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【残留か脱退か、柔軟すぎるパリ協定】

アメリカがパリ協定から脱退するのか、しないのか。イタリアで5月26日と27 日に開かれるG7サミット以降に判断を先送りすると発表されました。 京都議定書と違い、パリ協定に拘束力がなくあまりに柔軟のため、残留する負担は大したことない一方で、脱退すればアメリカにとってマイナスの影響が大きいという報道が相次いでいます。 先送りは、トランプ大統領がゴア元副大統領と電話で話したあと決めたようです。

Wall Street Journalは、Trump Won’t Make Decision on Paris Climate Accord Until Later This Month -  President to first meet with G7 leaders in Italy before rendering final verdict (トランプ、パリ協定の判断は今月下旬以降に先送り~イタリアで開催されるG7サミットで各国首脳と会談後に最終判断)と報道。

ホワイトハウスのスパイサー報道官が9日の記者会見で、地球温暖化対策の新しい国際的な枠組み=パリ協定から脱退するかどうかについて「トランプ大統領はアメリカにとってベストの戦略を練るため政権チームとの協議を続けたい」ことを理由に、判断をG7サミット以降に先送りする考えを示しました。 脱退するかどうかの判断にあたって鍵となるはずだった9日の会議をめぐり、ティラーソン国務長官が出席できないことを理由に延期を求めたほか、EPA=環境保護庁のプルイット長官と大統領補佐官のイバンカ・トランプ氏の9日の会談も延期になったということです。

一方、脱退を望む勢力にとっては、トランプ大統領がG7サミット後に判断を先送りしたのは「痛手(comes as a blow)」と伝えています。というのは、サミットではフランスのマクロン新大統領ら各国首脳から脱退せず残留を求められるだろうからです。

New York Timesは、Stay In or Leave the Paris Climate Deal? Lessons from Kyoto (パリ協定に残留か脱退か?京都議定書の教訓)の中で、先進国の温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書があまりにガチガチに拘束力がありうまくいかなかったことを踏まえて、「パリ協定はあえて約200の国の政治・経済状況に柔軟に対応できるように設計された」と指摘。

「パリ協定はアメリカにとってもほかの国にとっても、拘束力がなく、法的な制限はない。この結果、温室効果ガスの削減に向けての実行力は弱まるものの、脱退する理由があまりない」といいます。 つまり「残留する負担は大きくない。これに対して脱退は、外交的に大きな反発を招く(Staying has little cost. Leaving, by contrast, could result in immense diplomatic blowback)」と総括。

"残留派"は、イバンカ・トランプ氏、ティラーソン国務長官、多くの企業。一方、"脱退派"は、バノン首席戦略官らアメリカ第1主義の主張者で、「パリ協定は京都議定書同様に、法的拘束力があるので脱退が望ましい」と主張しています。 しかし、京都議定書に反対したエネルギー大手のエクソン・モービルですらパリ協定の残留を促しているということで、"残留派"に説得力がないとしています。

Washington Postは、パリ協定を脱退するかどうかの判断を先送りしたことを受けて、トランプ政権は地球温暖化政策がないまま、今月だけでも3つの国際会議に臨むことになるとしています。

■ドイツのボンで開催の国連気候変動会議(8日から18日)、■米アラスカ州フェアバンクスで隔年開催のArctic Council(北極に近い米国、カナダ、ロシア、フィンランド、ノルウェー、スウエーデン、デンマーク、アイスランド8か国)の閣僚会議(10日と11日)、そして■イタリアのシシリアで開かれるG7サミット(26日と27日)。

「パリ協定は、温室効果ガスの削減目標を義務付けておらず、同時に具体策を求めるため、この難題にホワイトハウスは頭を抱えている」と解説しています。オバマ前政権は、2025年までに2005年と比べて温室効果ガスを26から28%削減する目標を掲げていましたが、トランプ政権はそれを達成できないと早々に断念しています。このため、残留する場合、新たな目標が必要で、下方修正となることから国際的な批判の矢面に立たされます。

しかしながら、190か国以上が参加するパリ協定を脱退すればアメリカは国際社会で孤立することなると指摘しています。 Washington Timesによりますと、オバマ前大統領は9日、イタリアのミラノで退任後、外国での初の演説を行い、アメリカがパリ協定に残留することに期待を示しました。「私が大統領だった間、気候変動を最優先課題とした。それは直面する多くの課題の中でもとりわけ今世紀を形作るからだ。経済成長しつつ、温室効果ガスを削減することはできる」と述べました。

Axiosは、ゴア元副大統領がパリ協定離脱判断の先送りが発表された9日、トランプ大統領と電話で直接話し、パリ協定に残留するよう促したと報じています。関係者によりますと、「不都合な真実」でも知られ、気候変動に強い関心を持つゴア氏は、パリ協定を強力に支持していて、去年12月5日にニューヨークのトランプタワーでトランプ大統領と会談するなど、度々会話しているということです。これまたAxiosのスクープです。

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