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調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く (上)

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ワセダクロニクル 渡辺周編集長©Japan In-depth編集部

■運営はあくまで寄付にこだわりたい

安倍:クラウドファンディング、結構集まってますね。

渡辺:そうなんですね。ありがたいです。

安倍:もう一桁上を目指されたらいいと思いますけどね。あくまでも寄付にこだわるんですか。

渡辺:そうですね。

安倍:会員制じゃだめなんですか?

渡辺:いや別にダメではなくて。クラウドファンディングってどうしても単発なので。恒常的に作ろうと思えばこれからは当然寄付会員。ただ一発目で認知度もないのでそこはクラウドファンディングを活用しようということで。将来的には寄付会員をどんどん増やしていきたい、継続して応援していってほしい。

安倍: A会員B会員C会員じゃないけど、寄付の額によって変えるとか?

渡辺:待遇ですか?そこまではまだ正直頭が回っていなくて。そういうことを考える人も必要ですよね。マネタイズということですよね、そこはそこで専門でやってくれているチームがいて、当然まあ編集長のぼくが方針を決めてやるんですけど、そういう具体的なところは、僕はやっぱり記者しかやったことがないのでそういうのは全く疎いので。

安倍:あくまでも寄付にこだわってあえて会員を募らないのかと思っちゃって。

渡辺:会員は会員ですけど、寄付会員ですね。韓国の調査報道メディア「NEWSTAPA(ニュースタパ)」もそれなんですよ。あれも寄付会員で、月1口1000円とかで、額は人それぞれでしょうけどそれが4万人いるわけです。恒常的に寄付が入ってくる。

安倍:4万ってすごいですよね。十分やっていける。毎月4000万円以上。で、ワセダクロニクルには研究所からお金出ているんですか?

渡辺:出てないんです。だから自分たちで自前で。招聘研究員がいくばくかの参加費を払っているんですけど、それ以外は自分たちで。だから、大学当局のお金が研究所に入ってそれが我々に回ってくることもないんですよ。

■独立した一人のジャーナリストを育てたい

安倍:さっき学生に教えているっておっしゃったのは、ワセダクロニクルとして教えているというわけですか?研究所として教えているわけではなく。

渡辺:いえ、研究所としてもたまにイベントをやったりとかあるんですけど、我々が今一緒に学生メンバーとして入れている子たちを実践を通してクロニクルとして教えています。

研究所のプロジェクトなのでワセダクロニクルも。その辺の建付けはややこしいかもしれないですけど、当然僕も招聘研究員なわけですよ編集長でも。

安倍:学生はインターン、ボランティア?

渡辺:インターンというわけでもないですよね。だから学生は別に単位が取れるわけでもなく、教育がメインなんですよね。あくまでも彼らの自発的なもの。学生を受け入れるにあたっては、研究所の花田先生とか所属している教授兼研究員、他大学の人が、自分のところの学生でジャーナリズムコースをとっていて、ある程度の基礎知識を身につけた上で、さらにやる気があってぜひ参加したい、という学生を推薦してもらっています。

安倍:ということは早稲田の学生だけではないんですね?

渡辺:そうですね。青学と、日大と、立教の教授が研究所にいてですね、そこの学生さんたちですね。

安倍:日本の大学ってジャーナリズム学科ってないじゃないですか。

それに代わるような機能というかそういうものをお作りになりたいということですか?

渡辺:マスコミ学科とは違うと思っているんです。いわゆるジャーナリズム教育っていうのと、マスコミで働きたいというのとはまたちょっと違うと思っていて。それは独立した一人のジャーナリストを育てるためにはどうしたらいいかというところなんで。

安倍:彼らが新聞社に入るとか、テレビの記者になるとかというのは想定していない?

渡辺:いやいやそれはもうまったく。それはそれで、そこで働くことで現場があるわけですから。ただこちらの願いとしては、○○テレビの社員であるよりも、ジャーナリストである自分をしっかり大切にして、会社に入ってもジャーナリストである自分っていうのを行動基準にしなさいねと。会社に入って負けるなよと。

安倍:そこに軸足があるわけですね。なるほど。今後は渡辺さん一人だと、限界もありますよね。取材とか。もうちょっとメンバーを増やしていきたいとか?

渡辺:やっぱりただお給料が出せないので、そうするとなかなか厳しいので。どっちが先かっていうのがあるんですけど。お金が先か成果が先か。とりあえず今は成果をまずしっかり、こういう仕事をしていくんです、っていうことを皆さんにお示しして。そうじゃないと、お金を先に用意してスタッフを用意してっていっても、それではなかなかお金も集まらないし、やっぱりお金を払って寄付していただける方の気持ちも作品がちゃんとあった上でのほうが、やっぱり払う人の心持も違うでしょうし。

今はもうとにかくいい結果・発信を一つ一つ続けてそれにお金がついてきたら最高というか、それに従ってスタッフを拡充したり。記者だけいてもしょうがないですし。いろんな部門に必要だし、欲を言えばこういう人材も欲しい、こういう人材も欲しいってあるんですけど、まだ始まったばかりなのでそこは追々。

■調査報道をネットワーキングしていく

安倍:理想とするメディアはありますか?

渡辺:メディアっていうか、今GIJN (The Global Investigative Journalism Network)っていうのに加盟を申請しているんですけど、単体で何かやろうというのではなくて、日本ってどうしても会社割なので読売に負けるな朝日に負けるなフジに負けるなというのがあるんですけど、そこは連携できるところはどんどんこれから連携していければと思っていて。

だからワセダクロニクルだけではなくて、調査報道で何かこういうテーマやりたいというときは、それこそ安倍さんのところとかどこでもいろんなメディアがあるわけですね。状況が大きく違うのはたぶん、優秀なジャーナリストは今はもう外に出てるじゃないですか。長い間どこかの会社、安倍さんもそうですけど、がどんどんネットメディアに出ていっていて。それぞれのニュース組織を作って今奮闘しているわけで。そういうところは、どんどん連携しているとこはしていますね。それこそパナマ文書もそうですよね。一つの大きな会社がやったわけではなくて、調査報道のNPOとかが大同団結してやっているわけで。

安倍:プロジェクトベースのものがあってもいいと?

渡辺:そうですね。ジャーナリストの倫理みたいなものが共有できれば、どんどん提携して、まぁ競争は競争で大事だと思うんですけども、ちょうど今のメディア状況は、既存メディアから人がいろいろネットに流れていて。それぞれの試みをやっているわけだから、協同できるところは(協同していく)。

だから、GIJNも加盟団体は日本になかったんですよね。なんでかわかんないんだけど。ファクトチェックのオーガナイゼーションもないんですよ。日本って。日本報道検証機構だけなんですよ。

《調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く(下)につづく。このインタビューは編集長安倍宏行、編集部坪井映里香が2017年2月11日に実施したものです。》

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