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トランプ氏感涙 安倍首相の謝意



古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

アメリカのドナルド・トランプ大統領が2月18日、国内の支持者向けの演説のなかで突然、安倍晋三首相の名前を出したことは、やはり安倍首相への特別な好感を表すといえそうだ。揺れの激しい同大統領だから今後の見通しは不明だとしても、現在の首脳レベルでの日米関係は日本側の主要メディアが報じるよりはずっと良好のようだ。

トランプ大統領の今回の安倍首相への言及はまったく唐突であり、意外だった。18日、フロリダ州のメルボルンで熱心な支持者たちを集めての「就任から1ヶ月の成果」を誇る大会だった。

この集まりをトランプ大統領は「キャンペーン(選挙活動)」とも呼び、今後も主として支持者向けに頻繁に開いていく方針をも明らかにした。約1万人の聴衆を前にして同大統領は熱気をこめ、これまで1ヶ月の実績を語った。その過程でも重点は主要メディアの非難におかれた。民主党支持のニューヨーク・タイムズやCNNテレビがとにかくトランプ政権の非ばかりをあげつらい、政権自体の信頼性を貶めようとしているのだと再三、強調した。

そんな内容の演説の中ごろで突然、安倍首相の名前が飛び出した。

「日本の安倍首相はたいした男なのだが、アメリカ訪問の際にいきなり『ありがとう』と述べたのです。私が『何のことですか』と問うと、『F35戦闘機の件で私たちに何百万、何千万ドルも節約をさせてくれたことです』と彼は答えたのです」

すでに報道されたように、トランプ大統領は最新鋭ステルス戦闘機F35に関して製造元のロッキード・マーティン社に対して、製造コストが高く過ぎるとして圧力をかけてきた。同社はそれに応じて1月下旬、同機90機分の総額を6億ドル下げることを発表した。

その結果、日本の航空自衛隊が2017年度に調達するF35機6機も1機あたり10億円以上の価格引き下げとなった。安倍首相はそのことへの謝意を述べたのだった。

トランプ大統領は言葉を続けた。

「私が価格値下げの交渉をしたときは、(日本などの)同盟諸国が購入するF35機も対象に含めました。だから安倍首相は節約できることを私に最初に感謝したのです。アメリカのメディアは私に感謝することは決してないが、日本は感謝してくれるのです」

ここでまたメディアの非難となった。そのための材料がたとえ安倍首相の謝意表明であっても、アメリカの大統領がこれほどの好意や親近感を日本の首相に対して、ごく自然に示すことは、どう考えても悪いことではないだろう。トランプ大統領をとにかく褒めたくない日本のメディアも、こうして大統領の言葉が明確に出ていた以上、それを報道せざるをえないのであろう。まだまだ続くトランプ大統領と主要メディアの戦いの一端でもある。

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