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- 2011年05月06日 06:05
被害が大きくなる前に動けなかったか?
「フーズ・フォーラス」本社などを強制捜査へ 全容解明進める 富山・福井合同捜査本部ユッケで食中毒が起きたのは初めてのことだろうか。パロマ事件のように、死者が多数出てから警察が介入するなど大騒ぎになるというのが日本の常だが、今回の件も、実は氷山の一角だったということはないのだろうか。
(2011.5.6 産経新聞)
焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で発生した集団食中毒で、富山、福井両県警の合同捜査本部は5日、業務上過失致死傷容疑で、チェーンを運営する金沢市の「フーズ・フォーラス」本社や富山、福井県の店舗、東京都板橋区の食肉卸業者などを6日に家宅捜索する方針を固めた。
ユッケ用の生肉は、この卸業者がチェーン店側に販売。合同捜査本部などは今後、卸業者らから詳しく事情を聴くとともに、肉の流通経路などを調べ、集団食中毒の全容解明を進める。神奈川県警も5日、業務上過失傷害容疑で捜査本部を設置した。
一方、富山県砺波市の店舗で食事し、重症だった女性(70)が5日午前、死亡した。女性は4日に死亡した40代の女性の家族で、同チェーンの食中毒による死者は4人目。
富山県によると、5日に死亡した女性は4月23日に砺波店で家族とユッケなどを食べた後、血便などの症状で入院。30日に溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症、意識障害やけいれんを起こしていた。
もし、死亡に至らない事例であっても、ユッケを食べた後に食中毒が過去に発生していたとすれば、厚労省は注意喚起すべき立場にあったはずで、仮にそうできていれば、今回4名も死なずに済んだかもしれないのだが、そうした事例があったか、なかったか、検証してもらいたいところである。今回の事件で、ある特定の会社だけを処罰して解決する問題でもないだろう。
それにしても、またも縦割りを感じてしまう。
食中毒は本来厚生労働省が管理すべきことだが、被害が大きくなると警察マターとなる。毒ギョーザの時もそうだった。
昔は厚生労働省も、警察庁も内務省に所属していたが、米国の占領政策で別省庁に分けられ、今や縦割りの弊害が起きやすい状態にある。
厚労省、警察庁とも、それなりの調査権を有してはいるものの、一つだったものを無理に二つにわけたため、お互い欠点を持っていて、しかも補完し合うことができない。厚労省には、食中毒事例があっても検査・捜査する能力が十分あるのかどうか。警察庁には捜査しても、公衆衛生維持のために情報を活用する能力があるのかどうか。厚労省は罰則規定付きの新たな法律を考えているようだが、罰則付きになれば、それだけ警察マターとなる方向に流れ、公衆衛生の側面が弱くなる傾向もある。
死因究明制度の改革でもこうした縦割りの弊害を解決しなければならない。
それにしても、消費者庁は何をしているのだろうか。
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/110502kouhyou.pdf
厚生労働省に資料の提出を求めているようだが、マスコミの取材要請みたいなレベルの話で、なんだかなあと感じてしまう。厚労省が調べられなければ、何もできないという構図に見えるのだが。こんな状態では、死者が出てから対応するという、パロマ事件と同じようなことが、これから予防できる筈がない気がする。実際の調査、検査などで汗をかく船の漕ぎ手が多く必要なのに、船頭だけ増やしても意味がないのだが、そんな状況に見えてしまう。もともとの設立の趣旨は何だったのだろうか。それさえ果たせないなら、仕分けられても仕方がないと思うのだが。



