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「社長、すごい!」と思ったときの褒め表現は?

■目上の人を褒めたい! どう表現する?

対話の相手を褒めたり認めたりすることは、コミュニケーションをとるうえで欠かせない要素のひとつです。

では、目上の人を褒めて差し上げたいと思ったときには、どうすればよいのでしょうか?

ある商談シーンを再現してみましょう。

初めて訪問するお取引先。相手は、気難しいと噂されているオーナー社長だ。

通された応接室には、社長が撮影した風景写真が飾られていた。美しい景色が色彩豊かに表現された、鮮やかな作品だ。写真に添えられているプレートを見ると、写真展に入選した旨が記されていた。

よし、商談前のアイスブレイクに、この写真の話をしよう。

そう思った僕は、挨拶を交わしたのち、興奮冷めやらぬといった調子で言った。

「社長、この作品、なかなかのものですね。本当にお上手でたいしたものでございます!」

僕の言葉を聞いた社長は顔をこわばらせると、スッと身を引き、ソファーに身体を預けた。その後も不機嫌そうな表情のまま、商談は早々に終わってしまった。

■評価ではなく、素直な気持ちと関心を示す

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『闘う敬語』朝倉真弓(著)大嶋利佳(監修)プレジデント社刊

社長が機嫌を損ねた理由。それは、写真展で入選したほどの自信作を、目下の人間から「なかなかのもの」や「お上手でたいしたもの」といった言葉で褒められたからです。これらの言葉は、上からの目線で作品を評価する言葉です。

そもそも、目上の人を“褒める”という行為自体がよくありません。褒めるというのは、「親が子供を褒める」、「先生が生徒を褒める」というように、目上が目下に対してする行為です。安易に褒めてしまうと、相手は目下扱いを受けたような気持ちになってしまいます。

では、「すごい」と思ったその気持ちを、どう表現すれば誤解を招かずに済むでしょうか?

「社長、すごいっすね!」

……いやいや。目上の方に対する言葉なのですから、さすがにこの言い方はダメでしょう。でも、気持ちを素直に言葉に表すという意味においては、惜しい表現です。

「社長、素晴らしい作品ですね」
「鮮やかな色彩が素敵ですね」

どうでしょう? 「なかなかたいしたもの」「上手」などと評価されるよりも嬉しく感じませんか? さらに、

「どうやって撮影されたのですか?」

などと関心を示せば、社長も気分よく話をしてくれたに違いありません。

■何が「すごい!」と思ったかを言葉に表す

ビジネスの場においては、目上の人の行為や制作物に対し、心から「すごい!」と感銘を受けることがたくさんあります。ましてや社会人デビューしたての新卒入社の人にとっては、すべてが「すごい!」と感じることでしょう。

そんなときには、ひとまず「すごいです!」と口にしてしまっても構いません。下手なお世辞を言われるよりも、あなたの「すごいです!」のほうがまっすぐ相手の心に刺さるはずです。

そのうえで、たとえば上司のプレゼンテーションが「すごい」と感じたのなら、

「思わず見入ってしまうプレゼンでした」
「まばたきを忘れるほどでした」
「どうしたらあんなプレゼンができるようになるのですか?」

などと、何がすごいと思ったかを具体的に表現し、心からの関心を示せばよいのです。

相手を評価するのではなく、敬意をもって関心を示す。これが、目上の人と接するコツです。

画像を見る 大嶋利佳
研修講師、ビジネス書作家。ビジネスコミュニケーション全般に関する研修および書籍、雑誌記事、教材テキストの執筆監修を手がける。著者は『なぜあの女(ひと)の話し方は強くて美しいのか』など多数。近著に『闘う敬語』がある。


画像を見る 朝倉真弓
フリーライター、ストーリーライター。実用書やビジネス書の分野では企画やブックライティングを数多く務め、ストーリー仕立ての書籍を得意とする。自著は『女子の幸福論』『いままでで一番やさしい相続の本』など多数。近著に『闘う敬語』がある。

(大嶋利佳=監修 朝倉真弓=文)

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