- 2017年03月13日 12:21
スマートグラス、眼鏡業界で再び脚光
By MANUELA MESCO
【ミラノ】数年前、米アルファベット傘下のグーグルは「スマートグラス」で失敗した。そして現在、眼鏡業界で新たな巨人が誕生したのをきっかけに、眼鏡メーカーとIT(情報技術)企業はウエアラブル端末市場で競争できると期待する商品を再び試している。
イタリアの眼鏡大手ルクソティカとフランスの同業エシロール・インターナショナルは今年1月、合併で合意したと発表。時価総額500億ユーロ(約6兆1100億円)の巨大企業の誕生が眼鏡市場を復活させ、2022年までに5500万本の規模に達するという強気見通しも出ている。ただ、眼鏡メーカーはデザインと流通量で一歩先を進んでいるものの、IT大手でさえ苦戦する市場での成功は容易ではなさそうだ。
IT企業のアイラと通信大手AT&Tは視覚障害者をオペレーターが遠隔支援できるサービスを開始した(英語音声、英語字幕あり)Photo: George Downs/The Wall Street Journal
グーグルが2012年に投入した「グーグルグラス」は総じて失敗に終わった。プライバシーへの懸念や他のウエアラブル端末との競争、かけるとサイボーグに見えるデザインの悪さが原因だ。現在、グーグルはこの商品を主に業務用として販売しており、当面は一般向けに売り込む計画を棚上げしている。
グーグルに続き、新興企業から米マイクロソフト、セイコーエプソンなどの大手に至るIT企業は、こぞってインターネットに接続できる「コネクテッド眼鏡」の新バージョンの開発に取り組んできた。しかし、レンズにモニターを付けると邪魔になりすぎることが多いとあり、商業的に大きな成功を収めた企業は1社もない。アナリストらによると、コネクテッド眼鏡の機能はスマートフォンと非常によく似ており、デザインはあまりにも不格好だという。また、眼鏡を使って相手に知られずに動画を撮影するなど、プライバシー侵害への懸念も障害となってきた。
代わりに、一部のIT企業はより狭い顧客層にターゲットを絞っている。米国に基盤を置くスマートグラスの専門メーカー、ビュージックスは遠隔地から技術サポートや訓練ができる業務用眼鏡を作っている。一方、ソニーはスマートグラスにインストールできるアプリの開発者に技術を提供。メッセージアプリ「スナップチャット」を運営するスナップは最近、かけたまま写真と動画が撮影できる眼鏡を投入した。
一方、新技術を欲する若い顧客を満足させるという圧力にさらされている眼鏡業界は、これまでスマートグラスを排除してきた大衆市場を切り開くのに貢献できそうな商品開発を急いでいる。
未来のフレーム
眼鏡メーカーやIT企業は次世代の「コネクテッド」そして「ウエアラブル」製品に取り組んでいる

オークリー(ルクソティカ):同社は昨年、米インテルとタッグを組み、インターネットに接続できるスポーツサングラス「レーダー・ペース」を投入した。この製品はユーザーのパフォーマンスを追跡し、コーチングなどを通じてユーザーを指導できる。

エシロール:昨年リリースされたコネクテッド眼鏡「マイアイ」にはイヤホンとテキストを読み込めるカメラが搭載されている。新興企業オアカムが開発したこの製品は物体を認識し、紙幣を読み込むことができる。

サフィロ:昨年発売された同社の「スミス」は、脳波感知技術を持つカナダのインタラクソンとのコラボ商品。瞑想(めいそう)中に脳波を測ることができるほか、サフィロはアスリートや医者などの集中力を助けることができると述べている。

ビュージックス:コネクテッド眼鏡を専門とする米国のメーカー。同社は米インテルのプロセッサーとアンドロイドを基盤とするコンピューターを特徴とする「M300」を出荷している。この製品は製造業や医療向けに使うことができる。
Photos: Source: the companies
イタリアのサフィロは2014年、通信回線の入った眼鏡フレームを開発してほしいというグーグルの申し入れを断った。サフィロのイノベーション部門を率いるニコラ・ベリ氏によると、その理由は「グーグルの哲学が眼鏡にスマホの全機能を移す」ことだったからだ。
サフィロは現在、脳波を読めたり集中するのを助けたりできるというスマートグラスの独自開発に取り組んでいる。他のメーカーは技術を小型化したり、電池寿命を長くしたり、日中でも眼鏡内部のディスプレーを見やすくしたりするという、基本的な問題の克服を試みている。
ルクソティカとエシロールの新グループは、それぞれの強みを組み合わせて高い目標に向かっている。
レンズ生産大手のエシロールは、顔や日常的に目にする物体を認識するレンズを作っている。フレーム製造に強いルクソティカは、重みで落ちることなくスマートグラスに必要な技術を内蔵できる、グラフェンなどの軽量素材に取り組んでいる。
ルクソティカは米インテルと組み、すでにスポーツ向けブランド「オークリー」でスマートグラスのモデルを投入している。
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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