- 2017年05月22日 10:05
日本に潜む「第2のグーグル」 米国ベンチャーキャピタルが注目!
1/2■世界に通用する日本の3分野
AI(人工知能)やロボットなど、いま世界が注目する最新技術の多くはアメリカ発が多い。それに対して、かつて技術大国と呼ばれた日本はなぜ最先端の技術が少ないのか、と問われることがあります。
画像を見るフェノックス・ベンチャーキャピタル代表 アニス・ウッザマン氏
私から見ると、この問いは少しズレています。なぜなら、日本にはイノベーションにつながる技術が数多く眠っているから。いまはまだビジネスに結びついていないため見えにくいのですが、日本で研究されている技術は世界でもトップクラスです。
いま日本が世界をリードしている分野は3つあります。1つは、ロボット。東大や京大、九州大などにはロボットに関する素晴らしい技術があります。それらは外に向かって発表されていないだけで、シリコンバレーやMIT(マサチューセッツ工科大学)の技術と比べても優るとも劣りません。実際、東大発のロボットベンチャー「SCHAFT」は、グーグルに買収されました。
2つ目は、アニメーションやゲームの分野です。日本が優れているのは、技術だけではありません。注目したいのは、コンテンツづくり。独特のマンガ文化が社会に浸透しているので、コンテンツのレベルがとても高いのです。
3つ目は、ハードです。一時期、大事なのはソフトで、ハードは儲からないという風潮がありました。しかし、IoTが出てきて風向きが変わりました。IoTのコンセプトは、さまざまなモノにセンサーを入れ、データを蓄積、解析して、物事を改善していくということ。これはハードとソフトの組み合わせなので、日本のハードの技術が生きる場面が必ずやってきます。
このように日本にはシリコンバレーに負けない技術がありますが、日本のアピール不足もあって、海外の投資家はあまり投資をしていません。シリコンバレーで日本に積極的に投資している投資家は、私を含めておそらく片手で数えられるくらいでしょう。私は学生のころに東京工業大学で学んでいたので、日本の技術レベルの高さを知っています。しかし、そうでなかったら、いまごろ日本をスルーして中国の企業に投資していたかもしれない。それくらい、日本の注目度は低いのです。
■技術自前主義では世界に追い付けない
ただ、これは日本をよく知る私たちにとってはありがたい状況といえます。ほかの投資家が気づく前に投資ができるのですから、このチャンスを逃さない手はありません。実際、私たちはすでに高い技術力を有する日本のスタートアップにいくつか投資をしています。具体的にあげていきましょう。
AI関連では、マーケティングを支援するプラットフォームを提供するメタップスに投資しています。フィンテックでは、個人向け家計簿サービスや法人向け経理サービスを提供しているマネーフォワードも楽しみ。ヘルスケアでは、ダイエット管理サービスでナンバーワンのFiNCにも期待しています。
アニメーション分野では、「秘密結社鷹の爪」というフラッシュアニメで有名なDLEに投資をしています。じつはFenox VCが日本で初めて投資した会社がDLEです。同社は2014年3月に東証マザーズに上場して、今年4月には東証一部に上場しました。VCとして金銭的利益を確保できたおかげで、その後の投資にも弾みがつきました。
ほかに、電動バイクのテラモーターズや、オンライン旅行業とベトナムでのITオフショア開発を行うエボラブルアジアも、私たちのグローバル展開のノウハウをうまく活用して活動しています。どちらも日本のみならず、これからアジアで存在感を増していくでしょう。
- PRESIDENT Online
- プレジデント社の新メディアサイト。