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ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く

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ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

Kindle版もあります。

ルポ トランプ王国?もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

ルポ トランプ王国?もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

内容(「BOOK」データベースより)
なぜトランプなのか?ニューヨークではわからない。アバラチア山脈を越えると状況が一変した。トランプを支持する人々がいた。熱心な人もいれば、ためらいがちな人も。山あいのバー、ダイナー、床屋、時には自宅に上がり込んで、将来を案ずる勤勉な人たちの声を聴く。普段は見えない、見ていない、もう一つのアメリカを見る。

 結果的に大統領となったドナルド・トランプさんなのですが、その選挙戦の大部分の期間は、少なくとも日本のメディアでは「キワモノ」として扱われていたようにみえます。
 いや、僕自身も「メキシコとの国境に壁を!」なんて、始皇帝かよ、と呆れたり、差別発言に不快になったりしてばかりで、「こんな候補を支持する物好きも、アメリカにはいるんだねえ」なんて、支持者をバカにしていたんですよね。

 アメリカの大統領選挙では、共和党、民主党それぞれの支持基盤が固く、どちらが勝つか投票前からほぼ決まっている州がかなり存在しており、それ以外の「激戦州」と呼ばれる「両党の勢力が拮抗している州」で、どちらの候補が勝つのかが勝負を分けるのです。


 朝日新聞の記者である著者は、トランプ候補が、日本では「キワモノ」として扱われていた時期に、トランプ候補の支持者の集会の熱気に接し、「なぜ、差別的で問題行動が多い人が、こんなに支持されているのか?」に興味を持ち、「トランプ支持者が多い、アメリカの田舎の州」に赴いて、そこで、直接、トランプ支持者たちの声を聞いています。

 本選でのトランプの得票率は、ニューヨーク・マンハッタンで10%、同ブロンクスで9.6%、同ブルックリンで17.9%、首都ワシントンでは4.1%、西海岸の大都市も同じようなものだ。サンフランシスコ郡で9.4%、ロサンゼルス郡で23.4%。結果論だが、こんなに少なければ見つけるのに苦労したのも当然だろう。
 都市部はトランプを拒絶したのだ。

 しかし、全米地図を広げれば、共和党の候補者を1人に絞り込む予備選でトランプが圧倒的な勝利を収めた街「トランプ王国」がいくつもあった。多くは地方だ。「ここに行けば、答えが見えるのかもしれない」。私は、今回の大統領選の最大の疑問の答えを求めて、2015年12月から、そうした街々に通い始めた。山あいのバー、ダイナー(食堂)、床屋、時には自宅に上がり込んで、トランプ支持者の思いに耳を傾けた。

 オバマの「チェンジ」に期待した元民主党支持者、失業中の人、薬物の蔓延に怯える人、複数の仕事をかけもちする人、まじめに働いても暮らしが一向に楽にならないことに不安を覚える人。多くは、明日の暮らしや子どもの将来を心配する、勤勉なアメリカ人だった。そこには普段の取材では見えない、見ていない、もう一つのアメリカ、「トランプ王国」が広がっていたのだ。

 1年に及んだ取材メモを整理すると、「トランプ王国」以外の土地も含め、計14州で取材していた。私たち日本人が接することの多い、ニューヨークや首都ワシントン、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの大都市部とは異なる、格好良くもないアメリカの記録。本書では、日本人記者が見た、「もう一つのアメリカ」を報告したい。

 トランプさんのような偏った人を支持しているのは、変わったというか、偏見に凝り固まった人ばかりではないか、と思っていたのですが、ここに登場している「トランプ支持者」たちは、「働くことに誇りを生きがいを感じている、真面目で気のいい、田舎の中流階級の普通のおじさん、おばさん」なんですよね。

 ビクターとカートが去った後、私はダイナーで取材メモを整理した。しばらくして清算しようとすると、店員が「さっきの人たちが払ったわよ」
 私は冬休み中で妻も同行していたので、支払いは20ドル(2300円)以上になったはずだ。
 これが初回だったが、その後も「トランプ王国」の取材では、このような場面に出くわした。とにかく面倒見が良い。おごられっぱなしではマズイので、私が次回はお誘いする。そうして仲良くなっていった。

 そんなに暮らし向きがラクでもないはずなのに、彼らはそういう生き方をずっと続けてきた人たちなのです。

 オハイオ州東部のヤングスタウンというラストベルト(さびついた工業地帯)に属する町で、元保安官代理のデイビットさん(52歳)は、こんな話をしています。

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