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ギリシャ版シエスタの謎(空白の2時間)

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 ギリシャ危機が騒がれて久しいが、テレビでは毎日のようにギリシャの政治情勢が報道されている。5日にはギリシャ議会でパパンドレウ内閣の信任投票が行われたが、賛成多数(僅差)で信任されたらしい。このことによって、「当面のギリシャ破綻は避けられた」と伝えられている。

 ギリシャは観光で有名な国だが、ギリシャ危機が騒がれるまでは、どういう国であるのかということはあまり知られていなかった。「エーゲ海をのぞむ美しい観光名所」という抽象的で表面的なイメージだけが喧伝され、政治的な内情というものは具体的にはほとんど公には報道されてこなかった。
 実際にギリシャ旅行をしたという人のブログ記事などを読んでみると、多くの人が共通して抱くイメージというものがあるらしく、そのイメージを一言で言えば、「怠惰な国」ということらしい。

 ギリシャは人口1100万人程の小国だが、就労者の4人に1人が公務員という国でもある。官庁の勤務時間は、早朝の7時に始まり、14時から15時で終了するというのが一般的であるらしいが、普通の企業でもこれに近いと言われている。そして、ギリシャには「シエスタ」という生活習慣がある。「シエスタ」というのは、スペイン語で「昼寝」を意味するが、元々はスペイン人の日差しを嫌う文化から始まったものとされている。

 朝早く起きて、夜遅くまで遊ぶことが習慣になっているギリシャではシエスタはなくてはならないものになっており、13時から16時までの3時間程度がシエスタ時間に割り当てられている。ギリシャではその時間帯に電話をすることは公私共に失礼に当たるらしい。
 13時から16時までということは、先に述べた午後からの仕事時間と重なることになるので、実質、まともに仕事をするのは昼までであり、午後からは昼寝と遊びというのが、ギリシャ人の一般的な生活習慣だと言える。

 「エコノミックアニマル」とか「ワーカホリック」と揶揄される日本のサラリーマンから見れば、ギリシャというのは「国民全員が公務員のような国」とも言えそうだ。日本では電車が数分でも遅れると大騒ぎになるが、ギリシャのような国では、おそらく全く正反対で、時間通りに電車が到着すれば驚くような国であるのかもしれない。

 こういったギリシャのノンビリムードというものは、ある意味で日本も少し見習うべきなのかもしれないが、反面、そんな国では経済的に財政破綻するのは仕方がないという気もする。

 個人的には、1時間程度の「シエスタ」的な休憩時間は日本でも導入した方が仕事能率は上がるのではないかと思う(その代わりに終業時間は1時間遅くなる)。

 実際、シエスタは健康にも良いらしいので、導入する価値はあると思う。しかし、気を遣って有給休暇も満足に取得できない日本のような国ではシエスタの導入は極めて難しいと言わざるを得ない。元々国の文化や国民の気質の違いもあるため、全国民的にシエスタを導入するなどということは不可能に近い。

 それにしても就労者の4人に1人(つまり25%)が公務員というのは無茶苦茶である。日本の場合、公務員比率は6.5%程度なので、25%のギリシャは日本の4倍近い比率ということになる。現在の日本で公務員数が4倍に膨れあがればどうなるかを考えれば、その異常ぶりがよく分かる。しかもギリシャ国民は日本国民と違い、勤労の精神というものをほとんど持ち併せておらず、資本主義の精神も全く根付いていないように見える。

 先程、4人に1人が公務員と述べたが、現在の日本の年金制度も実はこれに近いシステムになっている。年金制度が出来た当初は、10人の労働者で1人の退職者を養うというシステムだったが、現在では3人で1人を養うというシステムに変化していることはよく知られている。
 給料が30万円の3人の労働者がそれぞれ5万円ずつ出し合って、1人の退職者を15万円で支えるというシステムならまだなんとかなるかもしれないが、2050年には1人の労働者で1人の退職者を支えなければならなくなる。給料30万円の人が、給料の半分に当たる15万円を支払うというようなシステムがまともに機能するとは思えないので、年金システム自体が破綻することは目に見えている。どんなにデタラメな予言者であろうとエコノミストであろうと、このこと(年金制度の崩壊)を予言するのは、さほど難しいことではない。それは予言と言うよりも、近い将来に起こる必然でしかない。

 日本の年金問題については別の機会に譲るとして、ギリシャ問題に話を戻そう。
 ギリシャのGDPはユーロ圏の3%に過ぎない。その3%に過ぎない国が、EU諸国の経済だけでなく、全世界の経済にマイナスの影響を与えている。これは普通に考えると非常におかしな話だと言える。

 俗な話だが、少し前までギリシャでのポルシェ購入台数は世界一だったらしく、怠惰な国民性の割りには、消費国家という一面も持ち併せている。しかし、その消費は借金(ローン)によって成り立っているもので、国の放漫財政の原因は、実は国民の借金体質にもあることを如実に物語っている。借金に次ぐ借金体質というのは、まるでサブプライムローン問題で揺れたアメリカの住宅バブルのようだが、結局のところ、身の丈を大幅に超えた生活を送っていたことが財政破綻を招いた原因だったということなのだろう。

 まともに働きもせずに、消費欲は人一倍強く、過剰な社会保障を求めるという、まるでどこかの国(?)のような国民性こそがギリシャ問題の本質であり、それは世界中の福祉国家にもそのまま当て嵌まることでもある。それが、ギリシャ問題が全世界的な問題にまで拡大している本当の理由なのかもしれない。それは一言で言うなら、「福祉国家という幻想の破綻」である。
 彼らに対する処方箋は「借金の棒引き」という甘い薬ではなく、「合理化の精神の導入」という苦い薬であるべきなのかもしれない。「良薬は口に苦し」である。

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