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あえて小沢裁判に言及しておくー重要なのは裁判官の質問だということについて

小沢裁判が急速に進展していることが分かった。産経記者が発信する公判傍聴記録が即時性があり、かつ詳細で正確性に富んだものであることが確認できた。

やはり10月6日の第1回公判期日における隠し録音の再生は決定的な役割を果たしそうだ。指定弁護士側がよく隠し録音の再生に同意したものだ、と思うくらいにこの録音は重要な証拠になる。石川被告が法廷でどんな証言をしても、この録音によって確認された石川被告の捜査段階での供述を否定することは出来ない。

10月28日と11月1日に行われた石川被告の証人尋問の評価については、まだ法律専門家の方々から声が上がっていないが、私の見るところ指定弁護士はこの証人尋問で十分所期の成果を挙げている。石川被告が小沢氏に対して一切報告もしておらず、その了承も取ったこともないと強弁しても、裁判所は、少なくとも報告はされている、という心証を形成したはずである。

一般の方には指定弁護士の質問も弁護人の質問もさらには裁判官の質問も同じように聞こえるかも知れないが、実は違う。

指定弁護士の質問は、基本的に捜査段階の石川被告の供述に任意性があることの確認にあり、弁護人の質問は、その逆に供述の任意性を疑わせるような具体的な取り調べ状況を証言させるところにあった。指定弁護士に肩入れすると如何にも公判が指定弁護士のペースで進んでいるように見え、その逆に弁護団に肩入れすると弁護団の質問とこれに対する石川被告の証言で如何にも被告弁護団が有利に公判を進めているかのような錯覚に陥ってしまう。

裁判官の質問が決定的に重要である。裁判官がどんなことに疑問を持ち、どんなことを聞き出そうとしているか、ということが裁判を予測するうえで決定的に重要になる。裁判官の質問に対して証人がどんな風に答えたか。証人が、どんな質問に対して質問をはぐらかして答えようとしなかったか。証人の証言が客観的な証拠と符合しているかどうか。

こういうことが裁判官の心証形成に決定的な役割を果たす。

裁判官も人の子だから間違いを犯す。おそらく先日の石川被告の証人尋問の際には、裁判官には国会議員の資産公開制度がどういうものか分かっていなかっただろうと思われる。指定弁護士も弁護人も本当のことは知らなかったようだ。多分、訴訟関係者は誰も気づいていないと思うのだが、私には思い当る節がある。何だ、そういうことだったのか、というようなことである。

裁判官は、石川被告が小沢氏から現金で預かったという4億円を何で小沢一郎氏個人の定期預金にしなかったのか、預金担保融資にするのだったらまず小沢一郎名義で定期預金を組んでこれを担保にして4億円を銀行から融資してもらえばよかったんじゃないか、ということに拘っていた。

極めてまっとうな質問である。しかし、この裁判官に対して明快な回答はなかった。不得要領で終わったな、という印象である。大体の人は、何か変だな、というくらいで終わってしまうと思う。

種明かしをすると、小沢一郎氏個人の名義で定期預金を組むと、資産公開しなければならなくなるからである。現金や普通預金は国会議員の資産公開の対象から外れているので、政治的な裏金資金を作る人は現金やせいぜい普通預金にする、という習性がある。小沢一郎氏個人の定期預金には出来なかった、したくなかった、ということである。

長年政治の世界にどっぷり浸かってきた人たちが培ってきた、ささやかなロー・テクがそこにある。こういうことが分かると、先日の石川被告証言の裏表がより見えるようになるものだ。小沢裁判の関係者の方々が私のブログを読んでおられるかどうか知らないが、何かの参考にされればいい。

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