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なぜ出世?「東京タラレバ上司」のトリセツ

他愛ない「タラレバ娘」、ヤバイのは「タラレバ上司」

人気ドラマ『東京タラレバ娘』では、題名通り、吉高由里子らが演じる主人公の3人のアラサー女性が「あのとき~~していたらよかった」という過去の後悔や、「~~すればうまくいくのに」といった根拠のない願望話のセリフが盛んに出てくる。

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東京タラレバ上司も見ている?『東京タラレバ娘』(日本テレビ系・水曜夜10時~)


主に恋愛関連の他愛のないグチ話が視聴者の共感を呼んでいるようなのだが、もし、設定が会社の人間関係だったら、笑えない陰湿な感じになるかもしれない。

たとえば、上司と部下の間の関係。昔から両者間でのタラレバ話はあったが、企業で働く人々の取材をしていると最近はどうもタラレバ被害者が増えているように思う。

こんな事例だ。

ある営業課長が部下に、○日までに顧客向けの企画書をまとめておくように指示したとする。課長は期限が近づいても部下から途中経過の報告がないので気になって、例の企画書は大丈夫かと聞くと「大丈夫です」と答える。

ところが、期限ギリギリになって部下が仕上げた企画書は課長の思い描いたものとはかけ離れていて、大騒ぎ。やり直しを命じたいが時間がない。

そんなちょっとした修羅場で交わされる会話において、しばしば出てくるのが、「タラレバ」である。

「今からじゃどうしようもないよ。事前に相談してくれたらよかったんだ」

「でも課長は忙しそうだったので。課長のイメージと違うんだったら、最初にもっと詳しく説明してくれればよかったじゃないですか」

「私の指示を守っていたら、こんな事態には……」

あるいは、こんなビジネスシーンもよく耳にする。

部下が顧客先のプレゼンで失敗し、ライバル社に仕事を持っていかれたとき、「私が教えた通りにやっていればうまくいったはずだ」とけなし、その後もあいつがもう少し上手くやっていたらライバル社に負けずにすんだんだ」と延々と言い続ける上司もいる。

しかも、受注できなかったのは部下の責任であり「自分の指示をしっかり守っていたらこんな事態にならなかったのですけれども」と部長に言い訳する上司までいる。

上司だけではない。課長が部下のチームリーダーに新人の面倒をちゃんと見るように頼んでもこう言って口答えする人もいる。

「課長、それは説教ですか。彼らが質問でもしてくれたらちゃんと教えますが、何一つ提案すらしない。少しでも仕事に対する意欲を持っていれば教えがいもありますが、こっちも忙しいし、そこまで責任は持てませんよ」

タラレバが飛び交う職場ほど雰囲気がギスギスしている。

背景にあるのは、業務量の増大や課長の「プレイングマネージャー化」だろう。総じて時間や心の余裕がなくなっていることがタラレバ頻発の要因になっている。

「東京タラレバ上司」の傾向と対策

タラレバが口癖の人は肩書の有無に関係ないが、とりわけタラレバ上司の存在は職場を混乱させる。要するに部下に的確な指示や説明をしないコミュニケーション不足に原因があるのだが、そういう上司には共通する特徴がある。

1つは上からの指示を自分でかみ砕いて説明することなく部下に仕事を丸投げするタイプである。

それほど能力があるわけではないのに、役員などの幹部の覚えがめでたいせいで管理職に昇進した人に多い。上には絶対的に忠実であり、「部長がそう言っているのだからそうしろ」と、面倒くさいことは全部部下に任せようとする。

本来なら部長の指示を具体的プランに落とし込んで部下に的確な指示をするのが役割だが、そこまでの能力がないか、あるいは自分が責任をとりたくないために回避しようとする。そして結果が出せなかった部下をタラレバでなじることになる。

もう1つは、成果を出したかはあやしいが、真面目で一生懸命に働くことが取り柄で課長になったタイプだ。

この手は、理解する力は多少あるものの、完全なコミュニケーション下手。部下に仕事を振るときは時間をかけて説明するのだが、話がいろんなところに飛んで何を言っているのかさっぱりわからない。

具体的に何をやればいいのか今ひとつわからないが、課長が一生懸命なので部下はわかったふりをして仕事を遂行しようとする。

だが、それでは仕事がうまく運ぶことはない。間違った仕事をした部下に「あれほど説明したのになぜ言うことを聞かないのか」「指示通りにやっていれば、こんな結果にならなかったはずだ」と、真面目だけに熱心にもタラレバを繰り返すことになる。

こんな2つのタイプの上司に対抗するには、発言した内容に徹底的に食い下がることだ。説明がなければ、こういうことですかと逐一確認し、具体的な言質をとる。後で言った、言わないということがないように記録を残す、あるいは職場のチームで情報を共有しておくことが必要だ。

とはいえ、こういう上司が存在する率が高まれば高まるほど、その組織は成果を生み出すことは難しいに違いない。

ドイツ陸軍の参謀総長だったハンス・フォン・ゼークトは言っている。

「無能で怠惰な者は下級兵士にすべき、無能で勤勉な者は銃殺せよ」

いずれにしても無能なタラレバ上司は管理職失格であることは間違いない。

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