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米国と北朝鮮、緊迫化の影でトランプ米大統領が抱える現実

Will Trump Face His Reality Before Taking Actions Against North Korea?


円高が進み、11日に円キャリーの巻き戻しを誘ったとみられ2016年11月以来となる110円割れを示しました。VIX指数は15.07で引け、米大統領選挙当日の2016年11月8日以来の水準へ急伸。金先物も上昇を続け1274.2ドルと約5ヵ月ぶりの高値で取引を終えるなど、リスク回避モードの様相を呈しています。

その上、11日にはトランプ米大統領がこんなツイートを放ちました。

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(出所:Twitter

「中国が北朝鮮問題を解決すれば貿易でより良い取引が可能であるものの、中国の支援を得られないなら単独で解決する」――。米海軍空母“カール・ヴィンソン”はじめ巡洋艦を含めた空母打撃群を朝鮮半島へ派遣したニュースも重なり、リスク回避相場を促すに十分でした。現地時間の夕方に放映されたフォックス・ニュースのインタビューシリアに地上軍を展開しない発言朝鮮半島には潜水艦を含め“無敵艦隊”を送ったとのコメントもあって北朝鮮への戦力集中を連想させ東京時間でもリスク低下を促したものです。

対して北朝鮮は核兵器を利用する意思をちらつかせる一方、海外メディアを15日に予定する故・金日成生誕105周年記念イベントに招待するなど目まぐるしい。中国はといえば、国営の中国中央電視台が現地時間の12日朝に習近平主席とトランプ米大統領が電話会談し、習主席が「平和的な解決を望む」と伝えたと報じています。ただし中国側も、指を加えて見ているだけではありません。米国の“無敵艦隊”が15日頃に朝鮮半島へ到着する前に、中国軍が北朝鮮との国境地域に2個集団軍15万人を集結させたと報じられ、緊迫感を煽ります。

北朝鮮で15日に生誕105周年記念、25日朝鮮人民軍の創設85周年を控えていることはご周知の通り。米国では、20日にトランプ米大統領就任100日を迎えます。両者は一歩も引けないところ、特にトランプ陣営は勝算のない攻撃では一段の支持率悪化と政策実行力の低下を余儀なくされ代償も大きい。トランプ政権としては圧倒的な軍事力を誇示し、北朝鮮とのチキンレースをものにしなければなりません(北朝鮮軍との違いはこちらをご参照)。

チキンレースで決着がつかない場合は、米国による空爆が視野に入ります。ただ軍事拠点の空爆は北朝鮮による反撃の危険性を拭えず、選択肢としては有効と言えません。有力な作戦は2003年当時のイラク攻撃で、政権中枢部の施設を通じた金正恩・委員長の狙い撃ちです。しかし北朝鮮のレジーム・チェンジでイラクのような長期戦を強いられるシナリオあるいは中露との対立も想定され、トランプ支持者が賛辞を贈っても一時的な可能性を残します。

地政学的リスクと合わせ、市場のリスク選好度の低下はインフラ投資や税制改革、規制緩和の遅れが影響しています。バロンズ誌が報じたように外交・防衛を優先すれば経済政策は後ろ倒しとならざるを得ない(地政学的リスクへの注力は、トランプノミクスの遅れを見越した作戦とも考えられます)。前述のフォックスによるインタビューでは、トランプ米大統領自ら下院共和党やムニューシン米財務長官が掲げた税制改革の成立時期である8月から大幅にずれ込む可能性を表明していましたよね。引き続き医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案の移行を優先事項と掲げるため、税制改革は年末までにまとまれば御の字といったところ。しかし、その間に利上げの影響もあり個人消費や企業支出に鈍化リスクが横たわります。地政学的リスクでツチをつければ、さらに景気を減速させる公算大です。。

トランプ米大統領が抱えるもう一つのリスクには、光が見えてきました。28日に期限切れを迎える暫定予算が保守強硬派のフリーダム・コーカスが軟化姿勢へ傾き政府機関の閉鎖を回避する望みをつなぎます。

米中央情報局(CIA)長官にカンザス州選出のマイク・ポンペオ下院議員が就任したため11日に実施した下院特別選挙では、幸い州財務官で共和党候補のロン・エステス氏が勝利し、トランプ米大統領に明るいニュースを届けました。

ただトランプ政権発足以来で初の選挙は、コーク・インダストリーズの本社を有し共和党下院議員が20年近くも議席を確保していたため楽勝かと思いきや、土壇場で対立候補の巻き返しを受け共和党陣営をやきもきさせていたのです。陸軍経験者で人権問題担当の弁護士であり、バーニー・サンダース上院議員を支持する団体“Our Revolution”の後ろ盾を得たジム・トンプソン氏の思わぬ善戦は、想定外だったでしょう。しかしトランプ米大統領が応援ツイートを放ち、ライアン下院議長をはじめ共和党が土壇場で資金援助に動いたため、辛くも勝利をもぎ取っています。

どんな戦いでも勝てば官軍、同じことは北朝鮮問題でも言えますが、果たしてトランプ政権はどのような戦略を行使してくるのでしょうか?

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