- 2017年05月10日 10:30
日本国憲法施行70年――重厚な論議を/意義大きい公明党の「加憲」
時代・社会は今、急速に変化をしている。急激な人口減少・少子化、異次元の高齢化の進展、グローバリゼーションや都市間競争の激化、エネルギーと地球環境問題、IoT・ICT・BT(バイオテクノロジー)・AI(人工知能)等の急速度の技術革新、世界の安全保障環境の大変化・・・・・・。21世紀日本の国の形は、きわめて広範かつ深い洞察力を必要としている。だからこそ私は、現在の憲法論議は「ここが不都合」などという次元ではない、「重厚な憲法論議が不可欠」だと主張している。
公明党は「加憲」という立場をとっている。それは、「現憲法はきわめて優れており、国民に定着していることを認識し、憲法3原理を堅持し、時代の進展とともに提起されてきた環境権等を現憲法に付け加えて補強する」という考え方だ。これは、米国のアメンドメント方式と同じ思考法に立つものだ。
憲法の論議の対象として、「環境権をどうするか」「私学助成に関係する89条をどうするか」等々を議論してきたし、昨今では「緊急事態条項と憲法」や、「地方自治と憲法」の関連を論議し、衆院の憲法審査会で発言してきている。また9条については、公明党として「9条の1項2項を堅持し、自衛隊や国際貢献について加憲の論議の対象としている」としている。
かつて私は「IT、BTの時代が来る」として、生命倫理等の問題についても、憲法調査会での論議を促してきた。技術革新が急速度で進むなか、「技術と人間」「AIと人間社会」「BTと生命倫理」の問題は、今のうちに論議しておかないと大変なことになる。政治が対応に追われ、目先のことばかりやっていると、取り返しのつかないことになる。とくに今の政治には、時間軸と構想力、洞察力が必要だ。それを憲法論議のなかで骨太に行う。それが「憲法を論ずることは国の形を論ずること」「重厚な論議が重要」ということだ。
わが国の憲法論議は、2000年の衆参の憲法調査会が始まる前、護憲と改憲のイデオロギー論争のなかにあった。そして改憲勢力といわれた人たちには、憲法改正を強引に衆院3分の2、参院3分の2で議決し、国民投票で2分の1を確保してやる、しかも全文一括でいっぺんにやってしまうというイメージがあった。背景に「押しつけ憲法論」があったことも事実だ。
しかし、2007年に国民投票法が成立した。そこでは、「全文一括、強引に衆参3分の2」というのではなく、加憲的な部分修正で、それを与野党を超えて、これだけは賛成できるという項目を大多数によって実現していこうという考え方が主軸となった。公明党の加憲の意義はきわめて大きいと思っている。時代の進展は速い。今、与野党を超えて「国の形」を論ずる憲法論議の深まり、重厚な論議が要請されている。