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TPP協議で問われる「拒否できない日本」の交渉力

 野田佳彦首相は昨日の朝、米ハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに出席するため羽田空港を出発しました。今日にも、オバマ米大統領と会談して環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を伝えるものとみられています。

 これに先立って、玄葉外相らはAPECでTPP交渉への参加方針を説明しました。米通商代表部(USTR)のカーク代表はその後の共同記者会見で、日本市場について、(1)牛肉、(2)自動車、(3)かんぽ生命保険――の3分野について「あまたの協議を重ねてきた特別の問題だ」と閉鎖性の強さを指摘し、日本との事前協議で取り上げる意向を示したそうです。

 事前協議に向けて、早速ジャブを繰り出してきたということでしょうか。カーク代表の発言は、アメリカの狙いがどこにあるのかを明瞭に物語っています。

 毎年、アメリカが日本に出してきた年次改革要望書について叙述した関岡英之さんは、その著に『拒否できない日本』という表題をつけました。これからアメリカが突きつけてくる要求を、日本は「拒否」できるのでしょうか。

 昨日の『朝日新聞』の「天声人語」は、
「無論、TPP参加が国民のくらしに資するかどうかは、ひとえに交渉力、要は米国にどれほど物が言えるかである。毒にも薬にもなるものを、いかにして日本再生の良薬とするか。本当の試練はそこに尽きる」
と書いています。

 これを書いた方は、「拒否できなかった」日本の過去を知らないのでしょうか。これまでとは違いこれからは「物が言える」と確信して、こう書いているのでしょうか。

 その根拠はなんでしょうか。「毒にも薬にもなるもの」を「日本再生の良薬」にできるような交渉力を、日本の政治家や官僚が持っていると考えているのでしょうか。

 そのような交渉力があれば、沖縄の普天間基地移設問題などは、とっくの昔に解決しているでしょう。沖縄県民の望むような形で……。

 そのような交渉力があれば、米軍基地や日米地位協定を始めとした日米安保の異常な実態は、とっくの昔に解消していたはずでしょう。アメリカによる新自由主義や規制緩和の押しつけにも、断固として抵抗できたはずです。

 そのような交渉力があれば、『拒否できない日本』などという本が書かれることもなかったでしょう。このような本が書かれるほどに、アメリカの要求に対して唯々諾々と従ってきたのが、これまでの日本の姿ではありませんか。

 TPPの協議では、「毒」であることが分かっていながら無理やりそれを飲まされるということはないのでしょうか。これまでも、しばしばそうであったように……。

 そのような懸念は杞憂にすぎないと言いたいのは山々ですが、そう言えるだけの根拠がありません。それが、悲しい現実なのです。

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