- 2017年05月12日 15:04
あるべきカジノ入札は如何なるものなのか
1/2さて、昨日のエントリの続きです。昨日のエントリでは、国側が「地域と開発計画をセットで国が選ぶ」というIR選定方式を採用しようとする指針を示したことに対して、その後に予想される混乱をご紹介しました。
未だ読んでいない方は、以下のリンク先から。大混乱に向かってひた走る日本のカジノ構想
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9554187.html
実は「地域と開発計画をセットで選ぶ」という選定方式は世界でも他に例がないワケではなく、ここ数年アメリカに置いてニューヨーク州、マサチューセッツ州が採用されています。今回、国の官僚機構側はそれを参照したものと思われますが、実態は中身が全く違います。
2014年から始まったニューヨーク州の入札、2012年から始まったマサチューセッツ州の入札は確かに両者とも行政当局が事業者と地域をセットで評価をしその優劣を競わせるものでありましたが、その入札主体となっているのはあくまで民間事業者です。両地域では、最初に当局が一定の広域的なカジノ設置可能地域を定め(日本でいうと「関東・関西」的な単位の広域エリア)、その中で事業者が自由に開発立地を設定しながら企画提示を行うものです。
勿論、その過程で立地自治体からの同意書の取得は求められるわけですが、事業者にとっては比較的広範に立地の選択肢が提供されており、現在我が国の官僚機構が示している「地方が事業者を選び、それを国が選ぶ」といったような二段階選定はほぼ行われていません(一部自治体で例外があったが)。
また繰り返しになりますが、当局に向かっての入札主体はあくまで事業者でありますから、先のエントリで述べた「事業者の選定は入札プロセスの中で一番最後に持ってくる」という原則は守られたものでありました。更に言えば、実はニューヨーク、マサチューセッツの両州のカジノ開発権入札は、我が国にで行われるような国際競争を前提としたものではなく、アメリカ国内でいわゆる「リージョナルカジノ」と呼ばれるカテゴリの国内観光客の獲得競争をおこなうような施設開発でありました。
すなわち、そこで入札を争っている事業者は、その殆どが米国内で既に何らかの事業をおこなっている事業者であり、また両州以外の周辺州でもカジノ開発のチャンスは幾らでもありますから、「イチかゼロか」を巡って醜聞合戦を繰り広げるような業者の道徳性が問われる競争のあり方はレピュテーションリスクの観点から起こり得ない。だそれが、両州において「地域と開発計画をセットで選ぶ」という選定方式が機能した一つの理由であります。
それに対して日本は全く間逆の状況にありますから、正直、この両州を参考にして「地域と開発計画をセットで選ぶ」という選定方式に突き進むのは相当無理があります。一方で、実は今回「地域と開発計画をセットで選ぶ」という選定方式を国が志向している理由として、官僚側は以下のような説明もおこなっているのですね。以下、IR推進会議資料より転載。
政策を担うはずの行政側からこんなことを言われてしまうと私としては猛烈に悲しくなってしまうワケですが、統合型リゾートの導入というのは開発地の中で「どんなデザインのどんな施設を建てるのか」なぞよりも、余程その施設の外側にある周辺政策の方が重要なんです。
・国は、具体性、実行確実性のない計画に基づき審査を行わなければならず、当該事業が真に公益性を有するのか、公正かつ客観的な判断ができない。・地方公共団体は、計画に具体性がないことから地域住民に説得力を持った説明ができず、合意形成が困難となる可能性がある。
これは拙著「日本版カジノのすべて」にもクチ酸っぱく書いてきたものですし、来月発刊予定の新著の中でも言及している事項です(新刊情報は詳細が決定次第告知します)。



