやりませんか」と声をかけてくれたのが博報堂DYさんだったんです。こちらから仕掛けた訳ではありません。

局と代理店のタイミングが合うってことは多分そういう時期なんですよね。広告モデルで音声配信をストリーミングする条件が整ってきたという。

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