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解体、補修維持、売却……「空き家の処分」最も負担が少ない方法

大高志帆=構成 小倉和徳=撮影

死亡事故が起これば億単位の賠償問題に

2015年に「空家等対策特別措置法」が施行されて以来、老朽化して倒壊の恐れがあるなど、問題があると認定された「特定空家」を、持ち主の意に反して強制撤去する映像が、テレビでたびたび流れている。「明日はわが身」と怯えている読者も多いのではないだろうか。

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とはいえ、ある日突然強制撤去が決まるわけではない。

まず、同法では、「特定空家」と認定されたのち、市町村から「助言」「指導」を受けるのだが、これに従わない場合に、「勧告」を受ける。固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍に跳ね上がる。東京23区など土地評価額が高い地域に家を持っている場合、20万円程度だった固定資産税が80万円程度になるイメージだ。

さらに、「命令」にも違反すれば50万円以下の過料が科せられる。「行政代執行」の名で強制撤去されることになれば、解体費として100万~200万円程度の実費が加わる。

だが、特定空家の認定作業だけでも膨大な労力と莫大な費用がかかるため、ほとんどの地域で法律の運用が始まっていないのが実態だ。

とはいえ、空き家を放置するのは賢明ではない。過去には、他家の子どもが勝手に敷地内の老朽化した遊具を使用し、怪我を負ったことで数十万円の賠償金を請求された例もある。木が倒れて隣家の駐車場を直撃し、車が大破、数百万円の賠償金をとられた例もある。死亡事故になれば、億単位の賠償金が発生する可能性もある。住人がいなければ、家屋の老朽化は早まり、それに気づくのは遅くなる。無人でも所有者責任は発生する。特定空家云々ではなく、空き家には大きなリスクがあるのだ。

では、どうするのが正解なのか。目先の出費が少ないのは、老朽化した部分を補修し、草むしりなどを業者に依頼して維持することだが、屋根を補修するとなれば30万~100万円、草むしりは1回2万~10万円がかかる。年間数十万円の出費が続くことは覚悟したほうがいいだろう。

次に考えられるのは相続放棄だ。ただ、裁判所に相続放棄の申し立てをしただけでは管理者責任から免れられない。裁判所に30万~100万円の予納金を納め、相続財産管理人選任の申し立てを行う必要がある。予納金は相続財産管理人が行う管理業務の経費や報酬を支払うための資金となる。

しかし、この手続きを理解している人は非常に少なく、うっかり管理者責任を持ち続けている人は多い。管理者責任がある以上、空き家が原因で事故が起きれば当然賠償金が請求される。

また、すでに遺産を相続している場合、現金などプラスの遺産を使っていることも多いため、現実的にこの選択は難しい。

そこで私がおすすめするのは、200万円程度で片がつく「解体」である。ある程度の人口を擁する地域なら、駐車場にすることで税金プラスアルファの収入を得ることも可能だ。

「売却」も空き家への対応としては正解である。「田舎だと売れない」と思われるかもしれないが、それは「希望の金額で売れない」だけ。タダ同然の金額であれば、低所得者向けに空き家を改修して安く貸し出そうと購入する人もいる。一定数のニーズがあるのだ。

所有者本人が認知症になっていたりすると、「解体」も「売却」も手続きが複雑になる。親が健康なうちに対策をとるべきだろう。

画像を見る上田真一
NPO法人空家・空地管理センター代表理事。北斗アセットマネジメント代表取締役。オハイオ州立大学卒業。リクルートなどを経て、空家・空地管理センターの事務局長として事業を立ち上げ、現職。

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