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焦点:主要生損保の資産運用、「模索の時代」 17年度は一段と多様化

[東京 26日 ロイター] - 国内主要生損保の2017年度・資産運用計画では、多様化が一段と進む。日本国債への慎重姿勢は変わらないものの、為替ヘッジ付き米国債がヘッジコストの上昇でリターンが低下、円金利資産の代替が難しくなった。

「横並びの時代」は終わり、オープン外債や、欧州債、社債、オルタナティブ、外国株など、各社それぞれ投資先を模索している。

<運用難度がレベルアップ>

運用難のレベルが一段上がった。世界的な低金利が続いているというだけでなく、投資先の選択という点でも、これまでになく難しい環境だ。「これだけを買っておけばいいという時代は終わった」──。ある国内生保の運用担当者はそう話す。

日銀の金融緩和政策もあって、国内の低金利環境は今年度も変わらない見通し。10年物国債<JP10YTN=JBTC>など円金利資産への投資は、ほぼ全社で慎重だ。だが、円金利資産のメーンの代替先としていた為替ヘッジ付き米国債は、米追加利上げでヘッジコストの上昇が見込まれ、運用難に拍車をかけている。

米10年国債<US10YT=RR>利回りは足元で約2.3%と伸び悩んでいる。為替ヘッジコスト(3カ月、年率換算)は1.5%程度であり、「仕上がり」のリターンは0.8%程度。日本の30年国債<JP30YTN=JBTC>利回りとほぼ変わらない。資金を長期固定するリスクを取って日本の超長期債にするか、ヘッジ付きの米国債かの選択は難しい。

さらにヘッジ外債とオープン外債の選択も容易ではない。ヘッジ比率が8割強とかなり高くなっているバイサイドも多く、一部はヘッジを外したり、オープン外債を積み増す計画を明らかにしているが、オープン外債は為替変動リスクがあり、円高(ドル安)になれば為替差損が発生する。

景気見通しは緩やかな回復でほぼ一致する一方、「相場がかなり大きく変動する場面に備える必要がある」(明治安田生命の山下敏彦・執行役副社長)との見方も多い。各社とも為替や金利をみながら機動的に資産配分すると口をそろえるが、今年度の資産運用は、運用担当者の「予測精度」がいつにも増して問われそうだ。

<積極化するクレジット投資>

多様化が進む中でも、共通して増えそうなのが、クレジット資産への投資だ。社債や事業債などで相手の信用度(クレジット)に応じ、国債との利回りのかい離幅(スプレッド)が決まる。国債よりも利回りが高いのが魅力だが、個別案件のリスクとリターンを見極めるため、国債よりもさらに「目利き力」が必要になってくる。

明治安田は、今年4月にクレジット投資部と海外運用審査グループを新設。3カ年の中期経営計画では社債など国内、海外のクレジット資産に累計1兆6000億円の投融資を計画している。インハウス(自家運用)で機動性を高めると同時に、リスク管理体制も強化する。

外部の力を導入する企業もある。住友生命は、今後3年間で外貨建て事業債などクレジット資産に2兆円投資する計画だ。米国の中堅生保シメトラ・ファイナンシャルを昨年買収。銘柄選別の目利き力を生かす体制が整ってきたという。「高格付け銘柄なら1%ぐらいのスプレッドが乗る」と、同社運用企画部長の松本巌氏はみる。

日本生命も個別案件への投資を強化する。3年間の新中期経営計画で成長・新規領域への投融資を1兆5000億円計画。1)海外プロジェクトファイナンス、2)ESG(環境、社会、企業統治)債、3)新興国、4)国内企業の海外進出支援向け等融資、5)物流等の不動産投資、6)国内外のベンチャー投資──などがターゲットになる。

<国内投資には依然消極的>

世界的な運用難ではあるが、各社とも視線は海外に向いている。国内向けの投資は、よくて若干の増加、積極姿勢をみせる生損保は少ない。

富国生命保険は、過去の円高局面で投資したオープン外債などの高収益資産からの「果実」があり、無理な利回り追求はしない方針だ。しかし、その高収益資産も2020年ごろに償還のピークを迎えるため、将来を見据え、社債や高配当株などを今後5年間で5000億円程度積み増す方針だ。

そこにはエクイティも視野に入っている。ただ、外国株中心で、日本株に対しては依然慎重だ。「日銀によるETF(上場投資信託)買いで下値不安は乏しい。しかし、日本経済のデフレ脱却など明るい将来が見えたわけではない。割安感が出たとしても、それだけでは長期投資はできない」(渡部毅彦・財務企画部長)という。

円建ての保険商品を販売する生損保は、その負債に見合う円金利資産を持つのが、ALM(資産と負債の総合管理)上、理想的だ。しかし、20─30年の超長期債でさえ1%を下回る低金利環境では償還分の再投資も難しい。

この4月から標準利率が1%から0.25%に引き下げられた。利率の低い保険商品の発売も始まったが、まだごく一部。巨額な資産を「逆ザヤ」にしないための苦労はしばらく続きそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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