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東日本大震災6年 復興に向け関与し続ける意識が重要

 未曽有の災害となった東日本大震災から6年が経過した。私は、震災の4カ月前の2010年11月12日付で経済産業省を辞職し、土日を挟んで15日に青山社中を設立した。後任は、私同様、インフラ輸出を促進する政策の立案・実施に励んでいたが、震災後は、当時、経産省の一部であった原子力安全・保安院に駆り出され、ほぼ毎晩泊まり込みで原発事故対応にあたっていたと聞く。

 その他、私の部下だった者は、急遽(きゅうきょ)、資源エネルギー庁に駆り出されて計画停電対策をするなど、省内中で、戦時下のように「前線」(上記の保安院やエネ庁)に人材をシフトしていたそうだ。あと半年早く震災が起こっていたら、私も恐らく、「戦友」を見捨てて「戦線」を離脱することができず、いまだに役所にいたかもしれない、と時々考える。人生はつくづく不思議だ。

 6日に、ありがたくも当時、私の辞職を引き留めようと、公式面談とは別に3度も飲みに連れ出してくれた人事企画官(Iさん)と、久々に酒席をご一緒し、意見交換をした。Iさんは、当時、「朝比奈君が言う『日本を活性化するために新しい会社を創る』という考え自体は100%支持する。でも、今のインフラ輸出促進はとても大切な仕事だし、起業は少し後で良いんじゃないか」という議論を展開した。「インフラの輸出促進」が「震災対応」だったら今も辞めていなかったであろう。そんな気持ちもあり、組織を離れた今も、勝手に、経産省に心を少し留めながら生きている。

 そんなIさんは、震災当時、人事企画官として、省内の優秀な若者を次々と「前線」に送らねばならない立場となった。経産省全体が国民から見て「戦犯」扱いされる中、見方によっては報われない戦いに多くの若手を送り出し、とてつもない残業をさせたり、ひどい時には精神疾患などに陥らせたりせざるを得なかった。耐え難い労苦だったと思う。

 通例、人事企画官は立場を活用して、自身の次の異動ではいわゆる「良いポスト」に就くことが多い。しかし、Iさんは、志願して、福島の被災者に直接向き合う部局の参事官となった。罪滅ぼしの気持ちからであろう。「経産省出身」と言うだけで罪人扱いされる環境下、何時間も被災者の前で正座をしたり、芋煮会などの集まりにも政治家のように顔を出し続けたりして、ようやく、ある程度の信頼を得ることとなった。そのポストを離れた今も、福島でのイベントには極力駆けつけていると聞く。関与し続ける覚悟を見た気がした。

 震災から6年がたち、この3月には、「帰還困難区域」以外の区域の避難指示が全面的に解除されると聞く。さまざまな動きがあって、正直、私の中でも、世間的にも震災が過去のものとなりつつある。危機感からの「震災を風化させるな」との戒めの言もあちこちで目にする。

 ただ、重要なのは、「風化させる」とか「させない」ではなく、被災地をいかに「活性化」するかだ。「活性化」の結果、震災が風化するのなら、むしろそれは、亡くなられた方々も含めて望むところではないか。

 その観点から深刻なのは、「地方創生」ブーム全体の風化である。昨年から「働き方改革」がブームで、担当大臣も登場しているが、その前年(15年)は「1億総活躍」が脚光を浴びて担当大臣が誕生した。そして、そのさらに前年(14年)に盛り上がったのが「地方創生」であり、担当大臣には総理のライバルと目される石破茂氏が着任して存在感をある程度発揮した。だが、今は国民の多くが、恐らく大臣の名前すら知らない。政府は「地方創生」から既に離れてしまっているように見える。

 地域活性化は容易ではない。が、私見では、活性化とは「人がさまざまな形で呼び込まれている状態」と考えると、自ずとやるべきことは見えてくる。生き生きと、現場・現地にコミットしながら汗を流す人たちをいかにたくさん作るかが鍵だ。

 ゲーテの名作「ファウスト」の最後のシーンが脳裏をよぎる。誤解の中で、危険を冒して自由の土地を造成する老若男女との暮らしを夢想してのセリフだ。「瞬間よ止まれ、汝はいかにも美しい」

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