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大学新入生よ、自由と責任を自覚せよ - 塚崎公義(大学教授)

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大学1年生の初回講義で、大学生の心得について語りました。特に強調したのが自由と責任についてですが、それ以外にも幅広い話をしました。

■大学生は大人として扱われる

入学おめでとうございます。皆さんは、これから大人として扱われます。高校生と大学生の最大の違いは、周囲が皆さんを子供扱いするか大人扱いするか、という点にあります。

2歳の子供が赤信号を渡ろうとしたら、皆が止めます。彼等には赤信号を渡る自由がありません。でも大人が気がつかない間に赤信号を渡って怪我をしたら、「気がつかなかったから止めてあげられなかった。ゴメンね。可哀想に」と言われます。

大人が赤信号を渡ろうとしても、誰も止めません。渡っても大丈夫か否かを判断する能力があると周囲に見做されているから、誰も止めないのです。しかし、渡って怪我をしたら「バカだね」と言われるだけです。自己責任ですから。

皆さんが講義に来なくても、講義中に寝ていても、多くの教授は怒りません。イビキがウルサくないない限りですが(笑)。そのかわり、皆さんが単位を落としても、自己責任ですから、周囲から「バカだね」と言われるだけです。

高校時代は、授業をサボると怒られましたが、卒業はさせてもらえました。大学は、そうではありません。高校時代は、怒る先生は厳しい先生で、怒らない先生は優しい先生でしたが、大学では怒ってくれる先生は優しい先生なのです。大多数は冷たい先生ですから、皆さんが講義に来なくても寝ていても、「単位は要らないのね」と思って放置します。気をつけて下さい。

なお、私語は、周囲に迷惑なので、多くの先生が怒ると思いますが、それは別問題です。大人でも、他人に迷惑をかける自由はありませんから。

■メリハリが必要

頑張る事は素晴らしいことですが、何時でも頑張っていては疲れてしまいます。そこで、頑張るべき時と、そうでない時のメリハリをつけましょう。多くの大学生にとって、頑張るべきなのは、期末試験の前と就職活動の時ですが、今ひとつ「履修登録の時」も頑張りましょう。どの科目を履修するのか、真剣に考えて決めないと、「退屈なのに単位をとるのが大変」という講義を履修してしまうかも知れませんから。

チョッと努力するか否かで半年間の苦労が全く異なるのですから、ここは頑張りどころです。人生には、「チョッとした努力で、その後の人生が大きく変わる」というタイミングがありますが、履修登録も(小さいですが)その一つなのです。

「単位をとるのは大変だけれども、得るものも大きい」という科目を履修するか否かは皆さんの価値観次第ですが、「退屈で得るものが少なくて単位が採りにくい科目」は避けたいですね。

では、どうやって避けるのでしょうか?担当教授が書いたシラバスという「この科目の内容」という紙を見れば、わかるでしょうか?そんな事はありません。誰も「この科目は退屈で得る物が少ない」とは書きませんし、「単位をとるのが大変だ」と書く教授も少ないでしょう。ではどうするか。

■非公式情報が大切

レストランを選ぶとき、レストランのホームページを見ても、「安くて美味しい」としか書いてないでしょうから、一番確かなのは、行った事のある人に感想を聞く事でしょう。講義も同じです。先輩に話を伺いましょう。知っている先輩が履修していない科目だったらどうするか?友人が別の先輩から得ている情報を教えてもらいましょう。

その際、重要な事は、情報はタダではない、という事です。お礼にジュースを御馳走しても良いですし、友人の知らないレストランの情報でも良いですが、友人の知らない講義の情報を教えてあげられれば更に良いですね。いつも情報を得ているばかりでは、友人が皆さんの事を図々しいと思うでしょう。 下手をすると、友達付き合いが難しくなってしまうかも知れません。恩を受けたらお礼をする、というのが大人の礼儀です。

それから、情報源を多数持っておくことが重要です。その科目をとったことのある先輩に辿り着くまでに、「友達の友達の友達に聞いてもらう」というのでは、到底必要な情報は揃わないでしょうから。

履修登録よりも遥かに重要なのは、就職関係の情報です。「あの会社は運動部優先らしい」「面接でこんな質問をされたらしい」という情報を持っているのといないのでは、大きな差がつくからです。遅くとも就職活動を始める頃までには大勢の友人(遊び相手ではなく、情報交換できる相手)を作っておきましょう。

■大学の勉強は、考える力をつける事

高校までの勉強は、覚える事が主だったと思いますが、大学の勉強は、考える事が主になります。「何がどうしてどうなったのか?」と自分で疑問に思う事が出来て、それを調べる事が出来れば素晴らしいですが、そこまで行かなくても先生が説明してくださる事を自分なりに理解して、答案やレポートにアウトプットする、という訓練が重要です。

大学で勉強した事が、そのまま世の中で役に立つ事は、文科系の場合、それほど多くありません。私は法学部の出身ですが、銀行時代も教授時代も、法学部で学んだ事が直接役に立った事はほとんどありません。学生時代には経済学も学びましたが、こちらも銀行時代は殆ど役に立ちませんでした。それでも、大学に行って良かったと思います。

それは、「自分で物を考えて、考えた事を相手に理解してもらう」という訓練が出来たからです。それさえ出来れば、何学部で何を専攻しても構わないでしょう。極端な話、文学部で源氏物語を学んでも、知識はおそらく絶対に仕事には役立たないでしょうが、そこで頭を鍛えた事は仕事で大いに役立つはずです。

■ノートを清書して提出すること

ここからは、他の教授と私の考え方が違うかも知れませんが、私からのメッセージです。皆さんの多くは、サラリーマンになるでしょうから、私は皆さんがマトモなサラリーマンになるための訓練をしたいと思います。

遅刻をしない、レポートの期日に遅れない、等々はもちろんですが、更に大事なのは、他人の話を聞いてメモをとり、それをまとめ直して上司に報告書を出す訓練です。

高校時代までは、先生が黒板に書いたことを書き写すのが勉強だと思っていた人が多いでしょうが、それでは就職してから困ります。「御客様、黒板に書いてくださらないとメモがとれません」というわけに行きませんから(笑)。

そこで、私はわざと黒板も書かないし、プリントも配りません。私の話をよく聞いてメモをとり、家で清書をしてノートを提出して下さい。それで成績をつけますので。

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