政府は、昨日10日、総理官邸で、国家安全保障会議(NSC)を開き、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設部隊を5月末に撤収させる方針を決めました。
安全保障関連法に基づいて、初めて「駆けつけ警護」の任務が付与されている部隊約350人が撤収することになります。安倍総理は、「一定の区切りをつけることができると判断した。」として、派遣開始から5年が経ち、施設整備の一区切りを強調していますが、現地の治安情勢が悪化している中で、隊員に死傷者が出ることを懸念したから、とみられています。
国会では、野党が現地の危険性をたびたび指摘してきました。防衛省が、廃棄したとしていた派遣部隊の日報が「戦闘」と報告しているのに、稲田防衛大臣が「法的な意味での戦闘行為はなかった」と繰り返し、「国会答弁する場合には、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」とも述べ、野党は、資質に欠けるとして、辞任を求めました。菅官房長官も、現地の治安が撤収の理由ではない、としていますが、政府内では、現地の情勢は、「ひどい緊張状態が続いている」という懸念が出ていた、と報じられています。
どうみても、PKO派遣5原則に抵触する現状で、自衛隊を撤収することは、当然のことだと思います。そういう状態なのに、安保関連法による初めての新しい任務のために、無理して派遣している、とみられていました。撤収まで、何事もないようにと願っています。撤収で、この問題は一件落着とはいかないので、国会で引き続き、安保関連法との関係も含めて、しっかり審議をしてほしいと思います。