- 2011年11月08日 15:01
「TPPに参加しなくともこの国に明日はくる」〜日経TPP旗振り論説に反論する
1/2ネットでは会員限定ですが以下が当該記事であります。
TPP、「将来最適」へ判断を
論説委員長 芹川洋一
2011/11/8付日本経済新聞 朝刊
最近の日経のなりふり構わないTPP参加への熱烈な旗振り報道は目に余るものがありますが、この論説は特に内容の劣化がひどいです。
記事の結語から。
少子高齢化で人口減少時代に入り、産業界は生産拠点を海外に移す。デフレから抜け出せず、2010年度の名目GDPは1991年度並みの水準だ。国が縮んでいくかのようだ。伸びるアジアを引き寄せないで、日本はどうやって経済成長を実現していくのか。
安全保障上もTPPが大国化する中国へのけん制になるのはたしかだ。
国を開いて「内向き・下向き・後ろ向き」といわれる閉塞状況を打ち破らないと、この国に明日はない。
なんでTPPへ参加しないと「この国に明日はない」となるのでしょうか。
TPP交渉参加に反対することはそんなに「内向き・下向き・後ろ向き」なことなのでしょうか。
日本は現在でも他国に比べて十分に関税は低いほうですし、別にTPP参加に反対しているからといって自由貿易そのものを否定しているわけではありません。
なぜ今拙速にTPP参加しなければならないのか、なぜTPPでなければいけないのか、という具体的な問いかけにこの論説は何一つ答えていません。
「伸びるアジアを引き寄せないで、日本はどうやって経済成長を実現していくのか」と、あたかもTPP参加によりアジアの成長力を取り込めるような「大嘘」を垂れ流していますが、中国も韓国もインドも台湾もインドネシアもタイもアジア主要国が一カ国も参加しないアメリカ中心のTPPに参加したってアジアの成長力など取り組めるはずもありません。
だいたい日経は「TPP参加=域内の自由貿易」は強調しても「TPP=域外からはブロック経済圏」の負の側面はいっさい触れようとはしません。
日本を取り巻く環太平洋地域には、APEC、ASEAN、ASEAN+3、ASEAN+6、そしてTPPと経済連携協定がいくつかありますが、各経済連携の参加国についてまとめてみました。
■図1:環太平洋地域の各経済連携協定参加国
ご覧のとおりTPPはアジア主要国は参加していません、実際日本が参加しなければその市場の85%はアメリカといういびつな市場なのです。
■図2:TPP参加9カ国のGDP比較
こんないびつな市場で「伸びるアジアを引き寄せ」(日経論説)れるはずがありません。
実際ASEANに絞ってみても、経済規模1位のインドネシアも2位のタイも参加しません、TPP参加4カ国のASEAN内の経済規模は31.2%に過ぎません。
■図3:ASEAN内TPP参加4カ国のGDP規模
真にアジアの成長を取り込むならばTPPよりもむしろASEAN+3とかASEAN+6の連携を強化した方がよほど効果的です。
「■図1:環太平洋地域の各経済連携協定参加国」に戻れば、このAPECの経済圏には、アメリカ、中国、日本と、世界の3大経済大国が存在しています。
その3大国に比較すればASEAN10カ国のGDP総計も規模は遥かに小さいのです。
■表1:日米中3カ国とASEANのGDP比較
国・地域 GDP(億ドル) ASEAN 18436 日本 54978 中国 58786 米国 145824
APEC、ASEAN、ASEAN+3、ASEAN+6、そしてTPPの参加国のGDP総計をまとめてみます。
■表2:各経済協定のGDP規模
地域 GDP(億ドル) ASEAN 18436 ASEAN+3 125755 ASEAN+6 155105 APEC 332204 TPP 171611
それぞれの日米中3カ国の割合を図示します。
■図4:各経済協定のGDP規模と日米中3カ国の割合
- 木走正水(きばしりまさみず)
- 新聞・テレビの報道分析が高い評価を受けている。



