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【読書感想】映画と本の意外な関係!

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Kindle版もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
映画のシーンに登場する本や言葉は、映画を読み解くうえで意外な鍵を握っている。本書は、作品に登場する印象的な言葉を紹介し、それに込められた意味や背景を探っていく。原作小説はもちろん、思わぬ関連性を持った書籍、劇中で流れた曲の歌詞にまで深く分け入って解説。紹介する作品は、『007』シリーズや『インターステラー』から、超大国の裏側がわかるドキュメンタリー映画まで。全く新しい映画評論!


 映画のなかに、ときどき「本棚」が出てきますよね。
 僕もけっこう「どういう本が並んでいるんだろう?」と確認してしまうのですが、最近はネットで「このアニメ映画の主人公の本棚に並んでいたのはこの本だ!」なんて調べた人が公開しているものを見かけます。
 気になっていたのは(あたりまえだけど)僕だけじゃなかった。
 そもそも、フィクション映画であれば、そこに置かれているものは、誰か(大概は監督か脚本家)が「決めている」わけで、並んでいる本にも「意味」があるのです(なかには、「適当に並べておいて」って監督さんもいるのかもしれないけれど)。


 この新書は、町山智浩さんが集英社クオータリー『kotoba』に連載中の「映画の言葉」をまとめたものです。
 採りあげられているのは、2010年以降の比較的新しめの映画が多く、僕にとっても思い出しやすい作品ばかりでした。
 ただ、最近の映画は観ない、本も読まない、という人には、「何が書かれているのか、ピンとこない本」かもしれません。
 それなりの「予備知識」があったほうが、楽しめる本だと思います。
 そもそも、映画の本棚というのは、「置かれている本に制作側がこめた意味」を理解できないと、観客が困る、というわけにはいかないはずです。
 世の中には「活字の本は読まない」という人は、けっして少なくありませんし。

 たとえば、中島哲也監督の『渇き。』(2014年)。役所広司扮する堕落した元刑事が、失踪した女子高生の娘(小松菜奈)を捜すうちに、娘がある種の「怪物」だったと知ることになるミステリです。セックスとバイオレンスに満ちた地獄めぐりのような映画ですが、特に印象に残ったのは、娘の本棚に並んでいるシャーリイ・ジャクスンの『ずっとお城で暮らしてる』(1962年)でした。
 他の家族が殺された屋敷に姉のコニーと暮らす18歳の少女メアリの一人称で書かれたメルヘン調の小説で、町の住民たちはメアリを「魔女」だと噂していますが、ジャクスンの『たたり』(59年)や短編『魔性の恋人』と同じく、何が事実なのかわかりません。メアリは現実から自分を守るファンタジーの城を心に築いて閉じこもっているわけです。この本が映ることで、血みどろの『渇き。』は、残酷なおとぎ話のようにも見えてきます。
 映画で画面に映る本には何らかの意味があるはずです。監督にインスピレーションを与えた本だったり、物語の謎を解く鍵が隠されていたり……。その本を知っている人にしか伝わらない、本の虫だけに向けられたウインクのようなものだと思います。

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