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  • 祇園
  • 2011年11月04日 23:38

10月雇用統計ポイント〜失業率低下は好印象

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・政府部門は2.4万人の減少となっており、非農業部門雇用者数の増加の重石となっている。連邦政府は2千人減、地方政府は2千人減に対して州政府が2.0万人の減少となっている。地方政府についても雇用減の傾向が続いており、財政難から景気悪化時における雇用の受け皿にはなりにくいことが示唆されている。以下は地方政府の雇用者増減(出所:米労働省BSL)。

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・非農業部門の時間あたり平均賃金は0.05ドル増加の795.42ドル、平均週間労働時間は34.3時間となったことから、週間ベースの平均賃金は795.42ドルとなった。前月からわずかに上昇しているに過ぎないことから、賃金インフレの傾向は見られない。但し、専門職及びビジネスサービス(Professional and business services)の平均賃金の上昇基調は継続しており、スキルを持った人材への引き合いは引き続き強いことが示唆されている。以下は専門職及びビジネスサービスの週間あたり賃金の推移(出所:StLouis Fed)。

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■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)

・失業率は9.0%(9.012%)となり、前月から低下した。

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失業率低下の要因は労働人口(失業率を求める際の分母となる)が増加していたが、失業者(失業率を求める際の分子)が減少していたからということである。つまり、労働参加率は横ばいながらも労働人口が18.1万人増加し、失業者が9万5千人減少していたということから、ポジティブな形で失業率は低下した。また就業率(Employment-population ratio)は58.4%に上昇してきている。労働参加率が6月に63.9%になったあとに反発していることから、労働参加意欲の回復は続いていることが示されており、ポジティブな傾向が続いている。

・長期失業者(27週以上失業している失業者)は前月から36,6万人減少して587.6万人となった。長期失業者が500万人台に減少してきたのは今年4月以来のことになる。失業者に占める長期失業者の割合は42.4%となっており、9月から低下してきている。長期失業者が急減していくことは難しいが、今後も徐々に低下していくことが期待されよう。

■10月雇用統計の評価

10月の雇用統計についてはまちまちな内容であった。ポジティブな点とネガティブな点を整理すると、

ポジティブファクター:労働人口が増加し失業者が減少したことで失業率が低下した、賃金がやや増加した、失業者全体に占める長期失業者の割合が低下した、ホリデーショッピングシーズンを迎えて小売業で雇用が増加した

ネガティブファクター:建設業で雇用が大幅に減少した、政府部門で雇用の減少が継続した

このようなところである。家計調査でポジティブな要素が多く見られ、事業者調査でややネガティブな要素がみられたという感じだろう。今後、製造業の雇用の見通しについては、楽観的な見方と悲観的な見方がある。楽観的な見方からすれば、10月のISM製造業景気指数において、在庫減少と新規受注の増加がみられており、先行指標となる在庫/新規受注レシオが低下してきていることから、今後製造業の業況も回復していくだろうという見方がある。現状、製造業の在庫は少ない水準であり、今後いずれかの時期に在庫積み増しのフェーズに移っていくことから、生産が拡大し、雇用も堅調に増加してく可能性がある。特に自動車セクターは、東日本大震災後のサプライチェーン障害の解消により、在庫を積み増している情勢である。このことから生産も底堅く雇用も緩やかに増加していくことが期待される。一方で欧州経済のリセッション懸念はグローバル経済全体のリスクファクターであり、米国の製造業にも何らかの影響を受けるのではないかとの見方である。外的ショックが発生すれば世界的な需要の減少につながる可能性もあり、大幅な雇用削減の可能性もある

また、建設や政府部門の雇用は今後大きく伸びることは期待しにくく、引き続き雇用の重石として意識されていく。住宅市場や商業用不動産市場の低迷といった構造的な要因を抱える建設や財政難により雇用を削減せざるをえない州・地方政府といったセクターは今後も全体の雇用の足枷となっていくものと予想される。一方でベビーブーマー世代の高齢化に伴い、ヘルスケアといった部門の需要は底堅く、景気にも左右されにくいため、雇用の受け皿としての役割を果たしていくものと思われる。また、経済見通しが不透明な中、人材派遣によって人材を確保する動きもある。こうしたことから、欧州のリセッション懸念やショックによる需要減少は確かに大きなリスクファクターであり、Fedも警戒していくものと思われるが、そういった影響があまり大きくならなければ、引き続き緩慢ながら雇用は回復していくのではないかと思われる。

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