記事

大胆な金融緩和にブレーキをかけ始めたECB

ECBは9日の理事会で、主要金利と資産買い入れ策を据え置きを決定した。これは予想通りであり、市場へのインパクトも限定的かとみられていたが、市場はドラギ総裁の会見内容などから、ECBのスタンスの微妙な変化を感じ取ったようである。

ドラギ総裁は理事会後の会見で、ECBは今回の声明から「目標達成に向け正当化されるなら理事会は利用可能なあらゆる措置を利用する」との文言を削除したと表明した。削除理由について「デフレリスクに促された一段の措置の導入に向けた緊急性がもはや存在しないことを示唆するために削除された」と説明した(ロイター)。

さらにドラギ総裁はデフレリスクはおおむね無くなったと言えるとし、市場ベースのインフレ期待は目に見えて高まったと指摘した。また、景気に対するリスクバランスの改善を指摘したほか、利下げを示唆する言及を削除するかどうか協議したことも明らかにした。

この発言を受けて9日の欧州市場ではユーロが買われ、欧州の国債は軒並み売られた。ドイツの10年債利回りは0.42%と前日の0.36%から上昇し、フランスの10年債利回りも1.07%と前日の1.01%から上昇した。オランダやスペイン、イタリア、ポルトガルの国債も売られた。

ECBの追加緩和に対する前傾姿勢に変化がみられ、大胆な緩和政策にややブレーキを掛けた格好となった。日本でリーマン・ショックやギリシャ・ショックと呼ばれた世界的な金融経済危機のための大胆な緩和策は、そろそろ打ち止めとなる。ただし、来週のオランダでの総選挙、フランス大統領選などでポピュリズム政党の躍進の可能性もあり、英国のEU離脱もあってあらたなユーロ危機が訪れる懸念は残る。このためすぐに方向転換はできないものの、大きな危機は去り、物価も上昇しつつあり、循環的な景気回復の勢いが増している可能性もあるなかでの大胆な緩和策が異質に見えてきている。

これは日本も同様である。ただし、日銀は量を求める政策に限界があることもあり、結果として行き着いた先が、長短金利操作付き量的・質的緩和となった。これは全部ありの政策に見えるが、量は目標から外しており、フレキシブルに変更可能な金利を操作目標に戻したことで、すでに大胆な緩和策には結果としてブレーキが掛かった状態となっている。ただし、これを日銀は表だって認めようとはしていない。このあたり黒田総裁は会見等で、少しトーンの変化を示しても良いのではなかろうか。頑なに長期金利の目標値を引き上げることは考えていないのではなく、状況に応じて検討するとしておいた方が、柔軟な対応も可能になるのではなかろうか。

あわせて読みたい

「金融緩和」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。