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教育無償化に必要なのは憲法改正ではなく「こども国債」

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■「こども国債」と「教育国債」とは、何が同じで何が違うのか

5月3日、安倍総理は、憲法改正のテーマの一つに「教育無償化」をあげました。しかし、これは法律で十分対応できる話で、むしろ大切なのは、どのような財源で無償化を実現するかです。仮に総理のおっしゃるとおり2020年に改正が実現するとしても、どのような財源をあてるつもりでいるのでしょうか。財源論が置き去りになっています。

私は、教育無償化の財源の一つとして、昨年の民進党代表選挙で、「こども国債」を提案しました。その基本的考えについて改めて述べたいと思います。

結局は借金で「将来世代への負担の先送り」に過ぎない、

自民党文教族の提案する「教育国債」と何が違うのか、

こうした質問をよく受けるので整理して話をしたいと思います。

まず、私が代表選挙で「こども国債」を提案した目的は大きく二つあります。一つは、日本の子育て・教育予算をOECD平均並にまで速やかに倍増させ教育無償化を実現すること。そして、もう一つの目的は、国債発行が許される対象経費を抜本的に見直すことです。

■「こども国債」でしか、子育て・教育予算を速やかに倍増できない

私は、現在約5兆円規模の子育て・教育関連予算を10兆円規模に倍増させ、教育の無償化を実現することが、働く世代の家計負担を大幅に軽減させ消費を拡大させる最大の経済対策だと思っています。同時に、潜在成長率を高める最も効果的な成長戦略にもなるでしょう。

「家庭政策」というカテゴリーでみたときの、日本の子育て・教育予算の対GDP比率がOECD平均の約半分であることはよく知られていますが、これを速やかに倍にするためには「こども国債」の発行が必要です。

「無駄な歳出削減」は必要ですが、そんなに巨額の無駄があるのでしょうか、仮に「無駄な歳出削減」ができたとしても、その多くは高齢者福祉の増加分を賄うために使われるでしょう。

また、現代において優れた教育機会を保証することは、単に所得の低い家庭の子どもたちに教育機会を提供するだけでなく、人工知能(AI)が台頭する時代、新しい社会を生き抜くすべての子どもたちに時代にあった最先端の教育内容を届けるためにも不可欠です。

結果として、日本経済における労働生産性も潜在成長率の向上にも資するでしょう。従来型の公共事業より高い投資乗数も期待できます。

■「こども国債」のもう一つの目的…公債発行対象経費の見直し

こうした経済面、社会面でのプラス効果は、自民党の「教育国債」でも言われていますが、私が、「こども国債」を提案したもう一つの理由は、財政法で規定されてきた公債発行対象経費を抜本的に見直したいからです。そして、この見直しなくして、実のある財政再建もできないと考えます。

現行の財政法では、「建設国債」の発行しか認められていません。建設国債というのは、橋や道路といったインフラ建設の予算の調達するために発行される国債で、これらインフラ施設は後の世代も利用できるため、返済の負担を後世代に回すことに合理性があると整理され、財政法でも発行が認められています。

■今の赤字国債は実質「高齢者国債」

一方、赤字国債は、単に歳出と歳入の差をうめるために発行される国債で、財政法上は発行が認められませんが、厳しい財政事情のため、特例法に基づいて毎年発行されているものです。

そして、赤字国債で調達された資金は、実質的に、過去の借金の元本と利払いのため「国債費」という名目で約20兆円強、残りの10兆円弱は、税金や保険料で賄いきれない高齢者向けの「社会保障関係費(医療・介護等)」をカバーするために使われています。

つまり、赤字国債のうち少なくとも約10兆円は、高齢者福祉のために使われる「高齢者国債」と呼んでもいい状況です。そして、この赤字国債で賄われた財・サービスを享受した高齢者は、返済の負担を負うことはなく、その負担はサービスを受けていない次世代に回されます。

■「こども国債」は、子どもたちに負担の前に便益を与える

一方、私の提案する「こども国債」が、「高齢者国債」たる赤字国債と大きく異なるのは、「こども国債」で調達されたお金は、まず子どもたちのために全額使われることです。つまり、子どもたちは負担者になる前に、全員が受益者になります。

赤字国債は、次世代の国民にとって、「便益なしで負担だけある」のに対して、「こども国債」は、「負担の前に便益がある」国債です。

■「こども国債」は自償性の高い国債

加えて、「こども国債」の発行で、しかるべき教育を受けた子どもの数が増えれば、彼らは20年~30年もすれば立派な納税者になります。そうすれば、彼らが自らの力で償還(返済)できる可能性も高まります。少し難しい言葉で言えば、「こども国債」は「自償性」の高い国債とも言えます。

財務省や自民党議員の一部が主張するように、「後世代に借金のツケだけを残す国債発行を減らすべき」なら、まず「高齢者国債」たる赤字国債を減らすべきです。赤字国債を減らさず、「こども国債」がダメだと言っても説得力に欠けます。

■問題は、いかなる支出に借金を認めるか

会社経営でも無借金経営が望ましいのでしょうが、多くの企業が借り入れを起こして経営をしています。問題は、どのような支出に対して借り入れをしているかであって、借り入れがすべて悪いわけではありません。例えば、将来の売り上げ増加につながる設備投資であれば、その資金を銀行からの借入れで調達しても合理性があるでしょう。

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