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【読書感想】電通と博報堂は何をしているのか

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 東大や京大、一橋、早慶といった錚々たる大学を卒業して、みんなが憧れる会社に入ってみれば……
 なんかもったいないなあ、と思うのと、結局、クライアントの要求水準の高さとかワガママさが、広告代理店のブラック化の要因なのかな、とも思うのです。
 キュウリの話とか、一般常識に照らし合わせれば「そんなムチャな要求をするなよオッサン」なのでしょうけど、「サービス業」としては、たしかに「なんとかする」のが最適解になってしまうのだよなあ。

 インターネットの便利さや即時性が、新たな負担になっている、という現実もあるのです。

 そして、デジタルの発展が疲弊度合いを高める。自殺した電通社員はデジタル部門で広告の運用をしていたが、デジタル部門特有の長時間労働について30代の電通営業はこう語る。

「以前はメディアの出稿をボーンとして、テレビの場合は『放送確認書』を出しておけばよかった。だが、デジタルの場合は良くも悪くも、色々な成果が分かるから、プランを突然変更させられたりする。『木曜日の出稿のボリュームを変えてよ』『ターゲットを変えて』とか、突然言われてそこで作業が発生する。

 テレビCMとか新聞広告は出せば終わり。ウェブは、やりながら表現を変えたりできるもの。いつまでもやり直しが利くというとことがものすごく手間を増やしている。亡くなった方もそういうことをやっていたのでは。広告にかける予算全部がテレビや新聞だった時代とは違い、予算額は変わっていないのにデジタルが増えたため労働は増えている。となれば、労働単価を下げるって話になる。下請けを常駐させたりして、トータルの単価を下げなくてはいけない状況がある」

 いつでも変更できる、というのはインターネットのメリットではあるのですが、運用する側にとっては「仕事の終わりが無くなってしまう」という面もあるのです。
 「こういう仕事」の割合が、どんどん増えてきている。
 著者によると、電通も最近は「小さな仕事は、無理に取りにこないようになってきている」そうです。
 それはそれで、中堅以下の広告会社が、さらに「ブラック化」していく、ということになる可能性は高いのですが。

 今回私が取材するにあたって、博報堂の社員何人にも話を聞いたが「中川さんは博報堂のブラックぶりを書きたいんでしょ?」と言われた。「そういった面はある」と答えても大抵の答えは「あんまり感じないんですよね……。会社に不満があるヤツの意味が分からない。だってこんなにいい会社なんですよ」というものだった。

 実は私もそう感じているのである。現在私はフリーランスとして生きているが、新卒から4年で博報堂を辞めた大きな理由は長時間労働ではあったが、それ以上に「会社員でいること」が心底イヤになってしまったのだ。何しろ、自分が好きでもないクライアントのオッサンを出世させることがサラリーマンの本質であることに齢27にして気付いてしまったため、サラリーマンをやり続けることが心底バカバカしくなってしまったのだ.

収入が減ろうが、自分のためだけに仕事をしたいと考えた。クソみたいな同僚はそれほど多くなく、給料も高く社会的ステータスも高く、同級生も実家の近所の人も親戚も「すごいね!」と称賛してくれる会社のことを通常「ブラック企業」とは呼ばない。

 いや、長時間労働の面だけでブラックと呼ぶならば呼べばいい。だが、実際中にいる人からするとほとんどはブラック企業だと思っていないのではないだろうか。

 電通を悪の秘密結社みたいなものだと思っている人や広告代理店を就職先に考えている人(まあ、入りたくても、なかなか入れないだろうけど)は、ぜひ読んでみていただきたいのです。
 考えてみれば、「あの(多くの人が働きたいと思っている)電通」で、あんなことが起こったから、大きな問題になっている、というのも事実なんですよね。

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