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原発事故避難者を路頭に迷わせるな(宇都宮健児)

東日本大震災・福島原発事故から6年が経とうとしている。復興庁によれば、2017年1月16日現在、全国の避難者数は12万6943人に上り、そのうち福島県・宮城県・岩手県外への避難者数は4万6645人に上っているということである。また、福島県内外への避難者数は8万846人で、うち県外への避難者数は3万9818人に上る。

ところで、原発事故避難者のうち、国が決めた避難指示区域からの避難者に対しては、東京電力から不動産賠償や精神的慰謝料の支払いなどが行なわれてきたが、避難指示区域外からの避難者、いわゆる「自主避難者」に対しては、災害救助法に基づく「みなし仮設住宅」の無償提供が唯一の支援であった。ところが、自主避難者にとって唯一の支援である住宅の無償提供が、今年の3月いっぱいで打ち切られようとしている。

福島県の発表によると、自主避難者は16年10月現在、1万524世帯、2万6601人(うち県外避難5230世帯、1万3844人)に上っており、自主避難者の約7割が4月以降の住居が決まっていないということである。

『読売新聞』の調べでは、自主避難者が生活している46都道府県では、24都道府県が何らかの独自支援を行なうことを決める一方で、19県が独自支援を見送ることを決めており、3県が検討中ということである。

ところで、東京都内の自主避難者数は16年9月現在、717世帯、約2000人といわれている。東京都は独自支援策として都営住宅の優先入居枠を300戸提供することにしているが、収入要件・世帯条件が厳しいため大半の避難者が応募資格に満たず、現段階での斡旋世帯数は196世帯にとどまっている。

自主避難者の多くは、子どもを被ばくから守るために避難をしている人たちである。自主避難者の中には、夫を福島に残し、母子で避難している人も多く、そのため、二重の生活費の負担で経済的に困窮している人が多い。また、都内であっても住宅を転居することになれば、子どもの通う学校を転校せざるを得なくなり、いじめを受けることを再び心配する自主避難者も多い。避難者の中には、このままでは4月以降、ホームレスとなるしかない、路頭に迷ってしまうと訴える人も少なくない。4月以降も現在の住宅に無償で住まわせてもらいたい、というのが多くの自主避難者の切実な願いである。

自主避難者に対する住宅の無償提供の打ち切りは、自主避難者に対し、事実上強制的な帰還による「被ばく」か、避難を継続することによる「貧困」かの究極の選択を強いるものであり、政治の責任を放棄する冷酷・無慈悲な政策と言わねばならない。

自主避難者は、原発事故さえなければ、子どもの被ばくを心配して避難することもなかったのである。その意味では福島原発事故に責任のある国と東京電力は、責任をもって自主避難者に対する住宅の無償提供を継続すべきであるし、避難先の都道府県も最大限支援の手をさしのべるべきである。

震災からの復興は、何よりも「被災者自身の復興」「人間の復興」でなければならないからである。

(うつのみや けんじ・弁護士、2月17日号)

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