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報道ステーションで言い足りなかった事(共済年金と厚生年金の一元化問題)

 本日(11/7)の報道ステーションで、1)共済年金と厚生年金の官民格差問題、2)共済年金と厚生年金の合併を巡る世間の誤解、3)そして一元化をめぐる官僚達の画策が、報道された。

 私も、収録で少し出演させてもらったが、特に、後半の共済年金と厚生年金の合併を巡る世間の誤解や、一元化を巡る官僚の画策については、おそらくテレビとしては本邦初の報道だったのではないかと思う。

 私も参議院厚生労働委員会調査室に特別調査員として在籍していた2006年以来、この問題を事あるごとにマスコミに言ったり、拙著(「だまされないための年金・医療・介護入門」東洋経済新報社)に書いたりしていたのだが、特に厚生労働省記者クラブに在籍しているマスコミ各社は「先生、その話は勘弁してください」と、全く取り上げてくれなかった。その意味で、今後、厚労記者クラブや財務記者クラブでのテレビ朝日の扱いが懸念されるが、まずは報道ステーションのスタッフの勇気ある報道に敬意を表したい。

 詳しい内容は、数日前に書いた私のブログ(下記のアドレス)にも書いているが、実際、マスコミや国民、民主党・自民党の政治家でさえ、共済年金の一元化で厚生年金財政が好転すると思っている人々が実に多い。しかし、これはまったく誤解、間違いなのである。

「公務員年金の合併でさらに苦しくなるサラリーマンの年金」
http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/35630093.html

 実は、共済年金の豊かさの源泉である潤沢な積立金余剰は、厚生年金に合併する前に使いきられてしまう。実際、今回でる法案とほぼ同じとみられる2007年の法案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/166-15a.pdf)では、素人には全く分からないように、保険料率の引き上げが触れられている条文とは全く別な箇所に、実に分かりづらい表現で、次のように書かれている。
 
「実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、被保険者等の負担する保険料の一部について、実施機関積立金以外の積立金の一部をもって充てることができること。」(14ページの3-ウ)。

 これは要するに、共済年金の保険料率を、今後、見かけ上は厚生年金の保険料率に合わせて引上げて行くものの、実際に公務員が支払う保険料率はしばらく低いままにしておき、その差額分を共済年金の積立金から補って、厚生年金と同じ保険料率に見せかけようということである。まったく姑息な官民格差の温存と言える。


 また、もうひとつ官民格差の象徴であった「職域部分」(追加保険料を払わずに得られる公務員の3階建ての企業年金に当たるもの)の実質的な継続にも、この積立金は使われてしまう。共済年金と厚生年金の合併とは、公務員OBや現在の公務員達による積立金の「山分け」と言うべきものである。

 報道ステーションでは、放送されなかったが、もう一つの大きな問題は、官僚達のお手盛りで進む一元化法案作りの「進め方の問題」である。先のブログの繰り返しになるが、もう一度記しておこう。

 「社会保障と税の一体改革」のうち、年金関連の改革は、本来、社会保障審議会・年金部会という国民に開かれた「オープンな場」(ヒラバ)で議論を行うことが筋である。社会保障審議会も、「原子力村」ならぬ「年金村」のメンバーが多いという問題があるが、一応、きちんと議事録が公開され、国民やマスコミ、政治家が内容を監視できる公開された場となっている。

 しかしながら、驚くべきことに、今回、この年金一元化に関しては、巧妙にもこの年金部会というヒラバで議論しないことが決まっているのである。それは、8月終わりに開催された第1回の年金部会でサラッと出てきた資料に明記されている。引用しておこう。


資料4「年金部会の進め方について(イメージ)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001n4yb-att/2r9852000001n5b5.pdf

「被用者年金の一元化については、厚生年金(厚生労働省が所管)と共済年金(財務省、総務省、文部科学省が所管)との間の調整が必要な為、関係省庁間において検討を進め、その状況を年金部会に報告する。」

 つまり、厚労省、財務省、総務省、文科省という共済年金加入者同士、つまり利害を供にしている仲間同士で勝手に中身を決め、年金部会には事後報告するだけであるというのである。年金部会はこの罠に気付かず、「年金部会の進め方」をあっさり了承してしまったから、困ったことに、この一元化法案は、水面下で官僚のお手盛りの内容が決定されてしまう。2007年の時よりも、さらにエスカレートして官僚の都合の良い内容となる可能性もある。

 今回、小宮山大臣が法案提出の先送りを決定したのは、一元化法案に対する深い理解があってのことではないだろうが、この偶然は幸いであった。今からでも遅くはない。きちんと年金部会で一元化法案を検討し、ヒラバで議論が行われるように、「年金部会の進め方について」等と言う合意は破棄すべきである。そして、政治主導で、きちんと共済年金の積立金を維持したままで厚生年金に合併させるように、法案を、完全に書きなおさせるべきである。

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