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安倍総理の自衛隊加憲発言の意味

https://gyazo.com/91c695da391254ea6310d02172205ce4
(出所)国立公文書館

5月4日は「みどりの日」の祝日です。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。」(祝日法)とされています。新緑の中、天気も良く、事故に気をつけ、各地に行楽にお出かけになっていると思います。。「みどりの日」は、もともと4月29日で昭和天皇が崩御後に天皇が植物を研究していたことから、この日となったと言われています。その後、平成19年から4月29日が「昭和の日」と改称されて、連休化する意味もあって5月4日に移動となりました。

連休中、都心を訪れるのであれば、皇居の北、自然豊かな北の丸公園の南側に国立公文書館に立ち寄るのはいかがでしょうか。東京国立近代美術館の左隣です。5月7日(日)まで「誕生日本国憲法展」(入場無料)が開催されています。日本国憲法の原文だけでなく、その元になったマッカーサー草案の日本語訳原本も見ることができます。憲法制定過程を知ることにもなりますので、ぜひお立ち寄り下さい。

http://www.archives.go.jp/

●安倍改憲発言の反響

5月3日の「憲法記念日」に合わせて、安倍総理(自民党総裁)が、9条1項2項をそのままに3項目に自衛隊を明記するという改憲案と2020年五輪東京大会から施行したいという期限を明言したことで、各方面に反響が広がっています。

読売5月3日「首相改憲案「自衛隊明記」に公明理解、維新歓迎」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170503-OYT1T50152.html

朝日5月4日「本丸「9条」、首相が踏み込んだ意図は」

http://www.asahi.com/articles/ASK5362NVK53ULZU004.html?iref=com_favorite_01

日経5月4日「見えてきた安倍首相の改憲カレンダー」

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15979790S7A500C1000000/

●改憲は二階建て方式

 安倍総理は、考えに考え抜き、相当準備をした上での発言ではないかと感じています。

10年前の現行憲法同様に占領期に制定された教育基本法改正も、旧法の法文を変えずに新法文を二階建て方式で追記したものでした。その先例に倣ったものかと感じました。

さらに、安倍総理の9条第3項自衛隊加憲論には前例があることを思い出しました。それは、小沢一郎氏が24年前に著書『日本改造計画』(平成5年1993年)です。「普通の国」を目指すとして、当時社会党でも認めることができる改憲案と話題となり、政治活動駆け出しの若かりし私も熟読した記憶があります。安倍総理がその著書を参考にしたとも思えませんが、現実政治家として智恵が一致したのかもしれません。ただし、当の小沢氏自身は今や改憲絶対反対を叫んでいますが・・・

https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%94%B9%E9%80%A0%E8%A8%88%E7%94%BB-%E5%B0%8F%E6%B2%A2-%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4062064820

●自衛隊加憲の目的は国家国民の安全をより保障するため

我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中で、国家国民を護るために、どうしたらいいのか。そのための平和安全法制の制定は大きな前進でした。しかし、その審議を通じて、私自身痛感したことですが、自衛隊に対して国民の理解と支持が高いにもかかわらず、相変わらず自衛隊違憲論が憲法学者に根強く、その考え方に影響された議員やマスコミの扇動が我が国の安全保障議論の深まりを欠くことに繋がっていました。

まずは、憲法に自衛隊を明記して、違憲論を一掃し、その上で我が国の安全保障政策の議論を深め、必要な戦略や法、予算、人員、装備等の整備を進めていくことではないかと思っています。自民党憲法草案のように、9条2項を改正した上で自衛隊を明記することが最善の策には変わりはないと思うのですが、現実を動かすために国会議員で3分の2以上、国民の過半数以上の支持を得るためには、憲法9条への自衛隊追記論は最低限の改正論ではないかと思っています。

●憲法を生かす

 近代憲法は、成文法が当然視されていますが、議会制度発祥の地英国を見て分かる通り、慣習法の基盤があって初めて機能するものだと言われています。憲法が条文通りに生かされるか、機能しているかどうかは慣習に係っているというわけです。慣習とは、国民の意識、歴史の積み重ね、伝統の中から生まれてくるものです。お隣の大国が立派な憲法があっても、人民の権利は保障されていないのはその所以です。我が国の場合、占領期に制定された現行憲法、特に新たに何の議論や積み重ねもなくGHQの占領政策で挿入された条項が機能しないのも当然です。

自衛隊は、国家の存立にとって自然権に基づく存在であり、国際情勢の変化と、隊発足以来関係者の努力があって、国民が支持する存在となってきました。その自衛隊を憲法に明記することは、いまや誰も反対する人はいないと思います。それでも、反対する人は別の意図があるとしか思えないのは、私だけでしょうか。

 私は、わが国の伝統的な精神、智・仁・勇の「三徳」に基づき、「国づくり、地域づくりは、人づくりから」をモットーに、全ては国家国民のために、日々全身全霊で取組みます。

…………………………………………………………………………………

●現行憲法の制定過程

 5・3「憲法記念日」の今日、改めて現行憲法の制定過程を確認しておきたいと思います。国立国会図書館がまとめた「日本国憲法の誕生」から、以下箇条書きでまとめてみました。現行憲法制定過程の異常さは、いくら内容が良い、民間の草案を活用している、選挙で選ばれた議員による国会で議論されていると言っても、結局外国人であるGHQが我が国の憲法改正の決定権を握っていたということに尽きていると思います。敗戦による国家主権喪失です。今外国勢力が我が国の憲法や法律に影響を及ぼそうとしたら、どうなるか考えればすぐに分かることだと思います。その過程で、国家国民を思う先人の努力は大いに評価するものですが・・・

http://www.ndl.go.jp/constitution/index.html

⑴米国の占領方針

 7/26米英中がポツダム宣言発表(本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除、民主主義的傾向ノ復活強化、言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立) 

 8/10御前会議で国体護持を条件に受諾。8/14御前会議で最終受諾決定。8/15終戦

 9/2 降伏文書調印。マッカーサー占領政策開始。9/10 GHQ検閲開始。

10/9東久邇宮内閣から幣原内閣へ。10/11マッカーサーが幣原首相に「憲法の自由主義化」を示唆。9/11戦犯逮捕指令。

⑵日本政府の改正案

 10/22憲法問題調査委員会設置。帝国憲法は立憲主義でその改正で十分民主化できる

⑶各党や学者等が草案を発表

帝国憲法改正から天皇制廃止まで幅広く多様な案

⑷GHQ草案

 S21/2/1毎日新聞が政府改正案をスクープ。2/3マッカーサーが3原則(①天皇は元首でその地位は憲法及び国民の意志、②国家の主権として戦争廃止、③封建制廃止)の指示。GHQが民間憲法案や合衆国や諸外国の憲法を参考に10日間余りで英文草案を作成。2/8政府がGHQに改正案提出。2/13政府案を拒否しGHQ草案を手渡す。

⑸日本政府案の作成

 2/22GHQ草案を受け入れるしかなく翻訳して3/6政府要綱案を作成。GHQとの交渉で一院制から二院制へ。

⑹戦後初の衆議院総選挙

 4/10初の女性参政権 2票制で女性議員36名初当選 憲法が主要争点とは言えず?

 5/22第一次吉田茂内閣成立。

⑺国会での一部修正

 枢密院ではただ一人天皇機関説の憲法学者美濃部達吉は帝国憲法改正で十分と一貫して反対。6/20政府が改正案を議会に提出。衆議院ではGHQの要請で前文を「主権が国民に存することを宣言し」、第1条を「主権の存する日本国民の総意に基づく」と修正。9条では「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、……」との文言を追加し、また、第2項も、「前項の目的を達するため」と改められ、自衛権を読み込めるよう修正(芦田修正)。参議院ではGHQの要請で国務大臣は文民等4項目を修正。3か月半での審議で10/7成立。

⑻憲法公布、総選挙、施行

 11/3憲法公布。4/20第23回総選挙(過半数政党出ず)後、吉田内閣から片山哲社会党内閣誕生。5/3施行。皇居前広場で記念式典、各地で記念講演会開催。憲法改正に合わせて、皇室典範改正、国会法、内閣法、裁判所法、地方自治法などが新たに制定され、刑法、民法などの規定も改正。

⑼憲法普及

 12/1官民で憲法普及会(芦田均会長)が組織され、研修や講演、出版、懸賞論文、映画、「憲法音頭」等展開。小冊子「新しい憲法 明るい生活」は2千万部全世帯配布。

 http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/05/141/141tx.html

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