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  • 階猛

配偶者控除をどう考えるか-財務金融委質疑

22日、国の税制度の改正案を審議している財務金融委員会で質疑を行いました。今年の税制改正の目玉は、夫婦の一方の収入が103万円以下の場合にもう一方の収入から38万円を差し引いて税額を計算できる「配偶者控除」の見直しです。

配偶者控除により、これまでは、男性が正社員、女性が103万円以下のパート社員の夫婦があったとすると、平均的な世帯では年間2万円ぐらい(住民税も含めると6万円ぐらい)税額が軽減されてきました。この制度は「103万円の壁」とも言われ、結婚している女性の「就労調整」の要因になっていると言われていました。

今回の見直しで、政府は、夫婦の一方の収入が150万円以下であれば、他方が高収入を得ていない限り、同様の控除が受けられる仕組みを提案しています。これにより「女性活躍」を促そうとしているようですが、今回の質疑で、私は二つの問題点を指摘しました。

第一に、配偶者控除は、収入が低い配偶者を「被扶養者」と見ていることです。主要国にはこのような制度はありません。アメリカやドイツでは、たとえ夫婦の一方だけが収入を得ていたとしても、これを分割して夫婦が半分ずつ収入を得たとみなして税額を計算する制度があります。男女を対等に扱う点で「女性活躍」の理念にも合っています。日本の「配偶者控除」は時代遅れの感があります。

第二に、「103万円の壁」をなくしても、大企業では「106万円の壁」、中小企業では「130万円の壁」があることです。これらの壁を超えると年金や健康保険の保険料が生じます。その負担の方が配偶者(特別)控除による税の軽減額より大きいので、106万円、130万円を超えて150万円まで働こうという配偶者は少ないと思われます。

他方で、日本は他の先進国に比べて高等教育への公的支出が少なく、労働生産性も低いという調査結果があります。以上を踏まえ、麻生財務大臣に「配偶者控除という制度は廃止し、それによって生まれる1兆円を超える財源は高等教育への公的支援に充てた方がいいのではないか」と尋ねたところ、「子供がない世代はどうなんだとかいろいろな話が出てきますので、直ちに公的支援に回すのはいかがなものか」と答弁。

これに対し、私は「他の家庭のお子さんたちが高等教育を受けて、労働生産性を高めて、税金や社会保険料を納めてくれれば、お子さんのいない家庭も老後の安心が確保される」と述べました。「女性活躍」の理念に反し、「壁」を壊し切れない配偶者控除の見直しより、未来の日本のため、高等教育支援に力を注ぐべきです。

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