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崩れるヤフーの独壇場、スマホ対応遅れる新聞社 - 中西 享

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 1人が1台以上のスマートフォンを持つようになり、ニュースコンテンツをめぐって新聞系サイトとニュースアプリを使った新旧メディアがサイトの覇権を賭けて激突している。最近はサイト上での不安感をあおるようなフェイク(偽)ニュースの横行が話題になる中で、ニュースアプリの「質」が問われている。

 数年前まではネットニュースといえばヤフーの独壇場だったが、いまやLINE、スマートニュース、ニューズピックスなど新興メディアが相次いで登場、新聞を見ない若者世代の支持を得てアクセス数を急激に伸ばしている。一方で新聞社系のニュースサイトはスマホへの対応が立ち遅れて大苦戦。ニュースサイトを巡る最新情勢について、インタビューを交えて2回続きで報告する。

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バズフィード社の社内

LINEの猛追

 ヤフー・ジャパンは広告モデルによる無料ニュースサイトのサービスを1996年に開始、アクセス数を爆発的に伸ばしてきた。現在、新聞各社を含めたメディア約200社から1日約4000本の記事の配信を受け、この中から同80~100本を「Yahoo!ニュース トピックス」(98年12月開設)に掲載している。いまでは月間のページビュー(PV)が約150億という日本で最大級のニュースサイトに成長している。

 「トピックス」には8本の記事が掲載され、上の方に政治、経済、国際などの硬派記事、6~8本目に原則3本までスポーツ、芸能関連の記事という構成になっている。ここに載るとニュースの波及度合いが大きい。提供する側には、ニュースへのアクセス数に応じた2段階の従量制で提供料が支払われる。昨年4月からは、記事のアクセス数だけでなく、いわゆる特ダネなどの質の高い記事に対する支払制度も始めた。

 一方で、新聞社も提供料は収入源にはなるが、期待したほどの金額にはなってないのが実情で、新聞社は金額の低いことに対してかねてから根強い不満がある。しかし、今の厳しい新聞社の経営実態からすると、「それでも、いったん提供料をもらい始めると、なかなか止められない」のがいまの新聞社の実態で、力関係で上にあるヤフーに対して、提供料の値上げは言い出しにくい環境にある。

 数年前までは、地方新聞の中にはヤフーにニュースを提供することへの抵抗感が強かった。だが最近は、全国的に浸透力のあるヤフーに掲載することによるニュースの拡散、自社サイトへの読者誘導ができるメリットを重視、提供する新聞社が増えている。

 13年ごろからスマートフォンが急激に普及、ヤフーでは現在の閲覧比率はパソコンよりスマホの方が多くなってきている。これに伴い、アクセス数もSNS(交流サイト)のLINEの「LINE NEWS」に追い上げられ、社内にも危機感が生まれている。

 ヤフーの有吉健郎ニュース担当企画部部長は「アクセス数を伸ばすため軟派記事を増やすつもりはない。硬派記事と軟派記事の今の構成比率は変えないことでニュースサイトとしてのブランドを維持していきたい。フェイスブックやツイッターなどSNSで何が話題になっているかもウォッチしている。LINEは写真などの見せ方が上手なので勉強させてもらっている」と話し、スマホ、SNS対応を急いでいる。

 収入的には広告収入が大半で有料ニュースサイトからの収入はまだ少ないが、広告モデルによるサイト間の競争が激化しており、これまでのような広告収入の大きな伸びは望めなくなっている。また、サイトを閲覧するときに広告を消去する「アドブロック」と呼ばれる機能も登場してきており、広告モデル中心のビジネスモデルからいかに軌道修正するかが課題になってきている。

メディアとしての責任

 ヤフーはこれまで、ニュースの生産者であるメディアからコンテンツの提供を受けてサイトにアップするだけの、いわば流通業的役割しか果たしていなかった。ニュースの流通は担うが、生産はしていなかったため、真のメディアと言うには疑問とする見方もあった。しかしヤフーは、昨年2月に情報提供元と、メディア系サービスを運営するための基本方針として「メディアステートメント」を発表し、「間違った情報をアップした場合、その情報を流通させた責任は生じると考える。その場合、ユーザーに対して訂正を知らせるなど、正しく情報を発信する体制を整えている」として、メディアとしての責任を自覚してきている。

 一方で、「トピックス」の記事は「以前ほど面白くなくなった」という声も聞こえてくる。面白い記事の基準は人によって違うが、ヤフーはメディアとしての責任を重く受け止め、慎重になり過ぎている面があるようだ。

 最高裁判所がネットの検索サイトに表示された逮捕歴の削除を巡る問題で、2月1日までに削除を認めない決定をしたが、ヤフーなどサイトを編集する側は、今後は表現の自由とプライバシー保護の両方の視点から逮捕歴など、社会の関心が高い情報で難しい判断が求められる。ニュースサイトはこれまでは大量のニュースを流すだけで、その価値判断は読者に任されていたが、ニュースの真偽が確かめられてないフェイクニュースが散見される中で、膨大なニュースの中から真偽をも見極めて編集する判断能力が要求されている。

 影響力が大きくなったヤフーとしては、こうした新たな状況の変化も踏まえて今まで以上にニュースの「品質」を重視せざるをえなくなった。記事は書かないものの、どういう判断でどの記事を掲載するかは編集者としての判断が問われる。このため、2年前から西日本新聞に新卒の編集スタッフを派遣して勉強させるなど、編集内容の向上に力を入れている。

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