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『インベスターZ』を意識高く全巻読んだら、色々すごかった

[まとめ買い] インベスターZ [Kindle版]三田紀房

AmazonのKindleストアで『【まとめ買い】インベスターZ』(講談社)という商品を発見。全部で1,209円。これに関わっている株式会コルク代表の佐渡島庸平さんがメディアで登場するたび取り上げられる漫画だが、ぶっちゃけほぼ読んでいなかったので、売れる作品とは何かを研究するために、カーっとなってポチった。後悔はしていない。あとでよく見たら、第1巻0円、第2巻2円、第3巻3円と徐々に値段が上がっていき、16巻と17巻は普通に540円だった。面白い値付けである。

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Kindleの中も『インベスターZ』だらけ。

バカでも暇人でもないのだが、GW中に思わず一気読み。うん、一気読みするくらいだから、面白いかどうかでいうと、面白いのだろう。ただ、複雑な心境になってしまった。そのモヤモヤを共有したく、いてもたってもいられずエントリーを書いている。

今どき、こういう漫画がウケるんだろうなあ、そのツボを巧妙に押さえているなと思いつつ、そのあざとさにややひいたり。より簡単に言うと、こういうことだ。なんというか、10年くらい前のビジネス書ブーム、新書ブームの頃の本を読んでいるかのような気分だった。漫画版ビジネス書、新書というか。あるいは、企画書というか、意識高い系プレゼン資料を読んでいるかのような気分だった。

あらすじはこうだ
創立130年の超進学校・道塾学園に、トップで合格した財前孝史。入学式当日に、財前に明かされた学園の秘密。各学年成績トップ6人のみが参加する「投資部」が存在するのだ。彼らの使命は3000億を運用し、8%以上の利回りを生み出すこと。それゆえ日本最高水準の教育設備を誇る道塾学園は学費が無料だった。

北海道札幌市にある道塾学園は、全国屈指の学業成績を誇る私立の男子中高一貫校。炭鉱開発や漁業によって財を成した豪商・藤田金七により創設された。彼の方針により、開校以来生徒やその家族には授業料などの金銭的負担を一切かけないことになっている。

入学試験満点の成績で道塾に入学した財前孝史は、始業初日の放課後に野球部の活動に加わろうとしていたところ、ちょうど野球部まで案内するという先輩に出会う。しかし、行先は校内図書館奥の扉からさらに先にある地下室であった。そこでマージャンをして遊んでいた数人の生徒は、自分たちは学校の運営資金を稼ぎ出す「投資部」であると名乗る。 財前は、得体の知れない投資部という存在に疑念を抱きながらも、マージャンで遊べるのならということで活動に参加することにする。
出所:三田紀房公式サイトより


途中、『エンゼルバンク』『マネーの拳』など三田紀房作品のキャラクターも登場したり、ホリエモンや株式会社麻生の代表麻生巌氏、ユーグレナや、スタートトゥデイの経営者など、実在の人物も登場したりする。投資対象も株だけではない。FXや不動産なども登場するし、生命保険の仕組みに関する記述もあったりする。ビジネス書のエッセンスが紹介されたり、歴史や、文化など教養に関する興味深い情報が盛り込まれていたりもする。『週刊少年ジャンプ』の友情・努力・勝利ではないが、友情度はともかく、努力し、勝つという爽快感も何度も味わえる。

『ドラゴン桜』やその外伝の『エンゼルバンク』など三田紀房作品を読んでいた方ならニヤリとするような、三田紀房節というか、佐渡島庸平節というか、そういったものが徹頭徹尾ただよっている。なんというか、本質をつく、一瞬嫌悪感を抱くような「ドーン」というセリフが炸裂するなど、まさにそうなのだ。

ただ、30代前半の会社員だった私なら興奮していたのだろうが、いい加減、中年になり。ちょっと覚めた視点で読んでしまうと、なんというか、踊らされているなあというか、あざといなあという視点で見てしまった。いや、商業出版なので、読者を踊らせる、あざといというのはそれでいい。「楽しく投資が分かる」というのもわかりやすいだろう。

ただ、その手の内がバレてしまっているのが、モヤモヤする原因ではないだろうか。

より単刀直入に言うと、「漫画として、いまひとつ、面白くないじゃないの」ということだ(ああ、言っちゃった)。

こう書くと、熱狂的なファンは怒るかもしれない。ただ、そう怒ってしまうのも「ああ、言われちゃった」と思うからなのではないか。ややネタバレだが、作中の不動産バトルの言葉を借りるならば、「感動に理由なんてない」のである。まだまだ、面白さや感動が足りないのではないの、ということだ。

投資漫画という設定に関しても、より深く考えて頂きたい。「漫画で学ぶ投資」的なビジネス書と「投資漫画」は似て非なるものなのである。投資がテーマであれ、漫画は漫画なのだ。面白くなくてはならない。

以前、新規事業インキュベータの石川明さん、∞プチプチなどの商品で知られる高橋晋平さんと鼎談した際、こんな話になった。高橋晋平さんがこう語っていた。

教育を楽しんでやろうというのは、昔からいろんな人が模索してきたはずで、僕もおもちゃを作りながら、ずっと探っていたんです。勉強って好きだけど嫌いって感情ありませんか? それを、たとえばゲームをしながら英語を覚えられたりとか、知らなかった漢字をどんどん学べたりする遊びを作れるんじゃないか、と思ってきました。

(中略)

でもあるときに、遊びながら学べるという考え方が完全に間違っていると気づいたんです。遊びは100%遊びじゃないとダメなんです。すごいハマって、もうやめられないとなって、その副産物で勝手に覚えるというふうにならないと。

出所:「商売下手な人」が理解していない欲望の本質 ヒット商品は理屈で生まれるものじゃない | 「若き老害」常見陽平が行く サラリーマン今さら解体新書 - 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/106954


この漫画自体が、作中で出てくるセリフ「投資にはルールがある」「ミスをしない」「負けない闘い方をする」的な中身、そのもので、ややひいてしまったのだった。

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2016-04-20




本人の作風といえば、それまでだが、三田紀房さんの絵は躍動感がない。漫画の絵ではないのだ。『バクマン。』の映画で登場する、編集者のセリフではないが、動きが弱いのだ。もっとも、佐渡島庸平さんとのタッグで手がけてきた作品群というのは、彼のその弱点を補っているのだが。

この作品がさらに不思議なのは、売れているかどうか分からないことである。しかし、三田紀房さんや佐渡島庸平さんを紹介する際には、必ず登場するという。売れている風を装っているというか、売れていることになっているというか。さらに言うなら、悪く言っちゃいけないというか。

今回のKindleでの17巻セット1,209円の意味を噛み締めたい。「これだけ面白いマンガを、もっと読んでもらいたいんですぅ」ということなのか。あるいは、(少なくとも期待ほど)売れていないがゆえに加速をつけるという意味なのか。

6月には最新刊も出るという。ここまで読んだので、楽しみに待つことにしよう。今後の展開も激しく傍観しよう。

売れている作品、話題になる作品とは何かということについて考えた43歳の昼。

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私の最新刊も夜露死苦ね!

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