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欧州に仕掛けられたテロの最終戦争 伝播する「イスラム国」の”呪い”

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ドイツ、スウェーデンでも…再び頻発するテロ

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[ロンドン発]欧州に再びテロの激震が走っている。ドイツ西部ドルトムントで4月11日夕、サッカー1部リーグ、ボルシア・ドルトムントの選手を乗せたバスの近くで3つの特製パイプ爆弾が爆発し、車内のスペイン代表DFマルク・バルトラが右手首を骨折して病院に運ばれた。爆発のショックでバスはタイヤや窓が破損した。日本代表MF香川真司もバスに同乗していたとみられるが、他にけが人はなかった。

バルトラの隣に座っていたスイス代表GKロマン・ビュルキはスイス紙ブリックにこう語っている。「爆発のあと、バスの中でみんな、かがみ込んだ。床に身を伏せた人もいた。次に何が起きるのか分からなかった。警察官がすぐに来てくれたので助かった。みんなショックを受け、その時は試合のことを考えられなかった」

バスは欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のモナコ(フランス)戦が行われるスタジアム「ジグナル・イドゥナ・パルク」に向かっていた。8万人収容のスタジアムはファンで埋まっていたが、爆破テロを警戒して不審物の捜索が行われ、試合は1日延期された。

特製パイプ爆弾は、選手が宿泊するホテル近くの生け垣に仕掛けられていた。中東のイスラム過激派が頻繁に用いる「即席爆発装置(IED)」と同じ手口だ。バスが通過するのを狙って、携帯電話か、車庫のドアを開けるリモコンで爆発させたとみられる。ホテルでも爆発物と疑われる不審物が見つかった。爆発直前に外国のナンバープレートをつけた車が目撃され、警察当局は全力で行方を追っている。

南ドイツ新聞の報道によると、現場近くで手紙が見つかった。手紙は「アッラー(イスラムの唯一神)の名の下に」で始まり、過激派組織IS(イスラム国)と戦う有志連合に参加するドイツが攻撃機トーネードを使用していることや昨年12月に起きたベルリンのクリスマス・マーケットを狙ったトラック・テロに言及しているという。警察当局は、テロとの関係を慎重に捜査している。

北欧スウェーデンのストックホルムでも4月7日午後、大型トラックが買い物客でにぎわうショッピング街を暴走し、百貨店に突入して炎上するテロが起きた。駆けつけた消防隊員に火はすぐ消し止められた。11歳の少女を含む4人が死亡し、少なくとも15人が負傷した。実行犯はトラックから飛び降り、姿をくらました。バッグに詰められた手製の爆発物か発火装置とみられる不審物が運転席に残されていた。

テロ発生から5時間後、ストックホルム北郊でウズベキスタン出身のラフマット・アキロフ(39)がテロ容疑者として拘束された。アキロフはISなどのイスラム過激派への共感を示しており、弁護士によると「自分の成し遂げたことに満足している」と誇らしげに犯行を認めているという。イスラム教スンニ派の弁護士をつけるよう求めている。

アキロフは妻と4人の子供を母国に残してスウェーデンに出稼ぎに来たが、2~3カ月前、仕事中に居眠りをして解雇された。2014年にスウェーデンでの永住許可を申請し、昨年12月に却下された。4週間以内に国外退去するよう命じられたが、姿をくらましたため、今年2月に指名手配されていた。アキロフをよく知る人物によると「控えめな人物で目立たない存在だった」という。スウェーデン語はあまり話さなかった。

それほど信心深くなく、パーティーと飲酒を繰り返していたアキロフが政治や宗教について話すのを聞いた人はいない。プレイボーイやロシア人テニスプレーヤー、マリア・シャラポワのフェイスブックを好んでよく見ていた。しかし、その反面、イスラム過激派のページにリンクを貼ったり、ISのプロパガンダ動画を投稿したりしていた。「アメリカやイギリス、アラブ諸国の独裁者たちの帝国主義的な金融都市へのテロを目的とするリビアとシリアの友だち」のページも好んだが、スウェーデンの治安当局からは「過激派グループの中でも周辺の取るに足らない人物」とみなされ、ノーマークにされていた。

”犯人がなぜテロに走ったか”は解明できない

「ナンバー1のお父さん」という花飾り(木村正人撮影)

3月22日、民主主義の殿堂、ウェストミンスター(イギリスの国会議事堂)を狙った自動車突入テロで実行犯を含む6人が死亡し、49人が負傷したイギリス。4月10日昼すぎ、南ロンドンの中心街は静寂に包まれていた。実行犯に刺殺されたロンドン警視庁の巡査キース・パーマー(48)の棺を乗せた葬列が筆者の目の前を走り抜けた。正装した5000人の警官が葬列のコースであるウェストミンスターからサザーク大聖堂の道路上に並び、頭を垂れた。5台の白バイに先導された霊柩車は「ナンバー1のお父さん」という花飾りで彩られ、沿道に詰めかけたロンドン市民の涙を誘った。

殉職した巡査を追悼する葬列(木村正人撮影)

実行犯のハリド・マスード(52)は3月22日、ウェストミンスター橋の上を暴走し、車から下りて議会の車寄せに乱入、警備にあたっていたパーマーを大型ナイフで刺殺した。国防相のボディーガードがマスードを射殺するまで82秒間の凶行だった。かつて陸軍の砲兵隊に所属していたパーマーは15年の経験を持つベテラン巡査で、家庭では優しい夫であり、父でもあった。大型ナイフを振りかざすマスードにパーマーは丸腰で立ち向かい、命を落とした。パーマーは銃を携帯していなかった。

先のエントリーでも触れたが、マスードは度々、暴力事件を起こし、服役中にイスラム教に改宗した。「暴力過激主義」に傾倒しているとして、かつて情報局保安部(MI5)にマークされたこともある。しかし最近では監視対象から外されていた。ISは「実行犯はISの兵士だ。ISと闘っている有志連合国の市民を狙え!という呼び掛けに応じて作戦を実行した」との犯行声明を出した。

一方、ロンドン警視庁は「マスードの単独犯行だが、彼がなぜテロに走ったかは永遠に解明できない恐れがある。マスードはジハード(聖戦思想)に関心を持っている。他で起きているテロを真似たロー・テク、ロー・コスト、誰にでもできる手段(ロー・ソフィスティケーション)はIS指導者のレトリックに影響されているのは間違いない。しかしISや国際テロ組織アルカイダに直接つながる証拠は捜査では見つかっていない」と発表した。

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