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特別シンポジウム―東大・京大・慶應 前3学長 1/3

■Kids  特別シンポジウム―東大・京大・慶應 前3学長 1/3

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デジタル教科書教材協議会設立一周年。2011年7月28日、特別シンポジウムを開催しました。
安西祐一郎慶應義塾前塾長、小宮山宏東京大学前総長、長尾真京都大学前学長という、3前学長による鼎談。ぼくがモデレーターなのですが、安西先生はそれこそ上司だったし、小宮山先生はDiTTの上司だし、長尾先生は母校の学長。長尾先生の場合、ぼくが社会人になって初めて担当した仕事が自動翻訳電話の開発プラン作成というやつで、研究会を作ることになり、座長をお願いして仕えたといういわくつき(その成果がATRの設立です)。師と仰ぐ3先生をモデレートなど怖れ多い無謀な企画でありました。普段イベントではどんなに偉い人でも「さん」づけで通すのですが、今回ばかりは「先生」通しで行きました。DiTT/KMDの中山さんがログ取ってくれたので、それを基に3回に分けてメモ。

<安西先生講演要旨>-デジタル世代の教育-

大学卒業生が激増し、社会で言われたままで仕事をするのではなく、自分で学んだ力で社会に貢献する時代がやってきた。それに対して、デジタル技術を使った学習が極めて重要な役割を果たす。

OECD が20 世紀末から21 世紀頭に始めているDeSeCo プロジェクトは、アクティブラーニング等の原点のひとつになっている。(PISA のプログラム改訂など) 日本でも長年にわたり、コミュニケーション力や問題解決力などを言われているが、実際の教育現場ではなかなか進まない。デジタル教育が、これを大転換していく大きな力になる。

現在は学びのイノベーション協議会が作られ、文部科学省と総務省のコミュニケーションを取りながら実験をしていくことになっている。

ネット世代の実状を、中高年世代が知らなくてはならない。ネット世代にとってはデジタル技術は当たり前のもので、大人が議論をして「デジタル教育をするべきか」と言っている時代ではない。一方で全国に100 万人あまりいる先生方は忙しく、校務の情報化がついてこなくてはならない。インフラも整備しなくてはならない。やれるところからやっていくことと、全国に網を張らなくてはならないことを両立しなくてはならないが、私はもうやれる所からやらないと間に合わないと思う。

<小宮山先生講演要旨>-デジタル教育の展望-

教育の本質的な問題とは…

1:知識の爆発と領域の細分化(知識が増えるのはいいことだが、全体像が見えない)

2:リアリティの喪失(いい意見としてデジタル教育に反対する人は、リアリティの喪失を恐れているのだろう。しかしそうではなく、リアリティを回復しつつ、デジタルを使う、そのためにデジタルが役立つこともあるだろう。)

3:教員の集団としての対応力の不足(今の先生が優秀でないということではなく、知識の爆発による全体像の把握の難化など、システムが変わり難しくなっている。日本の十分活用されていない資源(高齢者や女性など)が社会に参加してもらう必要がある。)

知識と価値がどんどん新しく生まれて、更に変化していく。だから知識を構造化し、進化する教科書が必要となる時代である。それに対応するためには、ICT しかあり得ない。
プラチナ構想ネットワークという、自治体のネットワークの活動を行っている。課題の構造化(環境問題、エネルギー問題、高齢化など)が必要で、それに対する答えは人間が持つ知識である。

デジタル教科書では、クラウドに膨大な情報が載り、そこから自在に引き出すことができるもの、かつ欲しいものが出てくるような情報領域の区切りも必要かもしれない。
いずれにしても教育を良くする鍵は、ICT と知能と構造化である。

<長尾先生講演要旨>

国立国会図書館は、本900 万冊、日本の全ての博士論文など、計3600 万点ほどある。しかし、構造化がなかなかされない。分類はあるものの、知識の構造化として本当にいいかどうかが問題となっている。それだけ膨大な過去の人類の知識を有効活用するためには、全てをデジタル化して、関連する知識をリンクさせ、大きな概念の物と小さな概念の物を体型的に構造化することを目指している。他の図書館にも独自の書籍があり、そういったものをネットワーク化させることで、必要な知識をうまく取り出せるようにすることも必要になる。これも日本だけではなく、世界中で相互利用できるように努力している。一方では、ネット上には膨大な情報がある。Web サイトを集めて、簡単に検索できるものも作っている。

これからの電子書籍はマルチメディアの世界で、紙を単にデジタル化したものでなく、現在売られている電子書籍端末よりもっと進化したもので、読者の方からもアクションができるようなものができてくるだろう。

使う人とデジタル教科書が対話をすることで、デジタル教科書が生徒の能力を引き出したり、生徒の能力に応じて学習を進める事ができたり、ネットワークで結ばれることにより家庭でも生徒同士でディスカッションすることができたりするようになる。

本の立場からは、電子化によって表現の幅が広がった。(音、映像、読者との対話など) そういうものを駆使した教科書を作っていくべきである。

先生方は新しい独自のデジタル教材を作り、それをアーカイブし、共有して、お互いにいい授業をしていける環境を作ることが必要である。これによって、よりよい具体例を示しながらの教育を行えるのではないか。日本の学習をデジタルの世界で進めていくことで、デジタルの良さや欠点を明確にして進めるのではよいのではないか。
(つづく)

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