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合格点で妥協しておくか120点まで突き抜けるか。生産効率の性質を理解し、合理的な働きかたを選ぶこと - 「賢人論。」第39回山口揚平氏(中編)

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社会に出た学生を腐らせてしまう構造的な問題が日本にはある

山口 でも、最近はもっぱら「80点」志向です。経営者としては中流で良いかな、と思ってきたので。僕、最近は1日3時間しか働かないんです。

みんなの介護 たったの3時間ですか?

山口 3時間×4日間ですね。マックスでも週に15時間ということにしています。今日はこのインタビューに1時間半使ってしまったので、あと半分しかないんですよ(笑)。僕は仕事を「貢献」であると定義しています。そういう、誰かの役に立てることは効率よくこなしていきたいと考えていますが、単なる「労働」に関してはずっと「80点」水準で楽していたいものですよ。

僕は、時間には大きく分けて3種類あると思っています。一つめは、1ヵ月に3時間程度だけ生まれるひらめきと洞察を得られる「神」の時間、二つめは、1週間に5時間程度ある問題の構造化が可能な「思考」の時間、三つめは、それ以外の凡庸な考えしか浮かばない「事務」の時間です。そしてこのうち質の高い「神」の時間と「思考」の時間だけを絞って使うととても生産的なんです。

みんなの介護 やるときだけはとことんやる、というのが山口さん流なのですね。

山口 確かに僕の働き方は極端かもしれませんが、フィンランドだって労働時間が5時間ということに決まりましたからね。

みんなの介護 そう決めて、実際にフィンランドではそのルールは守られているんでしょうか?

山口 フィンランドはまた状況が大変ですからね。子育てをしながら高い税金を払わなければいけないので。それにフィンランドでは出生の3分の1以上が私生児ですから、家族で助け合う、ということが難しい状態なんですよね。要は、仕事以外のことが忙しすぎるんです。

みんなの介護 そういう事情により、労働時間を5時間に済ませなければならなかったという面があるんですね。

山口 はい。それに労働環境も日本とはずいぶん異なります。フィンランド人はほとんどクリエイティブ(創造的)な仕事しかやりません。オペレーティブ(事務的)な仕事は移民がやってくれますから。一方で日本はまだ移民政策が充実していないので、あらゆる仕事を日本人がこなさなければならないという状況ですよね。

例えば、携帯電話の会社に就職すると、たいてい3年間は店舗で働くらしいですよ。学歴がそれなりに高く、クリエイティブな仕事を担う枠で採用された人たちも、まずはじっくり事務仕事を学ばされるんですね。

みんなの介護 まずは現場を知らないと、という考え方ですね。

山口 現場を知ることは確かに重要だと思います。だとしても3年も要らないですよ。社会人の最初の3年、すなわち22歳から25歳という時期はすごく重要で、人生のキャリアのほとんどを決めるものなのに。そんなことをしてたら、最初の段階で腐ってしまいます。

日本は学校教育が充実していて、初等教育から受験競争まで通して大切に学生を育て上げています。しかし、そんなせっかくの学生たちが、社会に出た途端にダメになってしまう。つまり、学校という世界と現実の社会が連続的でないんです。こういうのも、日本社会が持つ不合理な部分だと思いますよ。

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