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興味津々、欧州の「 live journalism」

カタカナで「ライブジャーナリズム」をGoogle検索すると、日本のフリーランスジャーナリストが東電の会見に出て、一部始終をネットに発信すること、などの項目がトップの方に出て来ます。

しかし、今月上旬、イタリアのペルージアで開かれたInternational Journalism Festivalの4日目のセッション「The rise of live journalism」を紹介したJournalism.co.ukの記事によると、カタカナの「ライブジャーナリズム」とは全く違う試みがヨーロッパで広がりつつあるようです。

とはいえ、Journalism.co.ukの記事の最初にあるように、live streamingとかlive tweeting(昔、tsudaる、って言いましたw)、あるいはlive musicやlive televisionのように、一口で説明できるほどには「live journalism」は言葉として定着していないようです。

なので、なおさら興味をそそられてしまいました。そのセッションのビデオはこれです。


セッションではフランスのLive Magazine、デンマークのZetland、オランダのDe Balieの3者が各々の試みを説明しました。

共通するのは、ジャーナリストや作家、写真家などを大きな劇場、コンサートホールに招き、彼らに話してもらうということです。それらは、一夜限りのイベントで、録音、録画されず、テレビでもネットでも流されることはありません。ですから、それぞれの紹介は文章でしか紹介できません。

まずLive Magazine。2014年から現在まで17回のイベントをフランス、ベルギーの6箇所の国立劇場で行いました。その様子はこれ。

画像を見る

大がかりですね。パリでは4000人を集めたそう。その舞台に10人から15人のジャーナリストが上がり、それぞれが未発表のとっておきのネタを10分程度話します。それが休みなく続きます。

ただ話すのではなく、話し方の抑揚だけでなく、音楽、パントマイム、囁き、ダンスなどを取り入れたり、スクリーンに写真や動画を流したり、それこそマルチメディアで、言葉だけでは表せないものを表現するのだそう。

例えば、レクスプレスの記者が、あの風刺週刊紙シャルリー・エブトを襲撃した犯人二人が、そのあと立て籠もった印刷工場のオーナーと過ごした時間について情感込めて語った時は、ルモンドの記者がピアノで伴奏したこともあったとか。

こうした他では聞けない話を提供するのがウリな訳ですが、発表にあたっては、Live Magazineのスタッフがキュレーションし、ジャーナリスティックな基準を保っているそうです。また、イベントにテーマは設定されず、話す内容は全員、バラバラです。(話された内容の記録はありませんが、極端に短い要約がカテゴリー別に「歴史」としてネットに残されています)

編集長は「発表できなかったり、他所では話せないストーリーのために最適な場所だ」と言っています。

次はZetland Live。デンマークの組織で5 年前から毎年2回、同じようなイベントを行なっています。Zetlandはかっては、e-Singleという2,3時間で読めるような電子ブックを売っていましたが、昨年からニュースを説明するニュースレターを有料で配信しています。

料金は月千数百円で、昨年夏の段階で有料会員は2600人だったそうですが、これを来年までに1万4500人に増やすことを目指しています。そこで、新規会員獲得を目指してイベントを開き、「楽しくて、ジャーナリズムに興奮をもたらすような工夫をしてる」ということです。それに加え、イベントでは60人の専門家を準備し、個別の問題について個々人と意見交換し、ニューズレターに反映できる仕組みも、プレゼンでは紹介していました。

またオランダのDe Balieは、19世紀の元裁判所の建物を本拠に、年間1000件ものイベントを主催し、カフェでの小さな集まりから、英国のEC離脱投票の時には夜明けまで12時間に及ぶ、専門家とのインタビューマラソンまで多様な催しを行なっています。

ライブショーには工夫をこらし、例えば、「ヨーロッパとは何であり、何が出来るか」というイベントでは、様々な政治声明を舞台で読み上げるために10人の俳優を集めたこともあるそう。

こうした各種イベント開催で売り上げたチケットは、昨年20万枚に達したそう。値段は7.5ユーロと10ユーロと安い。幹部は「我々は若者に来て欲しいからそうしてる。彼らが古い考え、新しいアイディアに接触する必要がある時期だから」と。

こうした個人が興味深い話をプレゼンする場としてはTEDが有名ですが、こちらは、全てのプレゼン内容がネットに残されています。しかし、ここで紹介した3つは、紹介用のスチール写真はあっても、イベントで話された中身は全く残していません。

このため、「他では聞けない」「何が出るかわからない」という期待で、何千人も入る会場のチケットがすぐにsold outになるようです。

インターネットの”お陰”で、情報は山のように入手出来るようになりましたが、逆に、どの情報にまともに取り組むべきかが難しくなりました。そんな時代に、マスコミに載らない興味深い話に没入させてくれるのがlive journalismの魅力のようです。

内外の新聞社も、いっとき、ちっとも没入できないimmersive作品をネットに出していましたが、逆にアナログで、第一線記者を活用したlive journalismに挑戦してマスメディアの実力を見せたら面白いかも。「インターネットの発展がメディアの信頼性を奪った」って池上彰さんも言ってることだし。

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