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警察の保護措置を再検討すべし|相次ぐ保護対象者等の死亡

香川県で、警察に保護された男性がおよそ3時間後に意識をなくして倒れ、搬送先の病院で死亡したというニュースがありました。田んぼの中で暴れたりわめいたりしている男性を警察官が保護したとのこと。男性のポケットには使用済みの注射器や空のビニール袋があり、覚せい剤急性中毒による死亡が思い浮かびます。

つい半月ほど前、横浜でも同じようなニュースがありました。こちらは、団地の踊り場で暴れているとの通報で、警察官が保護した男性。およそ3時間後に署員が男性の様子がおかしいことに気づき、救急搬送した病院で死亡が確認されたというものです。報道の時点では死亡原因は特定されていませんが、似たような事例です。

そういえば、今年4月に、東京都では警察が覚せい剤事犯の被疑者として逮捕した男性が、保護室で監視中に容態が急変し、搬送された病院で死亡するという事件もありました。
よく似たことが、これほど続くのは異常です。

<ニュースから>
■死亡:「覚せい剤使用」の保護男性−−高松南署 /香川
高松南署は5日、署内で保護していた高松市香川町の男性(40)が意識不明になり、搬送先の病院で死亡したと発表した。司法解剖の結果、死因は急性覚せい剤中毒の疑いという。
同署によると、4日午後9時ごろ、同市林町の田んぼの中で暴れたりわめいたりしている男性を見つけ、同署の保護室に収容した。署員2人が様子を見ていたが、5日午前0時20分ごろに意識をなくして倒れたため病院に搬送、約1時間後に死亡が確認された。
同署によると、男性は「覚せい剤を打った」と話していたという。ズボンのポケットに、使用済みの注射器と微量の白い粉のついたビニール袋三つを持っていた。
毎日jp>毎日新聞・香川版(2011年11月6日)
http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20111106ddlk37040397000c.html

<過去のニュース>
■警察署で保護の男性が死亡 横浜
神奈川県警山手署に保護された男性の容体が数時間後に急変し死亡したことが16日、分かった。同署が死因を調べている。
山手署によると、死亡したのは、横浜市中区、職業不詳の男性(39)。16日午後5時5分ごろ、「団地の踊り場で暴れている人がいる」と同署に通報があり、駆けつけた署員が男性に事情を聴くと大声で叫んで暴れたため、署の保護室に運んだ。その後、男性の様子がおかしいのに気づいた別の署員が119番、救急搬送したが午後8時ごろ死亡が確認された。
新村晃一副署長は「事実関係を調査し、その結果に基づいて適切に対処する」と話している。
MSN産経ニュース(2011.10.16 23:55)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111016/crm11101623570013-n1.htm
[参照過去記事]
■覚せい剤急性中毒への対応に油断?(2011/04/04)
http://33765910.at.webry.info/201104/article_4.html

覚せい剤の中毒死が減少するなかで、なぜこうした事件が続くのか



まずお断りしておきますが、上記の3例は、事件(事故?)が発生した当時、地方版のニュースとして小さな記事が掲載されたもので、その後、注意していたのですが続報に接する機会がなかったため、いずれも死亡原因をはっきり把握していません。しかも、10月の横浜の事例では、覚せい剤が関係していたのか否かも、明らかになっていないのですが、その経緯から覚せい剤の急性中毒が疑われる事例としてとりあげました。このようにあやふやな前提ですが、あえて言わせていただきます。
4月、10月、11月と3件も立て続けに、同じような事例が起きてしまったことは、あきらかに異様です。

警察庁の資料によれば、薬物に起因する乱用死者数は、平成21年では17名、平成22年では12名となっています。一時代前、平成9年には[乱用死・35 名]、平成12年には[乱用死・44名]という状況だったものが、覚せい剤乱用者の減少とともに乱用死者数も減少し、近年では、年間十数名という状況が続いています(警察庁編『平成22年中の薬物・銃器情勢』、および同資料の過去年度版)。
仮に、上記の3例が「覚せい剤乱用死」にあたるとすれば、1年間で十数件起きるこうした死亡ケースのうち、少なくとも3件が、警察による保護監視下で発生したことになります。

私は仕事柄、覚せい剤の急性中毒から、当初は病院に措置入院となり退院後に逮捕された事案や、逮捕当時は暴れたため保護室で監視されたという被疑者を何度も担当してきました。大暴れする被疑者を制しながら自ら打撲傷を負われた警察官や、精神状態が不安定で暴言・暴行を繰り返す女性被疑者に終夜付き添ってくださった女性警察官に、心を打たれたこともあります。覚せい剤の影響を受けて暴れる人たちを相手に、実に忍耐強く、根気よく、業務に当っておられる警察官の姿に、私は日常的に接しています。
でも、何かがうまくいっていないのです。もし、ニュースの3人が警察ではなく病院にたどりついていれば、生命を失わずに済んだのではないか、そんな思いがわきあがります。

警察関係の皆さん、どうかこの機会に、警察の保護措置のあり方をもう一度見直してください。
まず必要なのは、3ケースの徹底的な分析です。死亡原因は何か、死亡に至る時間経過のなかで、いつ、どのような措置がとられるべきだったのかを明らかにすることです。もちろん、内部調査で終わらせることなく、結果を公表するべきです。

次に、こうした死亡をなくすために、保護や逮捕した対象者に薬物やアルコールによる急性中毒の疑いがある場合の、監視体制を見直すことも必要でしょう。医師の参加を得て、急性中毒者への対応マニュアルを作成することも検討してほしいと思います。

そして何よりも、危険が予測される場合は、即座に医療措置を受けさせることを徹底しなければなりません。病院への搬送は、手間も人手もかかるでしょうが、人命にはかえられません。たとえ薬物事犯であっても、生命の尊さに違いなどあるはずはありません。
警察の監視下にありながら、みすみす失われた3名の生命の重さを忘れることは、決して許されないでしょう。

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