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どうする民泊!

民泊について自分なりに考え方をまとめてみた。僕は現在検討されている住宅民泊事業法案が必要との考え方に立っていることをまず申し上げたうえでいくつかの論点について述べたい。

⑴  民泊はすでに存在していることを考えれば認めるべきでは?

 そもそも外国人旅行客を中心にすでに民泊は日本に存在し、使われている。この事実を認めた上で、どのような民泊なら認められるのかを考えたほうが現実的と考える。そもそも住宅として使われているものを時々他人に貸してそれにより対価を得ることそのものを全面的に禁止してしまうのは財産権に対する制約としては厳しすぎるのではないか。

であるとするならば、あとは程度と手続き。どれくらいまでなら認められるのか、というときに、年に半分以上貸したのではもう住宅とは言えないということで180日以下とする、というのは一つの理屈だと考える。

⑵ 民泊を認めなければどうなるか

 認めなければどうなるか。現時点で我が国に既に存在している民泊が地下に潜ることになる。また、民泊を認めないとなると、いま民泊させているところをチェックして旅館業法違反のところはやめさせないといけなくなる。

それを誰がやるのか?いささかなりとも現場を知る者としてはそんなことはできない、と言いたい。

⑶  旅館業法を運用している現場で想定される悩み

 旅館業法を担当しているのは都道府県知事、つまり県庁。担当課は保健福祉部の生活環境課。そして現場は、保健所。つまり保健所の職員が旅館業法を運用している。

この職員たちは他の業務と兼務の中で旅館業法を担当していることも多い。なので、ここの現場に過重な負担がかかるようになるとうまく回っていかない。

今回の法案では、許可制ではなく登録制と言う簡単な方法で住宅民泊事業が開始できる割には知事に与えられている権限は強い。

となると住民としては何かがあれば保健所にお願いすれば何とかなると期待してしまうかもしれない。しかしながら業務停止命令などそう簡単にはいかない。

と考えると、住民の苦情の行き先を明確化しておかないとすぐに行政機関に通報が行くようなことになりかねない。この辺は実際の運用をやっていく際に気をつけなければならないことだと思う。

⑷  民泊を禁止する方法

一方、旅館ホテルからではなく、マンションや閑静な住宅地域にお住まいの方から民泊はやめてほしいという声を聞く。

確かにマンションでのトラブルはあると聞く。それに対しては、マンションの住人たちは管理組合規約を変更して民泊禁止にすることが可能だ。

また、地域として民泊を禁止するなら都市計画法上の特定用途地区に指定してホテル・旅館の立地を禁止すれば民泊も禁止できる。

さらに、生活環境の悪化があれば都道府県等保健所を設置している地方自治体が条例により禁止区域の制定が可能、というのがいまの法案だ。

旅館ホテル関係者からは、生活環境の悪化だけでなく、民泊による部屋数の供給過剰状態になった場合などにも地域経済的な観点からの規制がかけられるようにすべき、また、市町村が条例制定できるようにすべきとの声が出ている。

気持ちはよくわかるが、旅館ホテルの需給調整はもちろんのこと、多くの経済的な観点での需給調整は行われなくなっている今、民泊だけをその対象にすることが果たして妥当なのかと思う。既存の旅館ホテルに影響が大きいのは民泊よりも新設される旅館ホテルだと思う。それは制限をせずに民泊だけ制限する、というのはなかなか理屈が立たないのではないかと思う。

⑸  泊数の数え方

今回の法案では年間の半分の180泊以下しかお客を泊められない、という内容になっている。

自民党の部会では、180日の数え方について、1泊2日の場合、2日と数えるのか1日と数えるのか、ということが議論になった。

それを1日と数えるならば、可能性としては360日お客様を取ることができるではないか、という意見もあった。

確かに懸念はその通り。しかし、僕はそれは1泊2日の場合は、1日と数えるべきだと思う。

理由は2つ。

1つ目は、いまの法案では360泊泊められるわけではなく、180泊しか泊められないことになっている。つまりはお金を得られる機会を180回に制限しているということだ。これは、本来用途は住宅なのだから、一年の半分以下しか他の用途に使ってはいけないという考え方とも一致する。

もう1つは、他の国の立法例を見ていても、すべて日数の数え方は、今回の法案と同じだから、だ。日本だけ別の考え方にする必要はないだろう。

となると、この住宅民泊、稼働率が絶対的に50パーセント行かない業態となる。

本当にそういう業態が、旅館やホテルを駆逐することになるのだろうか。そもそもそうなっている国があれば勉強したいと思う。

⑹ 旅館業法の規制緩和を

民泊が制度化されれば、旅館やホテルとのイコールフッティングも問題になる。

旅館やホテルは消防法や旅館業法などを始めとする厳しい規制を守りながら営業を行っている。住宅として作られた物を使わせると言うのとでは規制の厳しさが違う。

そこが不公平ではないかと言う声がある。

その通りだと思う。民泊に使う建物でどうしても規制強化しなければならない部分も出てくるかもしれない。一方で重要なのは、これまでの規制が厳しすぎたのではないかと言う反省の上に立って既存の旅館やホテルに対する規制の緩和を検討することが必要なのではないか。

必ずや現場の経営者からはいくつもの規制緩和項目が上がってくるのではないかと思う。

今回の法案をまとめるに当たっては、本来はこの旅館業法の規制をセットにすべき、という意見が関係者から強く出ている。スケジュール的に間に合わない、というのであれば、必ずそのことに取り組むことを政府に約束させるべきだと考える。

⑺  逆転の発想

また、既存の旅館やホテルの経営者は、仮にこの住宅民泊が制度化されれば逆に攻めていくこともできるのではないかと思う。旅館業法ほど厳しくないわけであるから、ある家や部屋を自分たちが管理する民泊物件として提供するということも考えられるのではないか。

民泊の最大の悩みは掃除だといっても過言ではない。

その悩みに対して、既存の旅館ホテルはしっかりと日々対応しておられる。

こうした強みもあるのではないか。

「もしこの法律が施行されたら、うちは従業員の寮を民泊の部屋として提供しますよ」。民泊解禁反対を訴えに来られたある経営者は、僕にそう言われた。

ホテルや旅館が長年かけて築き上げた信頼とノウハウはそんなに捨てたものでは無いと僕は信じている。

また、この法律が施行されたら、業態転換を考える、というところも出てくるかもしれない。確かに、ペンションなどはもともとが住宅からスタートしているし、ありうるかもしれない。

脈絡はないが現時点での住宅民泊についての自分の考え方をまとめてみた。

今回の法案についてAirbnbは厳しいコメントを出している。

もし、今回の法案が成立せず、また内容がプラットフォームに対してより厳しい規制を課すようなことになれば、日本の事業はリスクが高すぎるとして日本市場から撤退することも選択肢としてあるのではないかと僕は思っている。

そうなったときどういう反応になるか。

中国でGoogleが使えないことを僕らは笑うが、Airbnbが使えない国になると言うのは旅する人たちからみたら、きっと不思議に見えるようになるだろうと思う。ちなみに中国ではAirbnbが使えます。

次の3回目の会議がいつになるのか、現時点ではまだ連絡は無い。


ふるかわ 拝

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