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焦点:救済か破たんか、苦境のアリタリア航空に揺れるイタリア

Giselda Vagnoni and Agnieszka Flak

[ローマ/ミラノ、29日 ロイター] - イタリアのフラッグキャリア、アリタリア航空が再び経営危機によって急降下するのを目の当たりにした同国の国民の多くが、いっそ「墜落」する方が国のためではないかと考え始めている。

度重なるアリタリア救済のため、過去10年超ですでに総額70億ユーロ(約8540億円)を上回る税金が投入されており、そのことに激怒するイタリアの納税者は、ソーシャルメディアを通じて、再び救済を急ぐ政治的な誘惑に抵抗するよう、政府に呼びかけている。

「有権者にとって、アリタリアは無価値だ。ただの重荷だ」──。アンジェリーノ・ギネッリさんのこうしたツイートに代表されるような怒りの嵐がソーシャルメディアで巻き起こっており、これにはイタリア政界も注意を払わざるを得ない。閣僚は今のところ、何らかの言質を取られないよう消極姿勢を保っている。

今週始まったオンラインでの署名活動には、約1000人の賛同が集まった。その1人、シンツィア・ブリグーリョさんは、「アリタリア救済にはもう、うんざりだ」と書き込み、政府の不介入を求めている。

消費者団体もその動きに同調している。そのうちの1つであるCodaconsは、イタリアの会計検査院に対し、国家によるすべての企業救済を精査するよう迫っている。裁判所は、公金濫用の罪で閣僚を含む公職者に罰金刑を科すことができる。

労組の同意を得た経営陣による再建案が、アリタリア航空内の社員投票で否決された4日後、28日に公表された世論調査では、国民の77%が、アリタリアをそのまま倒産させるべきだと回答している。

「経営危機に瀕した企業に対応するため、政府は着実に財政赤字を積み上げてきた。イタリア国民が反発を感じているのは明らかだ」。同世論調査を担当したインデックス・リサーチでディレクターを務めるナターシャ・トゥラート氏は、調査結果とともにサイト上に掲載されたコメントでそう述べている。

国家支援がなければ、アリタリアは破綻への道をたどることになる。ライバルの航空各社は同社の買収にほとんど興味を示しておらず、24日の社員投票で1700人分の人員削減と給与カットという再建案が否決されたことを受けて、債権者も追加融資を拒んでいる。

イタリア政府は同社に対して短期的な延命策を与えている。最大4億ユーロのつなぎ融資を与えて倒産プロセスを進め、そのなかで継続事業体として売却できるか清算するかを管財人が判断するというものだ。

だが政府は、アリタリア再国有化の可能性を否定している。かつては戦後イタリアの経済成長を象徴する国有企業だったアリタリアだが、現在は国内路線におけるライアンエア<RYA.I>やイージージェット<EZJ.L>などの格安航空会社との競争に苦戦している。

同国のパドアン経済・財務相はさらに一歩踏み込んで、直接・間接を含め、アリタリアへの出資に政府は消極的だと発言した。

しかし、2018年5月までに総選挙を迎える同国の民主党政権が傍観者に徹し、アリタリアの破綻と1万2500人の失業を放置すると考えるイタリア人はほとんどいない。

<空気を読む>

権力への返り咲きを狙うレンツィ前首相は、今週末の民主党予備選で新たな党首に選出されることを見越して、5月半ばまでにアリタリアに対する救済計画を示すと述べた。

だが、アリタリアに対する世論の反発を受けて、政治的な計算が難しくなっている。レンツィ氏も、民主党の主な対抗勢力である「五つ星運動」も、アリタリアについて具体的な提案を示すまでには至っていない。

反既成政治政党「五つ星運動」の指導者たちは、アリタリアへの公的資金投入に前向きかどうかについて、コメントを拒否している。

「今回、この問題に関する世論が大きく割れたことで、状況がややこしくなっている」と語るのは、「The endless privatisation of Alitalia(アリタリアの終わらない民営化)」の著者で、ビコッカ大学(ミラノ)で交通論を研究するアンドレア・ジュリチン氏だ。

「五つ星運動などの政党やレンツィ氏をはじめとする政治家が、この問題について態度を鮮明にしていないのは、そのためだ」と指摘する。

街角の意見も大きく割れている。

「もう何年もアリタリアは利用していない。国のフラッグキャリアなど必要なのだろうか。最近ではそうとも思えない」と語るのは、ミラノで経営学を学ぶジュリオ・アレジさん。

他方、アリタリア社員の多くが暮らすローマでは、政府が再び救済に乗り出すことを期待する声も少なくない。

「アリタリアの国有化には全面的に賛成だ。そうなれば、従業員がまっとうな契約条件で働き続けることができる」と金物店で働くラファエレ・ディ・ジャコモさんは言う。

とはいえ、労組関係者の一部は、政府出資の救済に反対する世論の勢いは強いと感じている。

「政府の介入に人々が反対していることは知っている」と経営陣による再建案に同意した労働組合の1つ、Fit-Cislを率いるアントニオ・ピラス氏は語る。「しかし選挙戦はすでに始まっており、このタイミングならどんなことでも起こり得る」と付け加えた。

(翻訳:エァクレーレン)

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