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- 2011年11月08日 12:53
雇用統計・インフレ率・FOMCの声明文を受けて金利はどう動くのか?〜SF連銀ペーパーより
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サンフランシスコ連銀のエコノミストであるマイケル・バウワー氏は金利の期間構造について、"What Moves the Interest Rate Term Structure?"というペーパーでまとめた。経済指標やFOMCを受けて金利構造がどのように変化していくかを調べており、非常に興味深いものとなっている。以下はその要約である。
債券市場におけるニュースの影響を理解するには、個々の金利を超えてみていくことと、かつ全体の金利の期間構造を考慮することが有益である。例えば、非農業部門雇用者数における、予測出来ない変化は短期および中期タームの金利を大きく動かしてしまうが、長期タームの金利には影響を及ぼさない。インフレのニュースは期間構造のロングエンドに影響を及ぼす。金融政策における操作は金利への影響が異なってくるが、フォワードレートを含めて、すべての期間で変動が激しくなる。
様々な金利の日々の変化は金融のニュースの要となる。しかし、コンスタントに金利の上下動を引き起こすものは何であろうか?基本的な決定要因は、経済成長の見通しやインフレ、金融政策の予測、そしてリスクに対する補償である。金利の変化はマーケット参加者がこれらのファクターにおける新しい情報を受け取って変化する。多くの場合、様々な金利は同じ方向に動いていく。
しかしながら、方向性や大きさよりも大きな金利変化が存在する。異なった時間軸で満期を迎える債券は、画一的に動くわけではない。短期で満期を迎えるものから長期のものまで金利の全体の範囲となる金利の期間構造の変化をみていくことにより多くのことが学べるだろう。時には、短期金利はより大きく変動するものの、期間構造のロングエンドはあまり動かない。また、ショートエンドは固定されており、中期および長期金利しか変動しないということもある。期間スペクトラムを通して、金利における個々の変化は、マクロ経済や将来の金融政策のマーケットの予測におけるニュースのインパクトを評価するときに役立つだろう。
Shifts in the term structure of interest rates
金利の期間構造のシフト
米国財務省証券の金利はフィックスドインカムマーケットのレポートにおいて最も注意が払われる。米国債の満期は30年未満のレンジとなっている。Gurkaynak、SackおよびWright氏は米国債の金利とそれらの証券の価格がベースとなっているフォワードレートの組み合わせはとても役立つデータであるとした。このデータの組み合わせは日々更新され、Fedのサイトで公に参照することができる。
異なる時間軸の金利におけるニュースの効果をよりよく描くために、私はフォワードレートを見ている。フォワードレートは今日において将来の特定の期日にローン組成もしくは証券を発行するために契約される金利である。言い換えると、2年の満期のフォワードレートは、実質の短期金利と将来2年間におけるインフレ率の予測により決定される。その金利は2年間のコミットメントの金利リスクの補償を含んでいる。異なる期間のフォワードレートの変動は、特定の時間軸におけるインフレや金融政策の予測を反映している。
例えば、米労働省BSLが非農業部門雇用者数を1万8千人増加と報告した、2011年7月8日の雇用統計を考えてみよう。雇用者数が10万5千人増加するというフォーキャストのコンセンサスよりも大幅に下振れており、景気回復のペースにとって悪いニュースと解釈された。図1では7月7日と8日の間の米国債10年物金利のベーシスポイント(1%の100分の1)と10年物のフォワードレートの日々の変化を示している。すべての金利は低下しているが、その大きさ(マグニチュード)は異なる。
図1:
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金利の変動におけるよいアイデアを得るために、私はイールドの代わりにフォワードレートで考えてみる。フォワードレートは、将来の特定のある時間において、ある利回りがフォワードレートの平均利回りとなっている。従って、フォワードレートは異なる時間軸についての情報を明らかに提示している。7月8日のBSLのデータに従えば、大きな変動は2年から4年の期間のフォワードレートで発生している。8年から10年の期間構造の時間軸の変化はより小さいものであった。これらの金利の変化は将来の短期金利の予測の変動に影響したことから、6月の雇用統計はマーケットの参加者にとって、Fedの政策金利の予測パスが、2年から4年の時間軸でさらに低下するという予測を引き起こした。
Macro surprises and the response of the term structure
マクロのサプライズと期間構造の反応
図2
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雇用統計は典型的なパターンを示している。金利はプロシクリカルな動向におけるマクロ経済的なサプライズに反応している。これは、金利が予想よりも弱いデータに反応して低下する、そして予想よりも強いデータに反応して上昇するということである。いくつかの実証的研究ではこのパターンを文書化している。2001年のBalduzzi、 Elton、Green氏の論文では、現在の標準的なイベント研究の方法論を用いて、マクロ経済のアナウンスメントにより、特定の米国債金利の反応を研究した。著者は実際の指標と指標が発表される前のサーベイ(つまり市場予想)の予測の中心値との違いに基づいたサプライズの測定を構築し、異なる発表の間を比較して標準化した。彼らはマクロ経済のサプライズにより米国債の金利の反応を測定する統計的な連動を実行した。この並び替えの研究では、通常、マクロ経済の指標のサプライズに対して短期の金利は反応が小さく、長期金利は強く反応するということを発見した。
個々の金利を超えて、私は全体の期間構造に渡る反応を見積もり、すべての金利の変化を捉えたした。様々な金利の殆どは、基本的な統計上の要因は殆ど捉えられていない。この考えに基づき、全体的な期間構造に渡って、米国債の金利とフォワードレートにおいて、経済指標の発表の反応を計算するモデルを構築することが可能である。
図2は雇用者数および食料・エネルギーを除いたコア消費者物価(CPI)のサプライズにおけるフォワードレートのカーブの反応を示したものである。破線は95%の信頼性でモデルの予測を示唆している。短期および中期のホライズンにおけるフォワードレートは、非農業部門雇用者数のサプライズにおいて、大きくかつ強い反応を示している。最も強い反応は、およそ0.07パーセントであり、約2年の期間で発生している。特に、6年から期間スペクトラムのロングエンドに向かって、より長いフォワードレートは雇用のニュースに対して強く反応しなかった。他方、コアCPIインフレ率のサプライズへの反応はマグニチュードこそより小さいものの、期間スペクトラムのロングエンドに向かって拡大している。長いフォワードレートの変動は小さいものの、予測よりも強いコアCPIに対して、約0.015%上昇と統計的に大きな反応を示している。
従って、このモデルは、金利において、雇用のニュースとインフレのニュースとの間の重要な違いを示唆した。雇用のニュースは大きは反応を引き起こす一方で、インフレのニュースは期間構造のロングエンドに影響を与えただけだった。この結果は、経済指標に対する長期のフォワードレートへの反応についての他の研究での発見とは異なるものとなった。



