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【読書感想】世界から格差がなくならない本当の理由

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こういう両側からの意見を読むと、僕は考え込ますにはいられません。
「公平」って、何なんだろう?
富裕層からいえば、「低所得層のほうが、拠出しているお金は少ないのに公共サービスを優先的に受けていて『不公平』だし、貧困層からみれば、「富裕層は恵まれているのに自分たちのことしか考えていなくて『不公平』」なんですよね。
結局、どちらかが正しい、というよりは、どこかで折り合いをつけなければならないのでしょうけど。

そもそも「格差は悪いことではない」と考えている人は、けっして少数派ではないのです。
極論すれば、みんな同じだったら、「共産主義」になってしまう。
(社会主義国家だって、「みんな同じ」にできなかったことは歴史が証明していますが)

シンガポール在住の伝説の投資家、ジム・ロジャーズさんは、インタビューのなかで、こう言っています。

「世界には貧しい人も金持ちもたくさんいる。それはいつの時代でも同じ。格差は常に起こり続け、多くの人が解決しようとしてきたが、変えられた人は誰もいない。私の解決策は、自信がある人々に好きなだけ金を稼がせればいい。たくさん稼ぐ人の多くは、一部をチャリティー、教会、学校など誰かに与える。私に言わせれば、大金を稼ぐ人がいるのは悪いことではない」

みんなが少しずつ豊かになるように努力するより、稼ぐのが得意な人がたくさん稼いで、その分け前にみんながあずかったほうが、全体としては「豊か」になる、という考え方は、けっして少数派ではありません。
2015年のアメリカでの個人寄付総額は約29兆円で、同年のロシアの国家予算(約28兆円)を上回ったそうです。

ただ、「格差は必要悪というか、人類の必然なのだから、仕方が無い」と、このまま格差が広がっていくのをどこまでも見守っていく、というのは、社会不安を引き起こしますし、日本国憲法第25条にも反しています。

第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

池上さんは、2016年9月のOECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国33ヵ国の「教育機関への公的支出の割合」が33ヵ国中32位、しかも、2015年までは6年連続で最下位だったことを示して、こう述べています。

ヨーロッパの国の多くは高校まで、あるいは大学まで教育費が無料です。特にグラフの左の方の北欧諸国は、幼稚園から大学まで学費がすべて無料です。
中には大学生にお小遣いを支給する国もあります。学費が無料であるばかりか、「アルバイトしなくていいように生活費も渡すから、勉強に専念しなさい」という国まであるのです。
ベースにあるのが、「きちんと教育を受けた子供たちは、将来、就職してお金を稼げば税金を国に納めてくれるから、結局、教育に投資したお金は戻ってくる」という考え方です。
日本は、あれだけ教育格差があるのですから、もう少し何とかならないのかと思いますよね。でも、実はまだこんな状態だということです。
日本の場合は、消費税を2%上げて、その2%分の税金をすべて教育費に充てれば、小学校から大学までの学費を無料にできるという計算もあるのです。「だったらそうすればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、子供のいない人や子供の教育がもう終わってしまった人から「なんでよその子供のために私の払う消費税が2%上がるんだ」という反対の声が上がることも考えられます。そうなると、なかなか実現は難しい。
よその子供であっても、きちんとした教育が受けられて、就職して税金をきちんと納め、年金の保険料も払ってくれれば、将来の年金制度が維持できるということにもなります。広い視野に立ってこの問題を考えていくことも必要だと思います。

教育にお金を使うこと、教育格差をなくしていくことは、将来の「格差」の解消につながる可能性が高いのです。
今の高齢者たちは若者たちのことを考えずに逃げ切ろうとしている、ように感じるけれど、僕くらいの30〜40代もまた、自らの「貧困」に縛られて、子供たちのことが見えなくなっているのかもしれません。
人間とは、そういうもの、だと言われるかもしれないけれど、北欧では現在すでにやっていることですし、長い目でみれば、いちばん効率的な投資は「教育」だというのは、言い尽くされていることなのです。

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