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【センターステージは地政学リスク】

フランス大統領選挙では中道で無所属のマクロン氏と国民戦線のルペン氏27日の決選投票へ。

先だって週末にワシントンで開かれたIMFと世界銀行の春の会合では、欧州債務危機や世界経済ではなく、欧州の政治を含めた地政学リスク一色だったという報道が相次いでいます。

一方、あまり話題になっていませんが、"ギリシャ問題再び"を伝える報道も。ギリシャ問題のおさらいが必要かも・・。 

FTはIMF members drop pledge to resist protectionism(IMF各国、保護主義対抗の文言を削除)の中で、「世界の財務相・中央銀行総裁は、保護主義対抗という文言を落とした。これはトランプ政権の貿易に対する姿勢が世界のディベートを左右していることを示すものだ」と伝えています。

具体的には「国際貿易での平等な場を推進する(promote a level playing field in international trade)」としつつ、これまでの「あらゆる形の保護主義に対抗する(resist all forms of protectionism)」とう文言は繰り返さなかったということです。

これはアメリカンの反対を踏まえて、3月にドイツのバーデンバーデンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明をなぞったものです。

今回のIMFの会合ではトランプ大統領の気候変動に対する拒絶反応を受けて、気候変動の文言も落とす羽目になるという見方があったそうですが、最終的には「各国は気候変更が経済に与える山積する影響の解決を次世代に残すべきではない(countries should not leave the mounting economic consequences of climate change for future generations)」というラガルド専務理事の主張を盛り込みました。

全体を通じてラガルド専務理事は、いま世界が直面する喫緊のリスクはこれまでの経済や金融の問題ではなく、地政学的なものだと述べたということです。

Wall Street Journalは、まさにそれをタイトルにしています。「トランプ政権と地政学の懸念がIMFと世界銀行の会合を独占(Concerns About Trump Administration, Geopolitics Dominate IMF, World Bank Talks)で、トランプ政権が会合でセンターステージとなったと伝えています。

「各国の財務相は、フランス大統領選挙や中東の混乱、核開発を進める北朝鮮との対立と国際政治が世界経済の成長を台無しにしかねないと懸念してきたが、米中の貿易戦争に発展しかねないトランプ政権の政治が議論を独占した」といいます。

ラガルド専務理事は22日、「金融や経済をめぐるリスクが高い状態から、地政学のリスクがより大きい状況に移った」と述べました。

外国政府が懸念するのは2点。

貿易相手国に懲罰的な制裁を加えるのか:トランプ政権が主張通り、鉄鋼製品の輸入制限をすれば貿易戦争が勃発し、 IMFは世界経済が2%減速するという。

トランプ大統領が北朝鮮に対して軍事行動を起こすかどうか:アジアでの紛争の引き金になりかねない。

ドイツのショイブレ財務相は「国益にかなう良い取引/合意を目指すのはまったく正当だ。ただし、自国にとって最良の取引/合意は、相手国をも潤すものだということを経験は教えてくれる」とチクリ。

ReutersはMnuchin urges IMF to enhance FX surveillance(ムニューシン財務長官、IMFに対して外国為替の監視強化を促す)として、財務長官が22日、IMFの会合で「我々の見方では、過剰な貿易黒字は、過剰な貿易赤字同様に、自由で公平な通商システムの維持に資することにならない」と述べました。

トランプ大統領が中国、ドイツ、日本の対米貿易黒字が大きく、通貨安で儲かっていると批判してきたことを踏まえて、「IMFは、貿易黒字国がより公平な通商システムに向かって何をするべきか指摘するべきである」と述べたということです。

さらに、ムニューシン財務長官は、各国が競争を有利にするために通貨を切り下げたり、金融政策を活用したりするべきでないとも指摘しました。

New York TimesはIMF Torn Over Whether to Bail Out Greece Once Again(IMF、再度ギリシャを救済するか意見割れる)とまったく違う視点で報じています。

IMF内もトランプ政権内もギリシャに対しては支援をし過ぎで、ギリシャ国債を80%保有する欧州各国にこそ責任があるという見方が広がっていて、破綻間近のギリシャを再び救済することに懐疑的だと伝えています。

IMFは1944年の創設以来、最大規模の資金をギリシャに支援し批判されたものの、世界経済のリスクになると判断すれば、対象国を支援する義務があるため、ギリシャ問題はIMFにとって存在意義を問う問題(existential question for the IMF)になっていると報じています。

「ギリシャ問題が議論を独占したこれまでの春の会合と異なり、今回は新興国の景気回復、世界経済の見通しの改善、トランプ政権の通商政策をめぐる不透明感が議論の中心だった」と指摘。

一方、続けて「参加者によると、非公式の会議ではギリシャ問題をどう進めるかに多くの時間をさいた」とも伝え、今後の展開しだいでは、ギリシャ問題が再び暴発し、選挙が相次ぐ欧州各国を揺るがしかねないと示唆しています。

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