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少年院からの社会復帰を阻む見えない壁――少年院送致決定後の高校退学措置は妥当か

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今回のツアーで気が付いたのは、少年院からの社会復帰と教育の問題だ。

最近では少年院からの社会復帰というとき、就労支援を対にして語られれることが多い。日本では就労が単に生計を立てるという側面のみならず、居場所や自己承認、新しい健全な関係性構築などと深く結びついているからだ。そのため協働を通して、新しい就労のルートと支援の態勢が模索されている。その一方で、多摩少年院には、進学したいという少年もいて、大学受験にも挑戦したという話を聞いた。

だが、その数は多くないという。何が、彼らが教育に向かうことを阻害しているのだろうか。厚労省の『平成28年賃金構造基本統計調査 結果の概要 学歴別』(リンク先PDF)によれば、どの年齢層においても、平均賃金は「大学・大学院卒」「高専・短大卒」「高卒」の順になっている。関連して思い当たったのが、高校等の退学措置の問題だ。要は不良行為が露呈したり少年院送致になった場合には、実質的に退学措置を取る高校は少なくないのではないかということである。そのことをツアー後の質疑応答のときに、多摩少年院の担当者に尋ねてみた。

返ってきたのは、「高校は自主退学、大学は退学扱いになる事例が多い。非社会性を除去して、社会や教育に戻したいが(その場所が奪われ)、矯正教育の否定に思える」というものだった。

元職の法務教官も同種の見解を記していた。
少年院に入っても退学処分しない高校- 少年院教官・野呂の回顧録
http://blog.livedoor.jp/noro_makoto/archives/9290630.html 


冒頭記したように、少年法は少年の矯正と保護を目的としている。

ここでいう保護とは家庭環境等が考慮されている。そのことは今一度想起されてもよいのではないか。少年院での矯正教育は個人別矯正教育計画に基づく内容ありきの構成になっていて進捗状況に応じて期間等が考慮される。収容期間が決まっている懲役刑とは異なるものである。それらを終え、いざ社会に復帰しようと思ったときに、事実上の退学処分も課されていたとすれば、進学や一定の進学と学歴を前提とした就労は困難になるだろう。間接的に職業選択の自由が毀損されているのではないかと感じた。

さらにいえば、これはいわば二重のペナルティを課されているようなものである。それが今回のツアーで強く感じた違和だ。人が環境に応じて、確率的に間違いを犯す存在だと捉えるなら、そのように間違いを犯した人も再び社会内に安定的に包摂するルートの存在が当事者にとっても、また非当事者にとっても望ましいのではないか。

事実上の退学などで特定の学校や社会から排除できればそのコミュニティにとっては厄介払いができたことになるのかもしれないがその挙句に、当事者が再び犯罪や犯罪集団に近づくようでは誰も救われないし、社会にとっても決して望ましいあり方ではない。もちろん程度問題は考慮されるべきだが、触法少年の社会復帰を阻害する教育という見えない壁の存在に気づいたツアーだった。

最後にこれは私事だが、今回のツアーでははじめてゼミの学生3人が同行した。理工系を専門にする学生たちで、彼らが直ちに問題に深く関わるというよりも、社会にこうした問題があるということを知って長いスパンで問題について考えてほしいという主旨からだ。彼らにとってはまったく未知の世界だったと思うが、これからも機会があれば、ゼミ生の同行も実施していきたい。最後に多摩少年院、認定NPO法人育て上げネットの皆さんに記して感謝します。

この日の多摩少年院のスタディツアーの様子は、やはりツアーに参加していたBLOGOSの永田さんもエントリを記していた。こちらもあわせて読んでほしい。

少年院在院者たちの「学びたい」「働きたい」という思い http://blogos.com/article/212372/

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