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年金の死を早める小宮山厚労大臣

先週、共済年金と厚生年金の一元化法案を、来年の通常国会に出さないと言っていた小宮山厚労大臣であったが、おととい(11日)の閣議後記者会見で、一転、通常国会に出すと明言した。

通常国会が来年早々の1月に召集されることを考えると、もうほとんど新たに検討を加える時間的余裕がない。小宮山大臣が記者会見で述べたように、「2007年に提出した法案をベースに検討している」どころか、ほぼ同じものが出てくるということであろう。

実はそれどころか、小宮山大臣が記者会見で明らかにしたところによれば、「現在、財務省などと職域加算を廃止するかどうかを調整しているところである」と言う。2007年の法案でさえ、この共済年金の独自の上乗せ給付で、「3階部分」に当たる職域加算を廃止することは決まっていたのだから、現在、調整しているということは、明らかな改革後退である。

つまり、年金問題の素人である小宮山大臣の足下を見て、官僚達の巻き返し、官民格差のあからさまな温存が行われているのである。官僚達のお手盛りで進む一元化法案の問題点については、下記ブログに2回にわたって書いてきたところであるが、2007年提出の法案でさえ、厚生年金に益がないどころか害を与える法案となっている。さらに、職域加算を温存するのであれば、一元化など「しない方がマシ」というものである。

「公務員年金の合併でさらに苦しくなるサラリーマンの年金」

http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/35630093.html

「報道ステーションで言い足りなかった事(共済年金と厚生年金の一元化問題)」
http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/35648775.html

このような法案を、前言を翻してまで即時提出せざるを得なくなるということから判断しても、小宮山大臣と官僚の力関係が、もはや完全に逆転していることは明らかである。就任当初、リーダーシップを発揮しようとして鼻息が荒かった小宮山大臣であるが、結局、3か月も持たなかったわけである。

しかも、この記者会見で、小宮山大臣はもう一つ気になることを発言している。それは、現在検討されている年金改革案のうち、「(国民に)プラスになるものは(来年の通常国会に提出予定の法案に)盛り込もうと思う」との発言である。

具体的には、(1)所得が低い高齢者の基礎年金加算、(2)基礎年金の受給資格を得られる最低加入期間の短縮、(3)産休期間中の厚生年金保険料の免除などを挙げたとのことであるが、これは最悪の選択である。

これらは、現在挙げられている年金改革諸案の中では、苦い薬を包み込んでいる砂糖のコーティング部分である。先のブログ(22年後に迫る公的年金の積立金枯渇)でも述べてきたように(http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/35637699.html)、年金財政は危機的な状況にあるから、支給開始年齢引き上げをはじめとして、マクロ経済スライドのデフレ下での即時発動や、保険料率の追加引き上げなど、「苦い薬」を国民に頼むしかない状況なのである。

小宮山大臣は、支給開始年齢引き上げについて、9日の衆院予算委員会で「来年の通常国会、あるいは再来年という短時間の中で法案を提出することは考えていない」と、少なくとも2年間は法案提出しないと先送りを決めたとのことであるが、この程度のことさえできないのでは、後に控えるもっと苦い薬を処方することなど到底不可能である。

ましてや、苦い薬を包んでいる砂糖だけ先に食べようというのは、まったく論外である。いかにも選挙目当てのバラマキが好きな民主党議員らしい発想であるが、もはや国民をだますのにも程があると言うべきである。甘い話には毒がある。甘い話にばかりのっているうちに、積立金の枯渇はすぐそこまで迫っているのである。

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