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「ガツガツ上の世代バカにしないと」アンジャッシュ渡部建が秘めた芸人としての闘争心

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王様のブランチ三代目MCに渡部建

BLOGOS編集部

4月1日(土)から「王様のブランチ」(TBS)が放送22年目に入った。1996年春スタートの長寿番組は、初代MC寺脇康文が約9年、二代目MC谷原章介が約10年、そしてこの日から三代目となる新MC渡部建に引き継がれた。

「王様のブランチ」は番組内でも「20代から30代半ばの女性、いわゆるF1層にアンケート調査したF1エンタメニュースランキングを発表・・・」とコーナーで明言しているように、土曜午前にF1層(20歳~34歳までの女性)をターゲットにした情報バラエティだ。この番組のメインMCを担うということは、言うなればF1層に満遍なく好かれる芸能人の頂きに立つこととも言えよう。

渡部建と言えば(トップモデルとの浮き名も納得の)恵まれたルックスに加え、多彩な興味の引き出しを持ち合わせている。全国の美味店を網羅して食べ歩くグルメぶり(公式ブログ「アンジャッシュ渡部建のわたべ歩き」)。地方予選や強豪校の紅白戦から足しげく観戦する高校野球への情熱(「アメトーク 高校野球大好き芸人」他)。また、高校野球検定の資格を始め、夜景観賞士検定3級、日本さかな検定3級、ダイエット検定などもプロフィールをにぎわせている。

芸能活動の出発点である児島一哉とのコンビ、アンジャッシュでは「爆笑オンエアバトル」(NHK)、「エンタの神様」(日本テレビ)で秀逸なコントを多く披露した。それまで舞台演劇の世界で手法のひとつとしてあった会話の行き違いや勘違いに特化し、日本語の幅を笑いにしたロジカルなコントは、ゼロ年代に「アンジャッシュのコント」というジャンルとして括られた。

そして、コンビからピンへと活動が分化していく中で、児島は逆ギレキャラで存在感を放ち、渡部は次第にMCとしての頭角を現す。分水嶺となったのは2015年4月からの「水曜歌謡祭」(フジテレビ)でゴールデンタイムのMCに起用され、その7月「FNSうたの夏まつり」(フジテレビ)でゴールデンタイムの長時間特番MCに抜擢されたあたりだろうか。

MCとしての渡部への信頼感は、2012年から続くJ-WAVEでのレギュラーパーソナリティーでの小気味よい仕切り(と美声)から広がったように思う。そして繰り返しとなるが何より渡部には、他の芸人が持ち合わせない映り映えのルックスがある。

その渡部に託された「王様のブランチ」。初MCは求められていることを十全にこなし、収まりの良さ以外感じようがなかった。何も言うことのない適材適所だ。そんなMC場面の中で、こういうシーンがあった。

<2017年4月1日放送 「王様のブランチ」(TBS)より採録>

~浜田雅功がMCの「プレバト3時間SP」(TBS)番宣VTR(リポーター高田夏帆)を受けて~

渡部「どうです(高田)夏帆ちゃん、浜田さん怖くなかった?」

高田「それが意外で、待ち時間ちょこっとあったんですね。そのときに『一人で大丈夫?緊張してない?』って声かけてくださったんですよ。優しいです!」

渡部「夏ちゃん(横澤夏子)とかどう?浜田さん」

横澤「ほんともうご挨拶とか行くと、新聞とか読みながら、『あ、おはよう』って言うこのマユ毛がすごい優しいんですよね!」
スタジオ一同「(笑)」

横澤「このマユ毛の動き方がすごい優しい」

渡部「浜田さん意外とさ、番組見てくれてない?『あれ見たでー』とか」

横澤「そうですね」

渡部「今日も可能性あるよ、見てる可能性ね。(カメラ目線で)浜田さん、わたくし渡部一生ついていきますんで」
スタジオ一同「(笑)」

佐藤栞里「あーずるいなー」

渡部「実際優しいよね、すごく」

藤森慎吾「優しいし、あとけっこう(ツッコミの手が)バシバシ行くじゃない、あれがすごくね、ちょうど心地いい。痛さ一切無いんだよね」

一同「えええ~(驚き)」

藤森「パチンって、いい音だけさせてくれる」

渡部「藤森さんにツッコまれると痛い痛い」

藤森「やめろよ、へたくそみたいになるだろ!」

スタジオ一同「(笑)」

とりわけ特別なシーンではない。要するに渡部と藤森が先輩芸人であるダウンタウン浜田雅功をそつなく持ち上げた・・・というくだりだ。だが、これを見ながら自分には渡部のある言葉が思い出され、彼の内面に耳を傾けたい気持ちになった。

売れる瞬間は一度しかない

そうなったのは、今年1月27日、渡部がメインパーソナリティーを務めるラジオ番組「GOLD RUSH」(J-WAVE)での彼の発言を聞いたことに拠る。この日、ゲストコーナーには深夜枠で人気を定着させた「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)などで活躍中のラッパーR-指定と、DJ松永による二人組ユニットCreepy Nutsが登場した。

ゲストが「フリースタイルダンジョン」の影響によりラップやMCバトルを巡る環境が「今ちょっと異常」(R-指定)なムーブメントとなったことに言及し、「ずっと冬の時代が長かったぶん、今こういうふうにスポットが当たってるのは嬉しい反面、ちょっと疑ってしまう。やっぱ冷静にもっと足元見て、このブームが来てる中、手放しで俺らの時代や、ってならずに、ちゃんと自分のいい曲、自分のいいライブっていうのを念頭を置いて、シンプルな活動のところにちゃんと軸足を置いとかないとヤバいなって」(同)と、慎重を自身に言い聞かせている心境が明かされた。

そんな後輩アーティストに対し、渡部はこう答えた。

<2017年1月27日放送 「GOLD RUSH」(J-WAVE)より採録>

渡部「いやだから、お笑い芸人の人もさ、びゅんと世に出かけた時にすごい謙虚なんだよ、最近ね。一発屋で僕すぐいなくなりますとか言うんだけど、俺すごい見てて、人生で浮かれるタイミングってここしかないから、今の(R-指定の)話すごいわかるんだけど、俺もっとじゃんじゃん浮かれていいって思うんだけどね。

芸人を見てて、若手のやっと世に出た子達がめちゃめちゃ謙虚で金も全然使わない。なんか見てると、どうせこっからもう(芸能界での)長い長い持久走が始まって苦労の日々だったりするのが続くから、なんかこの(売れた)瞬間ってたぶん一回しかないんだよね、世に出てく時って。変な話、女性にモテるのもここしかないの。このあといくら出続けてもモテ期来ないの。だから今なの。これ俺(若手の)みんなにすごい説教するんだよね」

R-指定「初めてですね(先輩から浮かれてもいいんだと)この感じで言われるの」

渡部「今若手が賢いんだよね。二人の考えもすごい賢いんだけど、今後このモテ期は来ない、人生で。ホントにね、世に出た瞬間が一番。俺も言うと「オンバトチャンピオン」か「エンタの神様」ぐらいか。あのモテ期は一生来ない。世間が全部俺を見てるぐらいの意識。俺あの時30ぐらいだったから浮かれずに済んだんだけど、あの時もっとバカになっときゃ良かったな。このあとずっと辛いことが続くのに。もう低空飛行がずっとよ、そこからは。いかに飛んでるかだけを意識する何十年が続くからさ。俺はもっと浮かれていいと思うんだけどね」

渡部の言葉は少し意外だった。もし内心でそういう考えを持っていたとしても、それを放送で公言する放熱型のイメージがあまり無かったからだ。このあとさらに後輩に伝えたい言葉が続く。そこに、しばし釘付けとなった。

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