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再生可能エネルギーは頼りになる、その理由

前回の「エナジーシフトの基本概念」で大枠を説明したが、今回から各論に入っていく。といっても、しばらくは、大枠の話だ。
今回は、「再エネについてはさまざまな予測やポテンシャル」について、もう少し詳しく見る。

総量は十分ある。



環境省が原発震災直後に発表した推計によると(原典は以下のp.282)。風力と太陽光の導入ポテンシャルを加えると、約200,000(万KW)。
単位がわかりにくので、国際単位に従って、すべて1000倍系列の単位で換算しよう。100万キロワット=1GW(ギガワット)なので、約200,000(万KW)=200GWとなる。


一般的に、原発1基で100万キロワットなので、国際単位では1GW程度と覚えておこう。数字の判断が付きやすくなる。
環境省予想の200GWという数字は、そのまま見ると原発200基分になる。日本には54基の原子炉があることと比べると、200基は非常に大きく見えるが、もう少し詳細に見る必要がある。
導入ポテンシャルの200GWは、風力発電などの設備容量だ。この数字は、風が設計上もっとも最適に拭いた場合につくれる電気の量を示している。実際には、風はいつも拭いているわけではない。太陽光も同じだ。そこで、実際にどの程度発電できるかという稼働率が問題になる。おおむね20%台は期待できる。

一例として、東伊豆のウィンドファームのデータを見てみよう。この表では「稼働率」が風車が動いている時間の比率、「利用率」が設備容量に対してつくれた電気の比率だ。
「0」の月は落雷による故障。それ以外はヒトケタ%や10%台もあるが、一方で40%台の数字もある。平均的に20%台以上は期待できることがわかる。ざっくりとした試算をする場合は、20?25%程度の稼働率(利用率)を使えば、同等以上の結果が期待できる。
導入ポテンシャルの200GWに20%をかけて40GWが環境省が見積もっている容量ということになる。

一方原発の合計は約50GW。原発は、一度動かしたらフル稼働で運転し続けるしかないという特性があるので、稼働率は100%のように見えるが、実際には1年に1回、燃料交換とメンテナンスがあるため、稼働率は高くても80%程度だ。実は、日本の原発の稼働率は80?90年代には80%程度だったが、その後、原発の故障や事故、電力会社による事故隠しのための安全点検(停止)、地震による事故での停止などが続き、2008年には60%程度に落ち込んでしまった。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/821
地震で爆発した福島第一原発のように、つくられてから30年、40年と経過するものも増えてきたため、トラブルも多くなってきたという背景もある。
いずれにせよ、メンテナンスの時以外はフル稼働させている原発でも、稼働率はせいぜい80%であり、これを、原発の設備容量50GWにかけると、40GWになる。
このように計算してみると、環境省が計算した再エネのポテンシャルと、現在の原発の発電実績はほぼ同じになるというのがわかるだろう。
これまで日本では、これまで日本では原発の電気を優先的に使い(設備稼働率を極大化し)、電気をまかなってきたが、この結果、全発電量に占める原発の割合が25?30%程度で推移してきた。
このことから、2050年の見込みを立ててみよう。
エナジーシフトのシナリオでは、総エネルギー消費を現在の50%程度に落とすことを目標にしている。その50%の中で、現在の原発=将来の再エネポテンシャルを考えると、将来は、全体が減る中で、再エネで50?60%をまかなえることがわかるだろう。
つまり、現状の試算による再エネポテンシャルだけで、半分はまかなえるところまで、現在の技術で想定できるということだ。

■2050年までに期待できる再エネ技術



とはいえこれではエナジーシフトは道半ばだ。
残り半分は、新たなポテンシャルを探すことと、技術開発に期待することになる。30?40年先のことなので、相当な変化を期待することもできるだろう。たとえば今から30年前に携帯やパソコンはあっただろうか? 存在もしていなかったパソコンが、手のひらの中でスマートホンとして動いてるのと同じ変化が、再エネ技術の中でも起こるだろう。
現在さまざまな再エネ技術が開発中だ。

その中で僕が一番ポテンシャルがあるとみているが、洋上浮上風力だ。
現在の風力は陸上が中心だ。洋上は、欧州では多いが、欧州では遠浅の海が日本に比べて多く、洋上に風車を並べることができた。日本では海深が一気に深くなるところが多いために、洋上風力のポテンシャルが小さくなっているのだ。国土が狭く、人口密度が高い日本では、陸上での設置が限られるが、洋上もむずかしいというのが従来の見方だった。
しかし洋上浮上風力では、洋上に浮島をつくって風車を並べるため、深さに関係なく設置できる。しかも日本は海岸線が長く、排他的経済水域(EEZ)で世界6位の広さを持っている。領海とEEZの適地に洋上浮上風力を並べれば、環境省の予測を超えて風力発電を設置することができる。
洋上の場合、ふたつのことが問題になる。

ひとつは、海岸から遠くなるために、つくった電気を運ぶのにコストがかかること。この点は、風車でつくった電気で、海水を電気分解し、水素に変えて、タンカーに乗せて運ぶことで利用できるようになる。この方法だと、海岸からの距離に制約がなくなるし、後述するように、「風力は使いたいときに使えるとは限らない」という問題も解消される。
陸上に運んだ水素は、燃料電池に入れて発電して電力に変えるか、燃料として燃やして、クルマを動かすのに使うこともできる。

ちなみに、水素を燃料に使うクルマはすでに実用化されており、マツダがガソリンと水素の両方が使えるロータリーエンジン車を試作、発表している。水素を燃やしてもその場では水しか出ないので、非常にクリーンな燃料だ。

ふたつ目の問題が、漁業とのコンフリクトだ。海面を浮島と風車が占領すれば、漁業ができなくなる。この問題を解決するために、九州大学では六角形の浮島の間にいけすや岩礁をつくり、魚を育てることで、発電所と漁業の両立を狙った研究を進めている。これには大いに期待している。
洋上浮上風力は、僕のイチオシではあるが、他にもさまざまなものに可能性がある。波力や潮力もこれからの技術開発が期待できるし、どちらも広い日本の海面を活用できる。地熱、地中熱、そして既存の陸上風車や太陽光、太陽熱などにもさらに効率の良いものが登場するだろう。これらを合わせて、残りを埋めれば、再エネで全エネルギー需要をまかなうこともできるようになる。

2050年というスパンをとったときに、省エネと再エネでエナジーシフトを起こすことは、十分可能と見てよいだろう。これが、EUがこのシナリオを採用し、大きく舵を切っている背景にあるのだ。

EUで2010年に相次いで発表された「2050年再エネ100%ビジョン

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