- 2017年05月09日 19:16
フランスの新ファーストレディーとマクロンの前途 - パスカル・ヤン (著述家)
フランスは、自由だというとテロリストがはびこり、平等だというと富裕層が逃げ出し、博愛だというと難民が押し寄せる状況になってしまった。
今回あたかもナポレオンが成したごとく彗星のように登場したのがエマヌエル・マクロンで、そのマクロンが勝利宣言の舞台に、すべて彼女のお陰だと手を引いて登壇したのが、妻ブリジットだ。それは単なるプロトコールではない。立候補を焚きつけたブリジットもほっとしていることであろう。ほかにもマクロンに決まってホッとしている人が多い。為替も株式も波乱が避けられたということだ。
とはいえ前途は多難だ。大統領の任期は元々7年だったのが、2002年以降5年になっている。ジャック・シラクの意向であった。シラクは一期目に7年やったが、ルペン父と争った2002年の回では5年に変更している。
そもそも、現在の第五共和制はドゴールの意向によるもので、単純化すればフランス政治の代表選手ナポレオンとドゴールということになる。そのドゴールが決めたのだ。
そもそもフランス革命で王様を殺してしまったので、フランス大統領選挙は王様選びの色彩が強い。7年であればその路線に乗るが、5年だとやや未消化である。したがって、任期5年になって以降二期大統領をやれた人はいない。あのミッテランでさえ、5年の任期であれば、非難轟轟で石もて追われたかもしれない。したがって、マクロンの前途も容易ではない。
最初の関門がフランス革命期に源を発する国民議会選挙となる。7月14日の革命より、一週間早い1789年7月9日に設立とある。したがって、ジャコバンやジロンド、ロベスピエールが主役だったこともあるのだ。セーヌ川にむかって雄々しくたつギリシャ風の建物が、マクロンの鬼門となるのだろうか。あと1カ月少々目が離せない。
ところで、当初は年の差婚ばかりに衆目がとらわれ逆トランプとかいわれて出会いの経緯など騒がれていた。しかし、徐々にマクロン夫人ブリジットの本質の部分に焦点が当たり始めた。現地メデイアによると、5月15日には首相の名前が明らかになるとしている。既に経歴的に相応しい候補が6名前後出ているが、もっとも正確な情報を持っているのは妻ブリジットであろうとしている。一方、彼女が直接何らかの役職につくかは不明としていた。
ブリジットは日本でいえば、千葉高校や浦和高校国語教諭ということになる。また演劇部の顧問だったそうだ。優秀であるのは間違いない。フランスのゴシップネットで2007年10月の結婚式の様子やその後のソワレのダンスをユーチューブのように見ることができる。このエネルギーが若き夫を大統領にしたといえる。
ナポレオンの妻も姉さん女房
思い出せばナポレオンの妻だったジョセフィーヌも姉さん女房で、なかなかの女性であったと記憶している。すなわち、あらゆる局面でナポレオンを軽くいなしながら好き勝手に生きてきたが、後にナポレオンのことが忘れられなくなり、純愛を感じながら50歳でみまかった。ナポレオンも後に政略結婚をするが、生涯の女性はジョセフィーヌであったといわれている。
戦後でも、ドゴールやポンピドーは、カトリック的実直さで女性スキャンダルは寡聞にして知らないが、ジスカール・デスタン以降は小説より奇なりの話が多い。ジスカール・デスタンは、朝帰りで事故を起こし有名になってしまったが、ベルギー放送では奥さんも負けていなかったと伝えていた。
ミッテランや、シラクは日本にも聞こえてきている。サルコジの2人目の妻は略奪婚であったが、結果的にお別れしモデルで歌手の有名人カルラ・ブルーニーとエリゼ宮では過ごしている。その後のオランドは大統領当選前に長年の同棲相手セゴレン・ロワイヤルと別れて女性記者とエリゼ宮に入ったが、その後女優と親密になりその女性記者とはお別れしている。
さて、マクロン新大統領夫人のブリジットはどうなることか、それなりにフランスでも注目されている。体はスリムだが量感のある金髪なので年齢不詳に見える。既に何人もの孫がいるそうだ。また前夫との間の子はマクロンと同世代で例外なくマクロンとうまくいっていると聞いた。娘は選挙運動の中心になったりしているそうだ。
また、ブリジットの激しいご鞭撻のおかげで大統領に上り詰めたのもマクロン自身が自覚していることであろう。一方、1回目の勝利宣言の時に実母もブリジットのそばに登場して、関係の良さが見えるのもうれしい。
ブリジットが政治的にどのような役割をするのかはわからないが、少しだけ発言を聞いたがややアウトスポークンな気がする。この点少し不安だが、幸いフランスのマスコミは言葉尻をとらえたりしない。また学級会的な懲罰はしないのでその点は心配ないが、政治理念に齟齬あると厳しいことになる。
国民議会選挙や年上の嫁捌きも含めて、新大統領マクロンのお手並み拝見ということだろう。
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