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「受動喫煙防止法」その2―屋内禁煙は飲食店の経営を悪化させるか―

受動喫煙の防止で一番の焦点となっているのが飲食店の規制だ。厚生労働省案は床面積30平方メートル以下の小規模なバー、スナックを除き原則屋内禁煙とした上で、喫煙室の設置を認めるとしている。WHO(世界保健機関)から「世界最低レベル」と指摘される中、今国会に関連法案を提出、ラグビー・ワールドカップ(2019年9月)までに施行し、翌年の東京五輪・パラリンピックで「たばこのないオリンピック」を実現したいというのが、わが国の方針だ。

これに対し「たばこ議員連盟」は「喫煙室の設置が不可能な飲食店もある」、「生計の基盤を損なわれてしまいかねない関係者が多く出る」と反対、逆に「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」はバーやスナックを含め、すべての飲食店を全面禁煙とするよう求めるなど与党内の亀裂も深まっている。

飲食業界には「禁煙にすることで客離れが進み店の経営が成り立たなくなる」といった強い危惧がある。長年育まれた、たばこ文化を背景に「たばこは禁止薬物ではない」と規制に反対する文化人も多く、「(それでは)非喫煙者の健康が、喫煙者の喫煙の自由より後回しにされている現状が変わらない」と反論する厚生省側との溝は埋まりそうにない。

それでは飲食店の屋内全面禁煙が本当に客離れを引き起こすのか?−。

今年2月、九州看護福祉大学が実施したインターネット調査では、回答を寄せた約1万人のうち73%が受動喫煙防止策の強化を盛り込んだ厚労省の健康増進法改正案に賛成と答え、仮に飲食店が禁煙になった場合、42%は「行く回数が増えるだろう」と答え、「行く回数が減るだろう」と回答した12.6%を大きく上回った。数字を見る限り、禁煙した方が客が増える可能性を示している。

現にWHO・国際がん研究機関(IARC)などの調査によると、米・ニューヨーク州やアルゼンチン・サンタフェ州、スイスのバーやレストランでは受動喫煙規制後も売り上げに変化はなかった。米・ワシントン州やカリフォルニア州では売り上げ増加も見られ、ニューヨーク州や英国では規制導入後、バーやパブに行く人が4〜3%増加した、との数字もある。

国内でも、愛知県が2010年、自主的に全面禁煙した1163店を対象に調べた結果、売上げが減ったと答えたのは4%、1%は逆に増えており、96%は影響がなかった。また産業医科大が全席禁煙化を行ったチェーンレストランの営業収入を調べた結果、実施後の営業収入は実施前に比べ3%以上増加していた。

その店の客層にもよるが、少なくとも一般的傾向としては、全面的に禁煙した方が客層に広がりが出るようで、直ちに店の経営が成り立たなくなるという主張は説得性を欠く。

そうでなくとも国立がん研究センターなどの調査で、受動喫煙を受けている人の罹患リスクは肺がん、脳卒中が1.3倍、乳幼児突然死症候群が4.7倍とされるなど、受動喫煙による悪影響は医学的にも争いようがない。分煙や喫煙室設置では受動喫煙防止が徹底しないのも明らかだ。屋内の全面禁煙こそ、国際的にも通用する受動喫煙防止策と考える。

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